次は中古規制だそうで。
そうすると、洋邦問わずマイナーな音源は手に入れにくくなりますな。
レコードコレクターには住みにくい世の中ですね。私はコレクターではなく、ちょくちょくCDを買う程度ですが。
私の好物でありますHIPHOPでは、プロデューサー=レコードコレクターだ、なんていう発言もあったりしまして。いや、どこで読んだんだか失念してしまったのですが。
日本を代表するトラックメイカーの一人であるRhymesterのMummy Dも“WELCOME 2 MY ROOM”で、自分の部屋にレコードが溢れかえっている様を描写していますね。
あまたの音源を漁り、その中からこれはというブレイクビーツを探し出すわけです。
アメリカの著名なアーティスト集団であるDiggin' In The Crates(DITC)なんてのは、そのままエサ箱(店のレコード棚)を漁るというところから命名されていたりもします。
彼ら、プロデューサーやDJにとっても、マイナーな音源が手に入れにくい世の中がやってくるのでしょうか。
すると必然的に、魅力的なブレイクを探し出すという作業が阻害されます。
つまり、サンプリングという手法が阻害されるともいえます。そのサンプリングの素材を探し出す作業が阻害されるわけですから。
もちろん、HIPHOPミュージック全てがサンプリングを用いているわけではありません。The RootsやOutkast、Black Eyed Peas、国内においてはLoop Junktionの例を持ち出すまでも無く、生演奏を用いた素晴らしい楽曲は、HIPHOPにも数多く存在しています。
しかしながら、ブレイクビーツという手法の発見によって、HIPHOPは生まれたといっても過言ではなく、ブレイクビーツはその根幹と深く結びついたものです。
俗に「2ターンテーブル & マイクロフォン」というのが、一番ベーシックなスタイルだといわれています。2ターンテーブルが、すなわちブレイクビーツ。マイクロフォンがラップ。ロックで言うところのギター・ベース・ドラムの3ピースみたいなものでしょうか。
もし輸入権創設によって輸入盤市場が縮小し、中古規制によって中古盤市場が縮小したら、これはダイレクトにブレイクビーツに影響するでしょう。
先ほどの3ピースの喩えを使うならば、著作権によってギターの使用を制限されるようなものです。
いや、私、ロックはド素人ですので、著作権によってギターの使用を制限されたら、ロックにどのような影響が出るのか、よくわからないのですが。
結局のところ、何が言いたいのかというと、輸入盤が手に入れにくくなり、中古盤が手に入れにくくなったら、日本におけるHIPHOPは緩慢な死を迎えるのではないか、そう思うのです。
もしそうなってしまったら、70年代半ばにニューヨークで生まれ、80年代に日本に渡ってきて、様々なアーティストの奮闘で日本に根付きつつあるHIPHOPというアートフォームを殺害したのは、RIAJだということになりますね。