2004年11月24日

文化庁のデータの選びかたについて

文化庁がまたデータを公開してくれた。文化庁曰く、このデータに基づいて検討した結果、還流盤の輸入禁止期間を4年と決定したというわけだ。
で、その肝心のデータを見てみたんだが、これ、いかんぞ。まったくもっていかん。
まあ、まずは皆さん見ていただきたい。

1995年9月以降発売邦楽アルバムの売上水準別分布状況

大ヒット邦楽アルバム売上推移(累計)

大ヒット邦楽アルバム売上推移(週間)

大ヒット邦楽アルバム売上経過

7年間の総売上が5万枚以上の邦楽アルバムの売上消化率の推移


この調査事態にケチをつけるつもりはないし、もちろん、この調査を行った会社にケチをつけるつもりもない。
問題はアレだ。このデータが、還流盤の輸入禁止期間を検討するのに適したデータかということだ。
もう断言するけど、まったくもって適していない。


さて、還流盤の輸入禁止期間決定に際し、文化庁はもうなんかすっげえ勢いで批判され、かくいう私もすっげえ勢いで批判したわけだが、私がどの部分を批判したかというと、6万タイトルものデータを対象にしていると謳っておきながら、実際には具体例を数例挙げたのみでそれを根拠としている点だった。
レアケースを挙げただけで何を根拠付けたつもりになっていやがる。全体的な傾向でも算出しやがれ、と。


今回新たに示されたデータだが、これを見るとその傾向がそのまま現れている。実のところ、このデータってのは具体例を32タイトル分挙げてあるだけだ。
つまり、極少数の例を根拠にして、何万タイトルの扱いを決めてしまおうという構図はなんら変わっていないわけだな。
言い方を換えると、最初は2つしか示されなかった具体例が32に増えたに過ぎない。


こうなると問題がはっきりしてくるな。
この場合、全体の傾向を求めること無しに具体例に当たろうというそのやり方自体に問題があるわけだ。
さらに言うと、こんなデータを依頼した方が悪い。
最初から売上推移の全体的な傾向なんて求めようが無いデータを発注しちゃったわけだ。
アレだ。どういうデータを取れば良いのかがそもそもわかっていなかったんじゃないかとすら思えてくる(つまりアレだ。もしそうだとしたら無能極まりないなって話だ)。
どういうデータを取ったらわからないけど、とりあえず適当に調査を依頼したんちゃうか?
一生懸命にまとめたデータが、実は何の役にも立たない、というか役に立てようが無いデータだったってのは、可哀想というかなんというか。この調査を依頼した人物は猛省すべきだと思うぞ。


追記:sheepmanさんからリンク違いをご指摘いただきまして、修正いたしました。
また、資料7年間の総売上が5万枚以上の邦楽アルバムの売上消化率の推移はHMVとタワーレコードがサウンドスキャンに依頼して作成したデータを、文化庁が編集したものであるとのご指摘もいただきました。ありがとうございます。
てことは、データの選択についてはHMV・タワーレコードもヘタをうっているというわけで、いかんね(まあ、両者によるデータがこれだけかどうかはわからんわけですが)。
ここで文化庁に同情的な妄想をするとだね、初めにHMVやタワーレコードといったところから具体例をデータとして示されてしまったから、具体例をデータとして挙げ返した、ということなのかもしれない。
しかしながら、その「具体例のみを持って判断の根拠とする」というやり方が、この場合には適切ではないものなので、その点に関しては、文化庁もHMV・タワーレコード双方とも同じくらい馬鹿である。
posted by 旅烏 at 01:16| Comment(2) | TrackBack(0) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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