2004年11月03日

拍子抜けの文化審議会著作権分科会 第3回法制問題小委員会

IT mediaによると、文化審議会著作権分科会 法制問題小委員会の第3回が開催されたそうで。記事はこちら

先日まで募集していた、著作権法全般についてのパブリックコメントがこの小委員会で取り上げられるという話だったのだけれど、パブリックコメントが各委員に渡されたのは審議終了後とのこと。なんじゃい、そりゃ。

というわけで、次回の開催は11月26日の予定。次回は、パブリックコメントを踏まえたものになるはず。
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馬鹿が言い訳をしているよ

先日、還流盤の輸入禁止期間を4年にするとの正式決定が文化庁によってなされ、そのプレスリリースには随分と失笑させてもらった
そしたら、文化庁がサイトでこんな文章を公開した。
著作権法施行令の改正に関するパブリックコメント(意見提出手続)の結果について
文章の分量を多くしたところで、言ってることは全く同じだ。悪いが、やっぱり組織として馬鹿なんだよ。ごめんな、文化庁。
何箇所か引用してみようか。

 まず、一般的に音楽レコードが国内市場において流通していると推定される期間としては、2000年から2002年の平均値として推計した7.5年という期間等に基づき、還流防止措置の適用期間に係る法律上の上限として、7年と見積もられています。
 (なお、廃盤の実態については、企業秘密にかかわる関係などから、調査には一定の制約がありますが、発売から4年経った音楽レコードでも約9割が、7年経った音楽レコードでも約7割が、なお廃盤や生産中止とはならずに市場に流通しているという調査結果もあります(物流業務を同一の会社に委託している日本レコード協会会員レコード会社11社を対象に実施)。)


あのね、調査結果があるときは、そのデータも一般に公開、または参照できる状態にしようね?
学生時代に学術論文とか読まなかったかな?


でね、みんな。2例しか具体例を出さなかった文化庁くんが、なんと今回は4例も具体例をだしたよ!
以下、その具体例部分。

例@:これまでに約430万枚を売り上げている音楽レコード(1997年発売)
→ 発売から2年目に約24万枚、3年目に約9万枚を売り上げていたものが、4年目に約1万枚、5年目に約3千枚と落ち込んできているケース
 例A:これまでに約340万枚売り上げている音楽レコード(1998年発売)
→ 発売から3年目に約30万枚、4年目に約10万枚、5年目に約8万枚、6年目に約18万枚と、根強く売れ続けているケース
 例B:これまでに約50万枚売り上げている音楽レコード(1996年発売)
→ 発売から2年目に約1万5千枚を売り上げた後は、3年目・4年目・5年目は数千枚程度だったものが、6年目に約9万枚を売り上げるに至ったケース
(注5)我が国の音楽市場において、「週に何千枚、年に何万枚」が相当程度の売上げであることは、今回実態分析の対象とした約6万のタイトル中、総売上枚数でも1千枚に満たないものが約40%、総売上枚数でも1万枚に満たないものが約85%を占めるという、売上げの二極分化が進んでいることからも分かります。例えば、大ヒット作品の代表例であり、実際にも還流盤が存在している宇多田ヒカルの『First Love』(1999年発売)では、発売後1年半で約 97%を売り上げていますが、その後本年9月までに売り上げた残りの約3%は、枚数にすれば20万枚を超えるものとなります。音楽市場全体を支えているとも言うべきこれら一部の大ヒット作品については、考察対象として十分に捉える必要があると考えます。


すごいね! 具体例が一気に2倍に増えたよ!
具体例を2例出したら批判が一杯来ちゃった。だから今度は倍の4つ具体例を出してみようっていうっていう思いつきは、誰がしたのかな?
でも残念だったね。これだとまた馬鹿って言われちゃうよ。っていうか、馬鹿
6万タイトルも調査しておいて、その扱いをたった4例の具体例で決めているように見られちゃうんだ。これじゃあ、やっぱり馬鹿って言われちゃうね。っていうか、馬鹿
あのね、文章をいくら引き伸ばしても、せっかく調査してもらったデータをきちんと解釈しないと、データの解釈の仕方を根本的に改めないとね。
6万タイトルのデータの中から、目に留まった(留まりやすい)データだけを抜き出すっていうやり方は、もう大問題だね。そういうやり方、誰に教わったの?


 なお、仮に日本国内において音楽レコードが廃盤となってしまった後も、対象期間(4年)内は還流防止措置が適用され続けるとすれば、国外にしか存在しない音楽を聴くことができる機会が減少してしまい、消費者はもとより、関係権利者・事業者の利益をも害する事態が生じかねません。
 しかしながら、還流防止措置は、日本国内における音楽レコード販売の商秩序の保護を目的としていることから、同一の音楽レコードが国内で発行されている状態にあることが法律上の要件の一つとされています。したがって、当該国内盤が廃盤となり、国内市場で発行されていない状態となれば、それと同一の海外盤は当然に還流防止措置の適用対象外となります。
(なお、@日本国内盤がそもそも発行されておらず、海外盤しか存在しない場合や、A日本国内盤が発行されてはいるものの、その発行のタイミングが当該海外盤よりも後の場合も、法律上当然に還流防止措置の適用対象外です。)


こちらが改正案の原文だけど、廃盤に関する規定や、国内外の発行時期に関する規定は法案には何も入っていないよ?
 色々あって記憶がこんがらがっちゃったのかな?
 「廃盤になったら速やかに輸入禁止措置を解除すべきだ」というのはこの改正案に反対する人たちの中から出てきた意見だし(例えば高橋健太郎さんがそうだね)、国内と国外、どちらで先にリリースされたかを要件として盛り込むべきだといったのは、この改正案に反対していた民主党の川内議員だよね?
そういった声に耳を貸さずに修正せずに改正案を通しちゃったのは、いったいどこのだったか忘れちゃったのかな?
忘れたのなら思い出させてあげよう。その人たちの名前は「文化庁著作権課」っていうんだよ。君たちのことだね。思い出した?



 また、実務上も、廃盤となって還流防止措置の対象外となった音楽レコードが、税関で差し止められることのないように、税関に対する差止申立がなされている場合において、当該国内盤レコードが廃盤となったときには、申立をしている当該レコード会社は税関にその旨速やかに報告して、申立を取り下げるとともに、自社及びレコード協会のウェブサイト上でもその旨周知することを求める(税関のウェブサイト上でも、差止対象でなくなったことが速やかに反映されることとなる。)予定です。


うん。是非ともそうした方がいいと思うよ。
施行まであと2ヶ月をきったけれども、間に合うようにがんばっておくれ。
税関で輸入されたCDを1タイトルづつ見ていくのは非常に煩雑な作業であり、実務が追いつかないために、還流防止措置の対象となっている音源が発行されている国からのCDはいったんすべて税関で止められてしまい、その結果、小売店と消費者にえらい迷惑がかかるんじゃないかっていう懸念はまだ払拭されていない、というか、払拭する材料がひとつも無いというのが現状なんだ。
そこらへんを良く理解して、がんばってね。申し立てや問い合わせの窓口を明確にして、速やかに対応できるようにシステムを整えてね。
「その音源は還流防止措置の対象にはなっていない。税関で差し止められているのではないかという点については、文化庁ではわかりかねるので直接税関に問い合わせて欲しい」なんていう馬鹿な対応をする羽目にならないようにね。


 旧譜について、仮に改正後の著作権法第113条第5項をそのまま適用することとすると、発行日起算により、その大部分が還流防止措置の対象外となります。
 しかしながら、我が国の音楽文化の海外発信の促進という還流防止措置の趣旨は、改正法の施行日以後に発行された音楽レコード(以下「新譜」という。)のみならず旧譜にも妥当します。とりわけ世界有数のタイトル数を誇るとされる我が国の音楽市場においては、旧譜の中にも、今後国外ライセンス生産を展開していくのに適する作品が存在している潜在的可能性も少なくありません。
 また、廃盤になっていないということが、一定の需要を維持していることを示す蓋然性は、発行から時間を経た旧譜については、新譜にもまして高いとも考えられます。
 そこで、旧譜の中でも、現時点においてなお廃盤になっていないなど、対象期間の点を除き、還流防止措置の他の要件をすべて満たすものについては、我が国の音楽文化の海外発信の促進という制度趣旨にかんがみ、起算点を一律に改正法の施行日からとした上で、新譜と同等の保護を与えるという政策的な経過措置を設けることとしたものです。


国内発行分で利益の回収が終わった音源だけども、海外ではまだまだ売上が望めるから海外でリリースする。うん。ありえることだね。
でもさ、それが日本に逆輸入されたら、いったい誰の利益を損ねることになるの?
還流輸入防止措置が適用されるのは、法律原文の表現を借りると「当該著作権者又は著作隣接権者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限り」だよね?
既に国内において十二分に利益を回収したCDを海外で新たにリリースして、その商品が日本に逆輸入されると、いったい誰の利益が不当に害されることになるの?
考えれば考えるほど、著作権者も著作隣接権者も損しないように思えてくるんだけど。一部に損をすると思い込んでいる著作隣接権者はいるだろうけどね。


 我が国の音楽文化の海外発信の促進という還流防止措置の趣旨は、再販期間であるか否かに関わらず妥当するところであり、再販制度とはその趣旨を異にしていることから、還流防止措置の対象期間を再販期間に合致させることには必ずしも合理性がないものと考えています。


私は時限再販期間と輸入防止期間を対応させるようにパブリックコメントで希望したんだけどもさ。
再販制度も還流盤の輸入防止措置も、国内における音源売上の利益を確保するための措置だよね?
保護する対象が同じなのに、その期間が異なることに対して、私は必ずしも合理性が無いものと考えているんだけれども。


追伸:そうそう、貸与権についての関係者協議が決裂したって聞いたよ。
この件に関してのコメントは? 早く出すべきじゃないかな。
貸与件についての窓口が存在しないままに権利だけが存在しちゃうことになるね、貸与権については。
コミックレンタルをやっているお店の人は、マンガ家さんひとりひとりに「レンタルに使っていいですか?」って許諾を得なければいけなくなっちゃったね。
どうするおつもり?
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