2004年11月24日

文化庁のデータの選びかたについて

文化庁がまたデータを公開してくれた。文化庁曰く、このデータに基づいて検討した結果、還流盤の輸入禁止期間を4年と決定したというわけだ。
で、その肝心のデータを見てみたんだが、これ、いかんぞ。まったくもっていかん。
まあ、まずは皆さん見ていただきたい。

1995年9月以降発売邦楽アルバムの売上水準別分布状況

大ヒット邦楽アルバム売上推移(累計)

大ヒット邦楽アルバム売上推移(週間)

大ヒット邦楽アルバム売上経過

7年間の総売上が5万枚以上の邦楽アルバムの売上消化率の推移


この調査事態にケチをつけるつもりはないし、もちろん、この調査を行った会社にケチをつけるつもりもない。
問題はアレだ。このデータが、還流盤の輸入禁止期間を検討するのに適したデータかということだ。
もう断言するけど、まったくもって適していない。


さて、還流盤の輸入禁止期間決定に際し、文化庁はもうなんかすっげえ勢いで批判され、かくいう私もすっげえ勢いで批判したわけだが、私がどの部分を批判したかというと、6万タイトルものデータを対象にしていると謳っておきながら、実際には具体例を数例挙げたのみでそれを根拠としている点だった。
レアケースを挙げただけで何を根拠付けたつもりになっていやがる。全体的な傾向でも算出しやがれ、と。


今回新たに示されたデータだが、これを見るとその傾向がそのまま現れている。実のところ、このデータってのは具体例を32タイトル分挙げてあるだけだ。
つまり、極少数の例を根拠にして、何万タイトルの扱いを決めてしまおうという構図はなんら変わっていないわけだな。
言い方を換えると、最初は2つしか示されなかった具体例が32に増えたに過ぎない。


こうなると問題がはっきりしてくるな。
この場合、全体の傾向を求めること無しに具体例に当たろうというそのやり方自体に問題があるわけだ。
さらに言うと、こんなデータを依頼した方が悪い。
最初から売上推移の全体的な傾向なんて求めようが無いデータを発注しちゃったわけだ。
アレだ。どういうデータを取れば良いのかがそもそもわかっていなかったんじゃないかとすら思えてくる(つまりアレだ。もしそうだとしたら無能極まりないなって話だ)。
どういうデータを取ったらわからないけど、とりあえず適当に調査を依頼したんちゃうか?
一生懸命にまとめたデータが、実は何の役にも立たない、というか役に立てようが無いデータだったってのは、可哀想というかなんというか。この調査を依頼した人物は猛省すべきだと思うぞ。


追記:sheepmanさんからリンク違いをご指摘いただきまして、修正いたしました。
また、資料7年間の総売上が5万枚以上の邦楽アルバムの売上消化率の推移はHMVとタワーレコードがサウンドスキャンに依頼して作成したデータを、文化庁が編集したものであるとのご指摘もいただきました。ありがとうございます。
てことは、データの選択についてはHMV・タワーレコードもヘタをうっているというわけで、いかんね(まあ、両者によるデータがこれだけかどうかはわからんわけですが)。
ここで文化庁に同情的な妄想をするとだね、初めにHMVやタワーレコードといったところから具体例をデータとして示されてしまったから、具体例をデータとして挙げ返した、ということなのかもしれない。
しかしながら、その「具体例のみを持って判断の根拠とする」というやり方が、この場合には適切ではないものなので、その点に関しては、文化庁もHMV・タワーレコード双方とも同じくらい馬鹿である。
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2004年11月17日

クリエイティブ・コモンズのコンピレーションアルバムにダン・ナカムラやCHUCK Dが参加!

既に各所で報じられ、取り上げられているBlogも多いんだけども、なんでもクリエイティブ・コモンズの趣旨に賛同するミュージシャンたちがCD作ったそうで、コピーしてもファイル交換しても、広告目的だったり丸々ぱくったりしない限りサンプリングしてもいいよ、という趣旨の代物。
私は音楽配信メモさんのエントリで最初に知ったので、音楽配信メモさんにリンクさせていただきましょう。こちら
でもみんな「ビースティー・ボーイズや日本からはコーネリアスが…」ってな具合の紹介なので、あえて違う人たちをタイトルに入れてみた。CHUCK D、まだ元気なんだな。
CDは日本語版が潰れて久しい米国のWIRED誌にくっついているらしい。あー、昔ウィリアム・ギブスンのインタビューに釣られて一回だけ買ったことがあるわ。当時はPC持ってなかったけど。で、クリエイティブ・コモンズのサイトでのインフォメーションはこちら。視聴も出来るので、興味のある方は是非。
著作権を緩和すべしという側から出てきた面白い動きだし、これが盛んになれば本格的に面白くなる可能性も秘めていると思う。




ええと、以下、著作権云々をしばし忘れてぶっちゃけますと。
個人的にはこの面子、微妙だなー(笑)。
なんか「日本からはコーネリアスが参加」って感じなんだが、日本のレコード会社には縁が無いとはいえ、DAN THE AUTOMATOR(ダン・ナカムラ)も参加しているんだから、もうちょっと注目してあげようよ(笑)。日本が誇る曲者プロデューサーなんだから。
あと、BRYAN ENOやPETER GABRIELにもちゃんと声かけてあげようぜ(笑)
CD-Rに焼いてもコピーしてもファイル交換してもOKってのはリスナーにしてみればありがたいだろうけど(個人的にはいずれも縁がありませんが)、サンプリングソースとして有効に機能し得るかというとちょっと疑問。
「さあ、サンプリングしてもOKだよ!」ってな感じで並べられた楽曲群をサンプリングするってのは、うーむ。それよりも、自分の手で音源漁って、自分の見つけたフレーズ使ってっていうのが、DJ気質としてあるんじゃなかろうか。DJなんざやったこと無いけど。
逆に言うと、このCDに収められた楽曲をサンプリングしてもらって、いっちょアンダーグラウンドスマッシュのひとつでもスパーンと出してもらえれば、いよいよ面白くもなってくると思う。
てか、クリエイティブ・コモンズのサイト読んでみるとnoncommercial purposes onlyなんていう具合に書いてあるわ(全部の曲がじゃないけど)。要するに、ネタとして使っていい曲と使っちゃダメな曲があるみたいね。
リスナーにとっては使いやすいありがたいものだと思うけど、これをシーンの活性化にまでつなげようなんて大それたことまで考えると、あと一歩「クリエイターにとって使いやすい」というところまでいかないとうまく機能しないだろうなーなどと愚考する次第。
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なぜ2枚組にしたのか小一時間……

雑貨屋の広報掲示室さんのエントリ「60 Minutes」に激しく同意すべく、華麗にトラックバック。
そうそう。あまりに長いアルバムってのはだるいというかだれるというか。裏ジャケみて曲数が20曲以上もあったり、しかもそれが2枚組だったりした日にはもう嫌な予感がして仕方がないとういうのは俺だけではあるまいと信じたい。
アレですよ。流した20曲よりも厳選された8曲ですよ。
もう2枚組というだけで亜qwせdrftgyふじこlp;@
2枚組はベスト盤だけでいいっすよ、もう。
個人的な理想は12〜14曲程度。スキットもいらんよ、もう。
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2004年11月16日

イーガン、ライバー、ベスター等

「イカロスの誕生日」小川一水/ソノラマ文庫
「復活の地 3」小川一水/ハヤカワ文庫JA
「すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた」ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア/ハヤカワ文庫FT
「トリポッド 1 襲来」ジョン・クリストファー/ハヤカワ文庫SF
「くらやみの速さはどれくらい」エリザベス・ムーン/早川書房(ネビュラ賞受賞作)
「万物理論」グレッグ・イーガン/創元SF文庫
「魔の都の二剣士」フリッツ・ライバー/創元推理文庫
「エンベディング」イアン・ワトスン/国書刊行会
「願い星、叶い星」アルフレッド・ベスター/河出書房新社(奇想コレクション)


「願い星、叶い星」の巻末に奇想コレクションの今後の刊行予定が載っていて、これがなんとも楽しみにさせてくれる。
ラインナップは以下の通り。

「輝く断片」シオドア・スタージョン
「どんがらがん」アブラム・デイヴィッドスン
「ごっつい野郎のごっつい玩具」ウィル・セルフ
「ページをめくると」ゼナ・ヘンダースン
「TAP」グレッグ・イーガン
「たんぽぽ娘」ロバート・F・ヤング
「最後のウィネベーゴ」コニー・ウィリス

いわば「奇想コレクション第二期」にあたるこの面々。目玉はやはりグレッグ・イーガンと、ミステリ作家の殊能将之氏が編纂にあたったアブラム・デイヴィッドスンだろう。
ていうか、アブラム・デイヴィッドスンなんてまあ、最後に作品が翻訳されたのって何年前になるんだ?(とかいうと、SFMかHMMでこっそり訳されていたりしそうで恐かったりもするんだが)。
つーか、この勢いでサミュエル・R・ディレイニーやハワード・ウォルドロップの短編集なんかどうっすか?
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OL' DIRTY BUSTARD急死

OL' DIRTY BUSTARDが急死したと報じられた。


畜生。よりによって死んじまうだなんて、なにやってやがんだODBめ。
こないだベタ誉めしたPHOCUSのアルバムの冒頭を飾る曲“Ain't That Some...”には、のっけからODBの声がはいったりしてたんだけども、嫌なシンクロニシティだな。
史上最もメチャクチャでトチ狂ってて何も考えてなくて最高にいかしてるMC、そのODBがいきなり死んじまってどうするんだよ。あんたの後継者なんて誰もいやしないんだぞ。
今すぐ戻ってきて責任取れ、畜生。
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2004年11月14日

EMINEM

“ENCORE” EMINEM

とりあえず聴いてみた。トラックが好きになりきれない部分があって、前作は買わなかったし1stも2ndも自分にとって愛聴盤とは言い難いんだけども、これは割と良かったっす。なんだかんだ言っても、スキルはものすごいものがあると思うし。
印象に残ったのはNATE DOGGも参加した“Never Enough”とブッシュ批判で話題にもなった“Mosh”(一昔前なら「ヤツをブチのめせ」とかいった恥ずかしい邦題がつけられているに違いない(笑))、延々と前のヨメさんに悪態をつき続ける“Puke”あたり。

しかしアレだ、歌詞を素直に読んだり、アートワークを素直に見たりした分には、EMINEMは引退する気満々な気がしてくるんだけども、そこらへんどうなんだろう?
引退する気満々だったとしても、周りの人間が素直に引退させてくれるとも思えなかったりする。
これがEMINEMの最後の一発にふさわしい出来かどうかは、EMINEMの良きファンではない俺が言うべきことじゃないな。俺は結構好きだけど、このアルバム。
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2004年11月13日

LIFE-プロジェクト

音楽配信メモさん経由。サンスポより。『30〜50代に音楽の魅力を……「LIFE-」プロジェクト』
詳しいことはリンク先を読んでいただくとして。一部引用。

同連盟常務理事の山中浩郎氏は「大人が聴ける音楽を作っていきたいし、30〜50代の人にもう1回音楽に耳を傾けてもらえるよう発信していきたい。若者たちにもヒップホップやパンクロックだけじゃない、こんないい歌がある、ということも発信したい」と話した。


うーん……
むしろ逆の「大人にもヒップヒップやパンクロックの良さを知ってもらえるような音楽を作っていきたい」ってな発想が出来ないと、なーんか前途多難な気がする。
「過去にあった○○のようないい曲」なんか作ってしまった日には、コケてしまうような気がするんだよなあ。だって、「大人」はもう持っている音源を聞けば、それで事足りてしまうんだから。
過去の音源の再発も同様であるような。
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PHOCUS

音楽誌も読んでないわ新譜を買う数も減ったわで最近のシーンのこたぁさっぱりわからんのだけど、このPHOCUSというのは、トロントを拠点に活動しているトラックメーカー/MCのMUNESHINEとNYの新進気鋭のMCであるSYCORAX ONEのユニット、ということらしい。
で、そのPHOCUSのアルバム“A Vision And A Plan”を聴いているんだけれども、うん、いいかも。
ジャケットの上にペタリと貼ってあるステッカーや簡潔なライナーノーツを見るに、なんかやたらと「ジャジーである」と強調されているのだけれども、いざ聴いてみるとさほどジャズの要素は強調されていない。
ジャジーなHIPHOPというと、やっぱりTHE ROOTSを想像してしまうのだけれども、当のTHE ROOTSや、その直系ともいえるOTHELLO & THE HIPKNOTIKSの作品とはかなり印象が違う。というか、こちらはもっと音がクリアで、落ち着いた中にももうちょっときらびやかなイメージ。
言い換えると、適度にクリアで適度にポップなのだな。
で、「ポップ」ってなこというと、どうにもあまり良くない印象を受ける人が多かったりするのもHIPHOPのリスナーであったりするんだけれども(笑)。この場合誉め言葉として使っている。んで、PHOCUSにおけるポップさってのは、コード進行に長けたトラック作りの結果だと思うんだけども。
いわゆる「アンダーグラウンド」な人たちってえと、90年代に流行った音作りの影響下にある人が多く、またそういった人たちが評価されたりもするんだけれども、その実、聴いてみると肩の凝る作品が量産されていたりもするんだ。もちろん私見だけれども。
例えば(ここまで来ると個人的な好み以外の何物でもないんだけれども)DIALATED PEOPLES。クオリティが高いのはわかるし、志が高いのもわかるんだけども、どうも駄目なんだよ。聴いてて窮屈で仕方がない。MADLIBなんかもそう。
ぶっちゃけ、ニュースクール(90年代前半の連中)以降に対する解釈の違いってことなんだろうけども、どうも真剣な部分ばかりがクローズアップされているような。肩の凝らない楽しさを全面に出していたグループも少なくなかったはずなんだけども。
その点、PHOCUSのこのアルバムは聴いていて楽しい。
他に「楽しさ」を志向しているグループってえとJURASSIC 5やUGLY DUCKLINGあたりがいるけれども、確かにこの2グループと比べるとジャジーに聴こえないことも無いな(笑)。
比較対象としてはふさわしくないかもしれないけれども、JURASSIC 5の“Quality Control”と比肩する出来のアルバムだと思う。いや、収穫収穫。


関係ないけど、音質がクリアってのも「90年代のデッドコピーじゃ終わらねえぞ」みたいな感じがして好感。
SHAWN J PERIODがウケた時期ってあったでしょ。あれ、もちろんビートの出来も凄いと思うんだけど、今思うと音質的な面での驚きっていうのもあったなあ、と。時代はまだまだ「あいれぺぜんざはーこー/らふらぐどぅんろー」な時代で、ざらついたビートがまだまだ幅を利かせていた時代(いや、そういう音、今でも全然好きだけどね)。そこに現れた全篇生演奏のクリアな音質ってのは、衝撃ではあったかもしれない。まあ、個人的な感想ですが。
posted by 旅烏 at 01:35| Comment(17) | TrackBack(9) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月09日

FAT JON、PMD等

“Afterthought” FAT JON
“The Awakening” PMD
“A Vision And A Plan” PHOCUS
“Freshcoast Gettin' Rowdy” SPEECH DEFECT
“The Grind Date” DE LA SOUL
“The New Danger”MOS DEF

いや、実はマボロシが欲しくてHMVにいったんだけど、LGCD2だったのでなんか萎えて断念。
でも気になることは気になる。
posted by 旅烏 at 21:28| Comment(18) | TrackBack(0) | 購入したCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

選挙結果を解釈するということ

こないだアメリカ大統領選についてちらっと書いたけれども、その後、つらつらと考えたことなどを。
以下は一般論であり、さらに私は法律にも政治にも素人なので、何の参考にもなりはしないことを最初に断らせていただいて……


えーと、まずは選挙をして選挙結果が出ました、と
例えば、政権与党が勝って、野党が負けました、と
そうすると与党の側は「我々の政策・主張が受け入れられた結果だ」と言い、野党の側は「我々の政策・主張が十分には理解してもらえなかった」だとか「不正投票があった」とか言う。
これがまず、投票結果を自分たちのいいように解釈している例。
これが信用できるものか、妥当性があるかというと、ないだろうな。投票結果は、「有権者がどう考えてそういった投票をしたか」ということを示すものじゃない。
逆に言うと選挙というのは、有権者は投票した側の政策を信任しているということを仮定して実施されるシステムだともいえる。
これはあくまで仮定であって、その実はどうだかわからない。確かに政策を吟味した上で投票する人もいるだろうけど、別の動機で投票する人も多いだろうし。

で、さらにここに各種世論調査が加わる。投票結果と世論調査結果を合わせて検討した上で解釈してみたらどうだろうか。
まあ世論調査の取り方については、技術的な問題は無いものと仮定しましょう(サンプリングの仕方や、選択肢の内容やその並び方とかね)。
それでもなお、選挙結果の解釈というものが信頼できる、妥当性があるものかというと、実は疑問だったり。
これはアンケートによる調査っていう形式自体が持つ限界じゃないかと思うんだけどね。
アンケートってのは、行動の動機をきちんと反映したものなのだろうか。
もっというと、この場合のアンケートってのはある人が自分の心理状態を分析して(自己評定して)回答するものだけれども、その自己評定ってのがいかにあてにならないものか。興味のある方は心理学の迷宮に踏み込んでいただきたいのだけれども。


世論調査というのも(その形式的な限界により)投票する動機をきちんと反映しているとは考えにくいわけで。
じゃあ、何を持って選挙結果を解釈すれば良いのか。


……ていうか、解釈なんて好きにすりゃあいいんだけどさ(笑)。
問題はその解釈が妥当性・信頼性という点では疑わしい、多数の仮定の上に成り立つものだということを自覚しているかどうかだわな。
選挙というのも、票を多数獲得した側の政策が支持されているという仮定に基づいたものだし。
世論調査というのも、その時点での世論を正確に反映しているという仮定に基づいたものだし。
世論調査と選挙をリンクさせるというのも、投票行動に潜む動機と、その動機の自己評定が正しく対応しているという仮定に基づいたものだし。
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鉄板・ガチ・セメント

日曜日はとても買取が忙しい日であったんですが。
まあ、俺が接客をしているときにも、横から割り込んでくるお客さんがいたりするわけで、お前ちっとは空気を読めとか言いたくなるんですが、まあまあ。
で、横を見ると、年のころなら70は越えていようという、腰も曲がり耳も遠いらしいおじいさんが、大声で何事か訴えている。
まあ、こちらも(耳が遠いらしいので)大声で応対したんだけれども、何度言ってもわかってくれない。

だから、ウチは古本屋だからセメントは置いていないんです。

そもそも、どうしてウチにセメントが置いてあると思ったのかが謎なんですが。
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2004年11月07日

ブッシュでもケリーでもどっちでもいいんだけど

選挙権はおろか国籍すらもっていない他国の国家元首を決める選挙なんざ野次馬程度の関心しか持っていないし、それによって日本の経済活動にどのような影響が出るのかを語れる知識も無いので、はっきりいってブッシュだろうがケリーだろうがどっちでも構いやしないんだが。
昨日の風はどんなのだっけ?さん経由で唐澤俊一氏の裏モノ日記を読んでの雑感などを。
初めに断っておくけど、特に批判というわけではないっす。


いやなあ、保守でも左翼でもリベラルでもネオコンでもいいんだけど、都市ではどこどこが強くて農村部ではどこどこがつよい、と、そういうデータがあるのはまあいいよ。
ただなあ、そのデータから、都市部と農村部の住人個人の考えや心情まで考察するってのはいかがなものかと思うんだよ。
たかだか投票行動を見ただけで、その地域の住人について何を語れるというのかと。
ニューヨークにもテキサスにも、大量の共和党支持者と民主党支持者の双方がいたわけだろ。その多様性は無視されているようでね。
ましてや、「農村部の住民は啓蒙されていない」だとか、それとは逆の「これは高慢なインテリ層に対する農村のしっぺ返しだ」とか。
投票行動をみただけで、その動機まで断定してしまう。なんだ、自分の都合の言いように解釈しているだけじゃないか。
まあ、そもそも解釈なんてそんなもんなんだけども。
どっちの立場の人も私から見れば同じに見えてねぇ。
相手の陣営を批判するために、農村部での投票行動を良いように捻じ曲げているだけだ。
なんのこたあねえ、農村を非物質的に搾取しているだけのように見えちまうんだよなあ。
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ゲバラ対アノマロカリス 南海の大決斗

いやね、出勤したら休憩室の机の上に、バイト君が持ってきたお土産が置いてあったわけですよ。旅行にでもいったのかね。
なんとそのお土産が葉巻と来たもんだ。変わってるね。
そこにメモが添えられていまして。

「カポネを気取るも良し
 ゲバラになりきるも良し
 お好きなだけどうぞ」

いや、ゲバラって久しぶりに聞いた。えーと、「モーターサイクルダイアリー」だっけか? 華氏911見に言ったら予告やってたわ。強いぞゲバラ。口から火を吹くぞ。ゲバラ袋でなんでも溶かすぞ。

しかしな、みんなカポネは知っているけれど、ゲバラは知らないんだな、これが。
いや、こうなるとこっちも意地になりましてね。従業員全員に「ねえ、ゲバラって知ってる?」って、いや、俺はゲバラの回し者か。
結果、18人中知っていたのは4人。ゲバラ駄目じゃん。駄目駄目じゃん。最近どうしたの。悩みでもあるの?
いや、ゲバラの悩みなんか金をもらっても聞きたくないわけですが。


関係ないが、ゲバラを知らなかった人でもアノマロカリスは知っていたので、俺の中ではアノマロカリス>>>(大爆発)>>>ゲバラ。
アノマロカリスが世界同時革命を巻き起こす。なんかもうバック・トゥ・カンブリア紀ですよ。根本的革命。
posted by 旅烏 at 01:36| Comment(2) | TrackBack(1) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月03日

拍子抜けの文化審議会著作権分科会 第3回法制問題小委員会

IT mediaによると、文化審議会著作権分科会 法制問題小委員会の第3回が開催されたそうで。記事はこちら

先日まで募集していた、著作権法全般についてのパブリックコメントがこの小委員会で取り上げられるという話だったのだけれど、パブリックコメントが各委員に渡されたのは審議終了後とのこと。なんじゃい、そりゃ。

というわけで、次回の開催は11月26日の予定。次回は、パブリックコメントを踏まえたものになるはず。
posted by 旅烏 at 02:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

馬鹿が言い訳をしているよ

先日、還流盤の輸入禁止期間を4年にするとの正式決定が文化庁によってなされ、そのプレスリリースには随分と失笑させてもらった
そしたら、文化庁がサイトでこんな文章を公開した。
著作権法施行令の改正に関するパブリックコメント(意見提出手続)の結果について
文章の分量を多くしたところで、言ってることは全く同じだ。悪いが、やっぱり組織として馬鹿なんだよ。ごめんな、文化庁。
何箇所か引用してみようか。

 まず、一般的に音楽レコードが国内市場において流通していると推定される期間としては、2000年から2002年の平均値として推計した7.5年という期間等に基づき、還流防止措置の適用期間に係る法律上の上限として、7年と見積もられています。
 (なお、廃盤の実態については、企業秘密にかかわる関係などから、調査には一定の制約がありますが、発売から4年経った音楽レコードでも約9割が、7年経った音楽レコードでも約7割が、なお廃盤や生産中止とはならずに市場に流通しているという調査結果もあります(物流業務を同一の会社に委託している日本レコード協会会員レコード会社11社を対象に実施)。)


あのね、調査結果があるときは、そのデータも一般に公開、または参照できる状態にしようね?
学生時代に学術論文とか読まなかったかな?


でね、みんな。2例しか具体例を出さなかった文化庁くんが、なんと今回は4例も具体例をだしたよ!
以下、その具体例部分。

例@:これまでに約430万枚を売り上げている音楽レコード(1997年発売)
→ 発売から2年目に約24万枚、3年目に約9万枚を売り上げていたものが、4年目に約1万枚、5年目に約3千枚と落ち込んできているケース
 例A:これまでに約340万枚売り上げている音楽レコード(1998年発売)
→ 発売から3年目に約30万枚、4年目に約10万枚、5年目に約8万枚、6年目に約18万枚と、根強く売れ続けているケース
 例B:これまでに約50万枚売り上げている音楽レコード(1996年発売)
→ 発売から2年目に約1万5千枚を売り上げた後は、3年目・4年目・5年目は数千枚程度だったものが、6年目に約9万枚を売り上げるに至ったケース
(注5)我が国の音楽市場において、「週に何千枚、年に何万枚」が相当程度の売上げであることは、今回実態分析の対象とした約6万のタイトル中、総売上枚数でも1千枚に満たないものが約40%、総売上枚数でも1万枚に満たないものが約85%を占めるという、売上げの二極分化が進んでいることからも分かります。例えば、大ヒット作品の代表例であり、実際にも還流盤が存在している宇多田ヒカルの『First Love』(1999年発売)では、発売後1年半で約 97%を売り上げていますが、その後本年9月までに売り上げた残りの約3%は、枚数にすれば20万枚を超えるものとなります。音楽市場全体を支えているとも言うべきこれら一部の大ヒット作品については、考察対象として十分に捉える必要があると考えます。


すごいね! 具体例が一気に2倍に増えたよ!
具体例を2例出したら批判が一杯来ちゃった。だから今度は倍の4つ具体例を出してみようっていうっていう思いつきは、誰がしたのかな?
でも残念だったね。これだとまた馬鹿って言われちゃうよ。っていうか、馬鹿
6万タイトルも調査しておいて、その扱いをたった4例の具体例で決めているように見られちゃうんだ。これじゃあ、やっぱり馬鹿って言われちゃうね。っていうか、馬鹿
あのね、文章をいくら引き伸ばしても、せっかく調査してもらったデータをきちんと解釈しないと、データの解釈の仕方を根本的に改めないとね。
6万タイトルのデータの中から、目に留まった(留まりやすい)データだけを抜き出すっていうやり方は、もう大問題だね。そういうやり方、誰に教わったの?


 なお、仮に日本国内において音楽レコードが廃盤となってしまった後も、対象期間(4年)内は還流防止措置が適用され続けるとすれば、国外にしか存在しない音楽を聴くことができる機会が減少してしまい、消費者はもとより、関係権利者・事業者の利益をも害する事態が生じかねません。
 しかしながら、還流防止措置は、日本国内における音楽レコード販売の商秩序の保護を目的としていることから、同一の音楽レコードが国内で発行されている状態にあることが法律上の要件の一つとされています。したがって、当該国内盤が廃盤となり、国内市場で発行されていない状態となれば、それと同一の海外盤は当然に還流防止措置の適用対象外となります。
(なお、@日本国内盤がそもそも発行されておらず、海外盤しか存在しない場合や、A日本国内盤が発行されてはいるものの、その発行のタイミングが当該海外盤よりも後の場合も、法律上当然に還流防止措置の適用対象外です。)


こちらが改正案の原文だけど、廃盤に関する規定や、国内外の発行時期に関する規定は法案には何も入っていないよ?
 色々あって記憶がこんがらがっちゃったのかな?
 「廃盤になったら速やかに輸入禁止措置を解除すべきだ」というのはこの改正案に反対する人たちの中から出てきた意見だし(例えば高橋健太郎さんがそうだね)、国内と国外、どちらで先にリリースされたかを要件として盛り込むべきだといったのは、この改正案に反対していた民主党の川内議員だよね?
そういった声に耳を貸さずに修正せずに改正案を通しちゃったのは、いったいどこのだったか忘れちゃったのかな?
忘れたのなら思い出させてあげよう。その人たちの名前は「文化庁著作権課」っていうんだよ。君たちのことだね。思い出した?



 また、実務上も、廃盤となって還流防止措置の対象外となった音楽レコードが、税関で差し止められることのないように、税関に対する差止申立がなされている場合において、当該国内盤レコードが廃盤となったときには、申立をしている当該レコード会社は税関にその旨速やかに報告して、申立を取り下げるとともに、自社及びレコード協会のウェブサイト上でもその旨周知することを求める(税関のウェブサイト上でも、差止対象でなくなったことが速やかに反映されることとなる。)予定です。


うん。是非ともそうした方がいいと思うよ。
施行まであと2ヶ月をきったけれども、間に合うようにがんばっておくれ。
税関で輸入されたCDを1タイトルづつ見ていくのは非常に煩雑な作業であり、実務が追いつかないために、還流防止措置の対象となっている音源が発行されている国からのCDはいったんすべて税関で止められてしまい、その結果、小売店と消費者にえらい迷惑がかかるんじゃないかっていう懸念はまだ払拭されていない、というか、払拭する材料がひとつも無いというのが現状なんだ。
そこらへんを良く理解して、がんばってね。申し立てや問い合わせの窓口を明確にして、速やかに対応できるようにシステムを整えてね。
「その音源は還流防止措置の対象にはなっていない。税関で差し止められているのではないかという点については、文化庁ではわかりかねるので直接税関に問い合わせて欲しい」なんていう馬鹿な対応をする羽目にならないようにね。


 旧譜について、仮に改正後の著作権法第113条第5項をそのまま適用することとすると、発行日起算により、その大部分が還流防止措置の対象外となります。
 しかしながら、我が国の音楽文化の海外発信の促進という還流防止措置の趣旨は、改正法の施行日以後に発行された音楽レコード(以下「新譜」という。)のみならず旧譜にも妥当します。とりわけ世界有数のタイトル数を誇るとされる我が国の音楽市場においては、旧譜の中にも、今後国外ライセンス生産を展開していくのに適する作品が存在している潜在的可能性も少なくありません。
 また、廃盤になっていないということが、一定の需要を維持していることを示す蓋然性は、発行から時間を経た旧譜については、新譜にもまして高いとも考えられます。
 そこで、旧譜の中でも、現時点においてなお廃盤になっていないなど、対象期間の点を除き、還流防止措置の他の要件をすべて満たすものについては、我が国の音楽文化の海外発信の促進という制度趣旨にかんがみ、起算点を一律に改正法の施行日からとした上で、新譜と同等の保護を与えるという政策的な経過措置を設けることとしたものです。


国内発行分で利益の回収が終わった音源だけども、海外ではまだまだ売上が望めるから海外でリリースする。うん。ありえることだね。
でもさ、それが日本に逆輸入されたら、いったい誰の利益を損ねることになるの?
還流輸入防止措置が適用されるのは、法律原文の表現を借りると「当該著作権者又は著作隣接権者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限り」だよね?
既に国内において十二分に利益を回収したCDを海外で新たにリリースして、その商品が日本に逆輸入されると、いったい誰の利益が不当に害されることになるの?
考えれば考えるほど、著作権者も著作隣接権者も損しないように思えてくるんだけど。一部に損をすると思い込んでいる著作隣接権者はいるだろうけどね。


 我が国の音楽文化の海外発信の促進という還流防止措置の趣旨は、再販期間であるか否かに関わらず妥当するところであり、再販制度とはその趣旨を異にしていることから、還流防止措置の対象期間を再販期間に合致させることには必ずしも合理性がないものと考えています。


私は時限再販期間と輸入防止期間を対応させるようにパブリックコメントで希望したんだけどもさ。
再販制度も還流盤の輸入防止措置も、国内における音源売上の利益を確保するための措置だよね?
保護する対象が同じなのに、その期間が異なることに対して、私は必ずしも合理性が無いものと考えているんだけれども。


追伸:そうそう、貸与権についての関係者協議が決裂したって聞いたよ。
この件に関してのコメントは? 早く出すべきじゃないかな。
貸与件についての窓口が存在しないままに権利だけが存在しちゃうことになるね、貸与権については。
コミックレンタルをやっているお店の人は、マンガ家さんひとりひとりに「レンタルに使っていいですか?」って許諾を得なければいけなくなっちゃったね。
どうするおつもり?
posted by 旅烏 at 02:49| Comment(2) | TrackBack(13) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月02日

EMINEMがラジオ局を作るんだってさ

なんか、EMINEMがラジオ局を作るんだってさ。ニュースはこちら
HIPHOPの放送にラジオ局が難色を示すってのはまあ以前から良くある話で(だからこそDirty Ver.とClean Ver.を作ったりとか)。DJは誰が勤めるんだろう?
さて、EMINEMは国家ぐるみのメディア統制に勝てるかな?
posted by 旅烏 at 18:44| Comment(1) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月01日

輸入権行使ダービー

輸入権行使ダービーだそうで。

エイベックスとソニーは直前での体調不良が報じられ、調整に難。まして、エイベックスは鞍上がテン乗りの松浦ということもあり、不安は拭えない。
というわけで、三番手に甘んじていた東芝が俄然注目を浴びている。問題は英EMI軍団の意向か。ゴドルフィンのように日本の競馬界にまで関心を持っているかどうか。EMIが賞金的にも大したことの無い、極東の逆輸入盤競争にどれだけ意欲を持っているのか、疑問に思うところもあるのだ。

というわけで、当サイトでは本命に10:ポニーキャニオンを推す。馬券にこそからめなかったが、トライアルのCCCDメモリアルで見せた末足には目を見張ることがあった。陣営も目標を輸入権ダービーに定めて虎視眈々。ましてや、オーナーが理事会の理事長職についてから初のビッグタイトル、ここは負けられない。空気の読めない東芝の大逃げに、調整不足のエイベックスとソニーが巻き込まれ、あえぐ実績馬たちをポニカが一気に差し切る。

狙って見て面白いのは3:キングレコード。CCCDメモリアルでは散々な結果。重賞勝ちもないが、アニメが大きな位置を占めるであろうアジアにおける日本音楽の状況を考えると、陣営の意気込みが違う。当日はドロドロの不良馬場が予想され、雨の鬼の真価を発揮か。

馬券は10:ポニーキャニオン、3:キングレコードを軸に、三連複で手広く。
三連単では
10−3−6
10−3−9
10−6−3
10−9−3
posted by 旅烏 at 15:28| Comment(1) | TrackBack(0) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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