この記事によると、マンガ家の松本零士氏が、なんか変な主張をしたらしい。
まず一つ目。記事から引用させていただくと
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(松本氏は)「孫子の世界まで自分の著作物を守りたいというのが心情だ」と述べ、そのためにも現行著作権法では「作者の死後50年」となっている保護期間を「本音は死後120年ぐらいにいっぺんに延ばしてくれればいいが、そんな無茶は言えないので、まずは速やかに死後75年に延ばして欲しい」と主張した。
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松本氏の心情で、著作権法を動かされてたまるか。
さらに一つ。こちらのほうは、それに輪をかけて珍妙に思えるのだが。
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また松本氏は、「自分が描いたマンガの中で自分が苦労して編み出した言葉、いわば『創作造語』とでも言うべきものが簡単に盗用されてしまう」「というより、現在はそれの盗用を著作権法上防止する規制がないので、盗用という意識すらない」と語った上で「このような『創作造語』についても早急に著作権で保護するような制度を整備して欲しい」とも主張していた。
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待ってくれ待ってくれ。「宇宙戦艦ヤマト」は「戦艦大和」の盗作だと言われたらどうするつもりなんだ? コスモゼロだって、まんま零戦じゃないか。
ましてや、「宇宙戦艦」というアイデアは? 松本氏のオリジナルだなどとは、まさか言うまい?
「ワープ」って、最初に誰が考え出した言葉なんだ?
いや、クリエイターが、自らの作品からパクられるという行為に敏感なのはわかるよ。
わかるけどさ、それを法律で規制することでどれだけのものが失われてしまうか、ちょっと想像しただけで恐ろしいものがあるぞ。
「ワープ」使えないね。
「タイムスリップ」使えないね。
「タイムパトロール」使えないね。
「パラレルワールド」使えないね。
「テラフォーミング」も、ジャック・ウィリアムスンによる造語だから使えないね。
「ロボット三原則」ああ、もう絶対無理。ラッカーの「ソフトウェア」も、小松左京の「ヴォミーサ」も駄目だな。
「サイバースペース、電脳空間」、無理の真骨頂だな。
というか「ロボット」はカレル・チャペックによる造語だ。
松本氏の言うとおり『創作造語』を著作権によって保護し、松本氏の言うとおりそれを作者の死後120年にまで保護したらどうなるだろう。
チャペックが死んでから、120年はたっていないと思うぞ?
松本氏の主張どおりに著作権法が改正されたとすると、他ならない松本氏の代表作が著作権を侵害することになりかねないが、その自覚があるのだろうか?