2004年04月30日

「意識の科学は可能か」っつう本

「意識の科学は可能か?」っつう本を、今読んどります。新曜社刊。
まだ序盤しか読んでいないんだけれど、この手の本にしては語り口が平易で読みやすく、いい感じ。
著者は5人。2人が知覚心理、一人が知覚心理でも特殊な部類に入るであろうギブソニアン、一人が哲学者(あれだ、言語論的展開がどーとかいう、ウィドゲンシュタイン以後の奴だ)、そして最後の一人がなんとユング心理学の立場から、意識という現象について論じている様子。
ユンギアンがこの手の問題について語るなんていうのは、もう前代未聞というか自殺行為というか、いや、まだユンギアンの章まで読み進めていないので自殺行為かどうかはわからないんだけれども、ある意味、非常に楽しみにしている。
精神分析を親の敵のごとく嫌っている私が読んでもなるほどと思えるような、骨太な文章を期待。
この面子に、更に徹底的行動主義の立場の人と、神経科学の立場の人、コンピューター・サイエンスの立場の人が加わったら、完璧だったんだろうが、まあ、それは高望みしすぎだわな。
posted by 旅烏 at 19:07| Comment(1) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

毛の生態について

一念発起して、部屋を少し掃除したわけですよ。何ヶ月ぶりになるんだろう。考えたくもないけれども。
寝床の周りに壁のごとく聳え立っているCDと本を整理し、私の移動可能なスペースを3倍(当社比)に拡張し、ホウキで掃いて、雑巾をかけたわけです。
で、感想といたしましては

我が家の床には、なぜこんなにも多くの毛が落ちているのだろう?

いや、みなさん、不思議じゃありませんか?
私は至って普通の日常生活を送っており、特に毛が抜けるような作業もしてないのに。部屋の構造上他人を部屋に入れることが出来ないので(だって、俺一人分しかスペースがねーんだもん)、これは私の毛だということになるんですが。ああ、すばらしい論理的帰結。

まてまて、ホントに私からこんなにも多量の毛が抜けたのか? 毛の質量だけで俺が出来るんじゃないか。いや、さすがにそこまで多くはないけれども。ああ、大嘘ついたわけだけれども。でもなあ。

これはきっとアレじゃないか。これは俺の毛じゃないんじゃないか。
でも、他人の毛でもありえない。
ということは、これは一見毛の様だけれども、実は毛ではない、別の「何か」ではないだろうか?
これはいったいなんだ?

えーと、落ち着いて考えよう。外部からこれだけ大量の「何か」が入り込んだか、それとも外部から少量の「何か」が入り込み、それから部屋の中で増殖したか、どちらかだな。
外部から入ってきたところは見たことないし、外で「これ」を見たこともない。部屋の内部で増殖したと考えた方がいいのかもしれない。てことはこいつは生物だな。うん。
「これ」の卵らしきものは見たことがない。でも、腹に子どもを宿した「これ」も見たことがないから、分裂して増えるんだろうな
つまり、こいつには性はひとつしかないに違いない。単為生殖って奴だ。
うむ。素晴らしきかな論理的帰結。

まてまて、でもこれは私の毛にそっくりに見える。

あれか? もしかして、私がいままで「これは俺の毛だ! マイヘアーだ! あぁんっ」とか思ってた奴って、実は毛じゃなくて、この得体の知れない生物だったんじゃないか?
てことは、イソギンチャクとクマノミみたいに、私と「これ」は共生関係にある、もしくは片方が片方に寄生しているんだな。
しかし、私は、言っちゃあなんだが、最近生きる上であまり苦労とか努力とかしていない。私は毛に対して、何らかの貢献をしているとは考えにくい。
てことはあれだ、私は、この「毛の様に見える得体の知れない生物」に寄生して生きているに違いない
なんてこった、ありがたいこった。南無南無。
これからは坊主頭にするのは控えることにしよう。
posted by 旅烏 at 18:08| Comment(1) | TrackBack(0) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年04月26日

睡眠リズム

どうも最近、睡眠のリズムがおかしくなっている。
夜に起きて朝方に寝ているのだが。
まあ、夜は面白いテレビも多いし、静かだから音楽を聴くにも本を読むにもいいしで、特に不自由はしないからいいんだけどさ。

いや、不自由な点がひとつあった。

夜はハローワークがしまっているのだ。

24時間サービスとかやってくれないだろうか?
きっと大盛況に違いない。
ええ、もう世の中営業時間延長、24時間化ってのが流れでございますよ。UFJ銀行とかな。
他にも、夜にしまっているので不便に思っている施設はたくさんあるぞ。是非とも24時間化してほしい。

あれだ、手始めにまず京都競馬場から
真夜中の淀は乙に違いない。
↑付近住人の迷惑を考えましょう。
posted by 旅烏 at 06:33| Comment(6) | TrackBack(0) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

幕間

抱いて欲しいなあと、思ってみたり。
Hは抜きでも全然構わない。
わがままでごめんね。
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2004年04月24日

海老の夢

さっぱり訳がわからない夢を見たので、書いておこうかと。


元々はウェブ上で素人さんが発表していた小説なわけですよ。
それが、もうとんでもなく下手糞で。
小説としての体裁をなしていないし、悪い意味で爆笑必死。
なんか、クライマックスで主人公と海老が一緒にジャンプしてるし。
なんかもう、どんなシーンかすらわかんねえよ。海老とジャンプして、何を表現したかったんだよ。

ところがわからないもので、これがメディアに取り上げられ大ヒット
あー、やだやだ。
ハードカバーで出版されるわ、続編は出るわ、ドラマ化されるわ、映画化されるわ。
すっかり社会現象と化し、音楽にもなったわけです。
うごめくベースラインが心地よいHIPHOPのパーティーチューンですよしかも。
その名も

海老 'n' JUMP

と、ここで目が覚めました。
いや、いい曲でしたよ、海老 'n' JUMP
きっと大ヒットするでしょう。
posted by 旅烏 at 07:12| Comment(3) | TrackBack(0) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年04月23日

Steely Danで張り切ってみた

さて、張り切って本サイトにSteely Danのアルバム別レビューを挙げてみたんですが。
うちに来てくれてるお客さんで、Steely Danを聴いたことがある人っているのかしらと、そこはかとない疑問が。

でも、この疑問を持つと収集つかなくなる気がするので、とりあえず放置しておこう。うん。それが大人ってもんだ。
posted by 旅烏 at 00:04| Comment(1) | TrackBack(3) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年04月20日

カルヴィーノ、広江礼威など

「見えない都市」イタロ・カルヴィーノ/河出文庫

「BLACK LAGOON(3)」広江礼威/小学館
「プラネテス(4)」幸村誠/講談社
「ラディカル・ホスピタル(6)」ひらのあゆ/芳文社続きを読む
posted by 旅烏 at 19:34| Comment(1) | TrackBack(0) | 購入した書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

彩〜Aja〜

と、タイトルを見て「ああ、サザンの新曲ね。旅烏もミーハーなこと。うふふ」とか思う方もいらっしゃるでしょうが。
確かにサザンの新曲のことには間違いないのですが。
個人的にはサザンのこの曲にはさほど興味がないわけでして。
じゃあ、なにを書きたいのかというと。
この曲のタイトルが、Steely Danの歴史的傑作“Aja”とモロに被ってるってことなんですが。
まあ、このアルバム、国内発売時には「彩(エイジャ)」っていうタイトルだったし、桑田氏がSteely Danを知らないとも思えないので、間違いなく確信犯でやってはると思うんですがね。
まあ、あれです。
サザンの曲もオリコン一位になったんだから、みんな、Steely Danも買おうぜ、と。
どう控えめに見ても、今まで世界でリリースされた中で、最高のアルバム(のひとつ)であることには間違いないんだから。
あれだ、温故知新ってやつだ。
posted by 旅烏 at 08:13| Comment(1) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ふたりジャネット

テリー・ビッスンの短編集「ふたりジャネット」(河出書房新社・奇想コレクション)を今読んでいるんだけれど、これがいい。
雑誌で訳出されたときに読んでいる作品も多いのだけれど、再読に耐え得るどころの話じゃない。
洒脱で暖かみがあり、それでいて抑制の効いた文章を読んでいるだけで顔がニヤニヤしてくる。
とんでもない発想の物語が多いのだけれど(もしもイギリスが海の上を移動し始めたら、とかね)、突拍子もない物語を読んでいるという感じがしない。むしろ、なんて事のない日常生活を、非常に生き生きと描いているかのような印象を受ける。筆力のなせる技だろうか。
ページはまだ半分以上残っている。そのことがとても嬉しい。

ここ二、三年、河出書房は渋いSFやファンタジーを意欲的に翻訳してくれている。ファンとしては嬉しい限りだ。
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posted by 旅烏 at 06:26| Comment(1) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年04月19日

メド・シップ

マレイ・ラインスター「メド・シップ 禁断の世界」読了。メド・シップシリーズの三冊目にして最終刊。
50年代のSFを読むのは久しぶり。
恒星間を巡る医療船エスクリプス20と、主人公カルフーンの活躍を描くシリーズ。中には時代を感じさせるような古い部分もないではないけれど、公平に職務を果たそうとするヒーローというのは、やっぱり訴求力がありますな。楽しく読めたわ。
残りの二冊「メド・シップ 祖父たちの戦争」「メド・シップ 惑星封鎖命令!」も手に入れたいところだけれど(特に「祖父たちの戦争」なんて、タイトルだけでワクワクするけれど)、みつからねえだろうなあ(苦笑)。
posted by 旅烏 at 07:58| Comment(1) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年04月15日

赤い目のフクロウが……

ええと、なんか、NHK教育に赤い目のフクロウことYOU THE ROCKが、赤い被り物をして子供と一緒に出演してるんですが…

赤い目のフクロウの「赤い目」とは、何を暗示しているのとか

昔は「MASS対CORE」なんていう名曲もやってたよな、とか

「Professional Entertainer」は名盤だったよな、とか

今更「雷家族」とかいって過去の栄光にすがってるんじゃねえとか


色んな思い出が走馬灯のように脳裏をよぎります。
さようなら、YOU THE ROCK。
あなたのことは忘れない。



ごめん、むしろ早く忘れたいかもしれない。
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2004年04月13日

士郎! 士郎! 士郎!

昨年は攻殻機動隊がテレビアニメ化され、今年に入って攻殻の外伝とも言うべき「イノセンス」と、出世作(だよね?)であるアップルシードが劇場公開。なんか最近、士郎正宗の再評価が進んでますな。


仙術超攻殻ORIONとドミニオンの存在を忘れていた人は、正直に挙手を。
てか、士郎作品ではドミニオン・コンフリクト編が一番好きなんですが。のーてんきな感じで。


てか、SF漫画家は士郎正宗だけじゃないだろうに。
士郎正宗は好きですが、もっと別の人も再評価しようぜ。


と、いうわけで、「アフター0」のフルCGアニメ化というのはどうか?
posted by 旅烏 at 02:46 | TrackBack(0) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年04月08日

どんな仕事がいいだろう

いや、ここ数日特にこれといった出来事もなく、日々平穏に過ごしているわけですが。
お天気もいいし、ご飯はうまいし。
そうですねえ、変わったことといったら

せいぜい社長と衝突して会社を辞めたくらいのもので


どうした、みんな。顔が引きつってるぞ?
いや、いいんですよ。客商売なのにお客さんを軽視してやまない社長の下で、そうそう長い間働いていけるとも思いませんし。
さて、次はどんな仕事をしようかと思いを巡らせているんですが。
いや、やりたい仕事は色々あるんですよ。

ドモホルンリンクルの抽出を一日中見張っている人とかね。
私にぴったりだと思いませんか?

あとは、av○xのCDをほめる役の音楽ライターとか。
真剣に音源を聴かなくてもよさそうなんで、私にも出来そうです。

あとは、トラッキーの中の人。
いや、運動神経が要りそうだから、トラッキーじゃなくてカープのマスコットの中の人がいいかな。トラッキーと違って動きも鈍そうだし。名前も知りませんが。

もしくはあれ、笑点のオープニングで、円楽師匠のまわりで頷いてる人。
あれ、結構稼げるらしいですよ?


posted by 旅烏 at 19:22 | TrackBack(0) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年04月04日

闇 或いは本能

闇を恐れるのは人間の本能なんでしょうか。
偉い人いわく、人間は本能はぶっ壊れているそうですが、今も闇を恐れる人は多いです。

「心の闇」という表現もいいえて妙です。
恐れている部分に「闇」という表現を使っているあたり。
きっと「無意識」がどうのこうのいうのともかかわってくるし、20世紀の思想史にもかかわってくるんでしょうが。

つまるところ、このテキストで何が言いたいかというと

トイレの中にいるときに、いきなり電球が切れるとすっげー怖いということ。


そして、そんなことは中日開幕三連勝の前には些事に過ぎないということです。
posted by 旅烏 at 22:18 | TrackBack(0) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

BEYOND REAL

DJ SPINNAのレーベルBEYOND REALのコンピレーション盤“BEYOND REAL EXOERIENCE”と“BEYOND REAL EXPERIENCE vol.2”を聴きなおしてみた。
いや、良かったわ。
vol.2の方は、正直あまりいいイメージがなかったんだけど、よかったなぁ…
浮遊感というのがDJ SPINNAを語る上でよく言われるけれども、まさにそんな感じ。POPの対極を行くという意味ですごくハードコアだけれども、いわゆるサグでギャングスタな「ハードコア」(鍵括弧つき)の対極でもある。
うん。近いうちにレビューで取り上げよう(と、思っている作品が何個もあるわけだけれどw)
posted by 旅烏 at 22:09 | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年04月02日

所沢ナイトメア 或いは全部台無し

「大丈夫? だいぶうなされてたけど」
「……怖い夢見てた」
 甘えるように肩に鼻先をくっつけてくる彼女。
「そっか、かわいそうに」
 僕はゆっくりと彼女の髪をなぜる。肩に押し付けられる感触が強くなる。
「どんな夢だったの?」
「よく覚えてない。だけど……」
「だけど?」
所ジョージが出てきた」
なんかもう、全部台無しです。
posted by 旅烏 at 15:47 | TrackBack(0) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

輸入盤が消える日

海外からのCD輸入を禁止する方向で、著作権法が改正されようとしているそうでございまして。
海外オンリーリリースの作品においては規制の対象にならないようではありますが、なんだかなあ。
改革は痛みを伴うとか言ってたのと同じ人物の答弁とは思えないね。
国内権益の確保ですか。
またも消費者は無視ですか。
本の再販制度も維持されるんだろうな…CDはOKで本は再販ダメ! っていうのも通らないだろうし。
日本は世界一高いCDと世界一高い本を売る国になるんでしょうな。
不景気で内需が落ち込んでいるわけでしょ?
普通、値下げしたり、逆に付加価値をつけたりして、なんとか売上確保しようとがんばるわけよね?
ところが、だ。音楽業界はそうじゃないらしい。
高い商品しか買えない状況にしてやれってのが、この著作権法改正案。
個人的に、海外アーティストの国内盤買うのをボイコットしようと、そう思います。
自民党には投票しねえよ、もう。
posted by 旅烏 at 15:43 | TrackBack(0) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年04月01日

エイプリルフールの罠 或いはクイズ

問題です。


エイプリルフールだというので「何か嘘をついてウケを狙わなければ!」と、義務とも焦りともつかない感情を抱え。
「よし! これで行こう!」


「○○は本日を持って閉鎖しました。今までありがとうございました」

と、フェイクの閉鎖宣言をし。

すると閲覧者からの反応が皆無で
それどころかよく見たら閲覧者自体が皆無で

そのまま寂しげな笑顔と共になし崩しに閉鎖してしまうサイト
いったい幾つになるでしょうか?
posted by 旅烏 at 05:19 | TrackBack(0) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

イーガンの短編と「三重盲検法」

グレッグ・イーガンの話題作「しあわせの理由」をようやく読了。
刺激とセンチメンタリズムにあふれた短編集で、とても楽しく読むことが出来た。近いうちに、本サイト(万来堂書店)の方で(今更ながら)紹介でもしてみようかと思ったのだけれど、気になる点がひとつ。
物語の本筋や面白さには関係しない部分だと思うけれど、軽いネタばれになってしまうので、そういった情報を知りたくないという方は、以下、読まないようにしてください。
以下、あぶり出し。
さあ、始めるぞ。
とある短編の中で二重盲検法(double blind method)についての記述がありまして。
二重盲検法というのは、実験結果に観察者・被験者双方からのバイアスがかかってしまうこと(あらかじめ得た情報によって、実験結果に影響が出てしまうこと)を避けるために考えられた実験法です。
薬と偽薬(プラシボといいます)を使った実験を例にすると、観察者の側に「この被験者には偽薬を使っているんだから、治療効果は出ないはずだ」という思い込みがあるために、微妙な実験結果をその結論に有利なように解釈してしまう。
またはその逆、「私は偽薬を投与されているんだから、効果など出るはずがない」という被験者の思い込みのために、本来出るはずだった効果が打ち消されてしまう。こういった現象を指して「バイアスがかかる」などというのですが。
このバイアスを排除するために、観察者・被験者の双方ともが、使われているのが薬か偽薬かを知らない状態で実験を行う(投与されたものが薬か偽薬かを知っているのは、その実験を更に観察している第三者のみ)。これが二重盲検法であります。

これが医療現場で適用されるときの倫理的な難しさってのは、想像に難くありません。まずひとつは、偽薬ってのは、効くであろう薬と比較するために(統制群として)用いられるのが普通なのですが、患者に了承を得ず偽薬を投与してその結果患者に不利益が出た場合(死ぬとか)、誰も責任をとれないこと。
もうひとつ、患者に事前に了承をとって投与した場合、二重盲検法そのもののメリットが失われてしまうこと。
つまり「あなたに投与するのは効く薬かもしれませんし、偽薬かもしれません」って説明された場合、患者さんは「私に投与されたのは何の効果もない偽薬かもしれない」という認知(不安と言い換えてもいいです)を抱えてしまうわけで、その認知が、本来生じるはずであった偽薬の効果を減じてしまうことは、十二分に考えられます。つまり、バイアスがかかってしまう。これではもはや二重盲検法と言えません(そのために、実際の臨床では動物実験が非常に重要になってくるのですが)。

さて、ここからが問題。
イーガンの作品では、その問題を回避するために、患者に無断で偽薬を投与してしまうというシチュエーションが出てきます。
これが職業倫理的に許されない行為であろうことはもちろんなのですが、イーガンはそれを「三重盲検法」と書いています。原文には当たっていませんが、おそらくtriple blind methodの訳語でしょう。
これがおかしい。
被験者が「自分の投与されたものが偽薬である(かもしれない)」という認知を持たないというのは、二重盲検法の必要条件の一つだからです。
つまり、イーガンが「三重盲検法」という用語で示した実験手続きは、なんのこたない、本来的な「二重盲検法」に過ぎないのではないか?

まあ、これが作品の傷にはなりえないんですが、ちょっと気になったので書いてみました。怒らないでね(笑)
posted by 旅烏 at 04:39 | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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