2004年06月24日

吉川著作権課長講演録に対する愚痴

造反有理さんのエントリー「吉川著作権課長講演録(1)」「同(2)」で、吉川著作権課長の講演内容を取り上げてらっしゃいます。
講演内容をざっと読んでみたのですが、まあ、内容的には今までの繰り返しがほとんどです。懲りないものであります。
同じ事を性懲りも無く繰り返しているわけで、それに対して同じように反論するというのも芸がありませんので、思ったことをいくつか書くに留めようかと。


「参議院の委員会・本会議、衆議院では審議の過程でいろいろあり、とても賛成はあり得ないのではないかという質問をされた先生もおられたが、結果的には賛成であった。したがって、国会においては政治的な意味での対立はないということである。

 国会で国民の代表が皆賛成しているというのはかなり大きなことではないかと思うのだが、昨今の新聞の取り扱いを見るとそうした論点ははしょられている。そのことをまず申し上げておきたい。」

はて、様々な反対意見をはしょっているのはどちらでしょうかね?
6万弱の署名を審議未了扱いにしておいて、「新聞は論点をはしょっている」たあ、いい度胸ですな。


「これは意見募集という名前であり、パブリックコメントといわれる公式のものとは異なる。ここが正確に受け取られていないと感じている。
(中略)
我々としては意見募集で集まった意見は委員に配布し、文化庁の部屋にも備え付け、誰でも見られる状態にして公開資料にした。記者も何人かは見て行かれた。しかし、衆議院の段階でちゃんとオープンになっていたのかという疑念をおっしゃる方がいた。これはそのように扱って文化庁に備え付けておいたものであり、秘密にしたということでは全くない。であるから、なぜそういう疑念が起こるのかはよくわからないが、委員の先生の議論の俎上にも上っているし、しかも公表の資料であった。これを強調したいと思う。」

官庁が行う意見募集が「公式なものとは異なる」だって?
公式な意見募集ではないのだったら、内々でやってください。馬鹿馬鹿しい。
ネットを使って全国から意見募集しておいて、公開は東京の文化庁で行うようなことをしているから、誠意が無いと言われるのですが。
沖縄から意見を送った人に対しては、東京まで見に来ないお前が悪いということですかね? ずいぶん人を馬鹿にした話ですな。



「難しいのは、問題があるとすれば、消費者団体が加わるということ自体は課題によっては十分考えられるのであるが、個人的な意見であるが、反対のための反対をされるだけであれば関係者間協議の枠組みが無くなると思う。それが難しいところである」

つまり、著作権課長としては『消費者団体は反対のための反対をする』組織であるという風に捉えているということですね。これは大問題ですよ。
著作権課長という、知財行政の中枢にいる人物が、そのような認識で構わないのでしょうか。



「第二に、日本に直輸入、向こうからすれば直輸出することによって十分な利益を上げることができているから、その利益を捨てて流れを止めるというビジネスは現在も行われていないし、不合理ではないか。また、これも将来の予測だが、仮に5メジャーが止め、日本の消費者が怒るようなことをすれば、今回の措置のような非常に微妙なバランスに立って作られている法制は吹き飛んで、無しにしてしまえという議論が大勢を占めるものと思われる。とすれば、5メジャーの動向によって今後物価の安いアジアからの日本への流入があっても権利行使が一切できなくなるというリスクがあるが、それを考えると止めるというのはかえってマイナスになるのではないかと思っている」

ほほう。無しにしてしまえという議論が大勢を占めていないかのような言い草ですな。
ていうか、5メジャーが権利を行使することのメリットについては、さんざっぱら繰り返されているので、省略。まあ、そういった論点ははしょっているのでしょうね。ご自身が批判している新聞のように。



「RIAAのレターについてマイナーなポイントがあるが、これは省略する」

RIAJが翻訳を恣意的に行ったのではないかという、非常に重要な問題も、この『マイナーなポイント』に含まれるようです



「(最初に国内で発行するということを要件に含めなかった点について)しかし、例えば私が外国人であったとして、最初に国内で発行されてなければならないという条件は汚い手を使って国内を保護しているとみえる。そういう主張が二国間、国際的パネルでも展開されると思うし、全世界を敵に回して戦う気がない限り「最初に」ということを付けるのはまずいと思う」

はあ?
そもそもの立法趣旨が国内産業の保護でしょ?
それが、国内を保護していると思われるとまずいの?


「最終的には同一性は司法判断が最終決定であるといわざるを得ないのであるが、還流防止措置を考えた場合、韓国で発売されれている音楽レコードでボーナストラックが1つ含まれるものがあったのだが、「これは同一でないとは言えないと考える」と我々は言っている。ただ、本当に同一を文字通り解釈すれば「全く同じ」ということになる。従って「1曲であれば確実」とは申し上げにくい。聞かれれば我々はそのように回答するというくらいで、100%の自信があるわけではない。裁判で全く一致していなければならないと判断される可能性なしとしない

つまり、『裁判沙汰になるぞ』と言っているようなものですね
そんなハイリスクな商品を取り扱う奇特な輸入業者はいるのだろうか……



「(今後の検討課題である公貸権について)簡単に前に進めるという甘い状況にはないということはわかっている。私としては非常に困るのであるが

なぜに著作権課長が困るのか、問い詰めたい。小一時間問い詰めたい。
議論が進まないと公貸権が創設できないから困るとかいうんじゃねえだろうな?
著作権分科会ってのは、まず権利の創設ありきでやってんですか? ふざけるのもいい加減にしていただきたい。



「民主党の中に非常に強力にこれを応援してきたと言っている人もいるし、相当疑問が強いから賛成しかねるという感じの人もいた。非常に幅があった。実は与党の中にも相当いろいろな人がいる。与党の議論でもそれをずっと積み上げていって、最後に誰も反対がなかったというのはこの種のものでは奇跡的だと思う。私は3分の2は賛成、3分1は反対だろうと思っていた。この中ではもっと大きいかもしれないが。反対とおっしゃるかもしれないと思っているくらい。法制問題小委員会でも2対1以上で反対なり慎重な意見の方がいらっしゃった

まあ、採決の際に退席した人はいましたし、賛成したことを詫びた参議院議員もいましたが、確かに反対ではありませんな。
みなさーん。法制問題小委員会ってのは、反対が3分の1いても構わないらしいですよ〜。


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posted by 旅烏 at 18:03| Comment(1) | TrackBack(5) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

5月は洋楽が売れなかったらしい。

RIAJが、2004年5月度のレコード売上実績を公開しました。
詳細は見ていただくとして、気になったところをちょっとピックアップしていきますと……



・邦楽に関しては、5月の実績、1月から5月の累計実績いずれも前年並。

・洋楽シングルは、8cmシングルの大健闘にもかかわらず、5月は金額ベースで大きく前年割れ(前年同月比69%)。
1月からの累計では、前年比112%と、まだ踏みとどまってはいますが、この傾向が続くと苦しいでしょう

・CDアルバムに関しても、洋楽の5月度実績は、金額ベースで81%と大きく前年割れ。累計では前年比96%。これもシングル同様、今後もこの傾向が続くと苦しいでしょう。

・シングルとアルバムの合計でも、洋楽は5月度は金額ベースで前年比80%。5月までの累計では前年比96%

・今年度に入ってからの各月別データを見てみると、(洋楽に関しては)3月まで好調を維持していた(CD全体で3月の前年比109%、累計で104%)が、4月で前年を大きく割り(前年比89%、累計では100%)、5月に入りその傾向に拍車がかかった格好(前年比80%、累計で96%)。



4月から続いている洋楽売上の減少傾向は、様々な要因が結びついたものでしょう。例えば、Queenのヒットが一段落したからだ、とか。
5月に入って、その傾向に更に拍車がかかった原因はわかりません。単純に「これが原因だよ!」なんていえるほど単純なものではないでしょう。
まさか、この輸入CD問題でリスナーの国内盤離れが起こったのが主な原因だなんてことはないわなあ?(笑)
6月に入って、著作権法の改正案が成立し、リスナーの反感は頂点にまで高まったわけですが
これで6月の洋楽国内盤の売上が更に落ち込んでいるようなことがあったら、各レコード会社はどうするつもりなんだろう?
posted by 旅烏 at 13:39| Comment(1) | TrackBack(8) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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