2005年01月19日

東野圭吾氏の発言に見る安易な顧客像

Copy & Copyright Diaryさん経由、Sankei Web「【出版インサイド】本のレンタルにも「貸与権」導入 著作権使用料で交渉難航」。より、人気ミステリ作家である東野圭吾氏の発言を取り上げようと思う。

記事を引用すると

 作家の東野圭吾さんは「利益侵害だけを理由に、著作権を主張しているわけではない」と、強調する。「作家、出版社は、書店で定価で買ってくれる読者によって報酬を得、次の本作りができる。書店で買う人、新古書店で安く買う人、レンタル店で安く借りる人、図書館で無料で読む人が、同じ読書サービスを受けるのはアンフェア。より早く新刊を読めるなど、書店で買うお客さんを優先したい」


ってな感じなのだけれど、Copy & Copyright Diaryの末廣さんは「本の価値を決めるのは作者ではなくて読者である」と憤慨している。これには全く同意。
同意した上で、もうひとつ気になった点を書いてみようと思う。それは、東野氏がどのような顧客像を思い描いているか、だ。
作家にしてみれば(狭い視野で見ると)新刊書店で本を買ってもらえないことにはおまんまの食い上げであり、新刊書店で本を買ってくれるお客さんを大事にしたいというのは至極もっともなことに思える。そこまではいいんじゃなかろうか。
問題は、新刊書店で本を買わずに他のサービスを利用して読書する行為を指して「アンフェア」と言っていることなんだな。
「私は新刊書店しか利用しない。新古書店も図書館も漫画喫茶もレンタルも利用せずに読書を楽しんでいる」という人もいるだろう。そういう顧客にとっては、この東野氏の発言は痛くも痒くもない。
しかし、だ。では、新刊書店は一切利用しないで読書を楽しんでいる、という顧客はいったいどのくらいいるのだろうか?
もちろん、データなど無い。これから書くことは私個人の憶測に過ぎない。だが、多くの(もちろん「すべての」ではない)顧客は新古書店・図書館・漫画喫茶・ブックレンタルといったサービスと新刊書店というサービスを併用していると考えるのは、極々自然なことではないだろうか?
少なくとも、そう考えなければ新古書店の隆盛などは本来ありえない事態なのである。新刊書店を利用するお客さんからの本の入荷無しに、新古書店は成立し得ない(そして新古書店を利用するかどうかは、個々のお客さんにゆだねられるのだ。それは新古書店が決められることでも、新刊書店が決められることでも、ましてや作家や出版社が決められることでもありえない)。
東野氏の発言は、新刊書店を訪れた顧客を厚遇し、新古書店や図書館といった施設を利用した顧客をアンフェアだと非難するものだ。
東野氏は、「ひょっとしたら両者は同一人物かもしれない」とは考えなかったのだろうか?
他のサービスを利用した顧客を非難する。そんな方法で顧客の心をつかめるのだろうか?そんな方法で顧客サービスを向上させることが出来るのだろうか?
これもデータは無く、私の独断に過ぎないが、答えははっきりとNOであるように思える。
考えてもみて欲しい。他の店に行ったと聞くや目の前で舌打ちしてみせる。そんな店主のいる店に行きたいかい?
posted by 旅烏 at 23:53| Comment(24) | TrackBack(5) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

レム、スタージョン、ライバー、舞城、ナントカなど

「春期限定いちごタルト事件」米澤穂信/創元推理文庫
「一〇〇一秒の恐怖映画」井上雅彦/創元推理文庫
「死神と二剣士」フリッツ・ライバー/創元推理文庫
「時間のかかる彫刻」シオドア・スタージョン/創元SF文庫
「煙か土か食い物」舞城王太郎/講談社文庫
「富豪刑事」筒井康隆/新潮文庫
「ルート225」藤野千夜/新潮文庫
「トリポッド2 脱出」ジョン・クリストファー/ハヤカワSF文庫

「サラミス」佐藤哲也/早川書房
「アジアの岸辺」トマス・M・ディッシュ/国書刊行会
「高い城・文学エッセイ」スタニスワフ・レム/国書刊行会
「四畳半神話体系」森見登美彦/大田出版

「トライガン・マキシマム(10)」「同(11)」内藤泰弘/少年画報社
「エクセル・サーガ(13)」六道神士/少年画報社
「影ムチャ姫(1)」ナントカ/芳文社

ナントカは結構好きなマンガ家さん。「新説ファンタジー絵巻」も早く単行本化されないかしらん。「四畳半神話体系」は私が勝手に洛北マジックリアリズムと名付けた「太陽の塔」の作者による第二作。期待大。
posted by 旅烏 at 00:38| Comment(1) | TrackBack(8) | 購入した書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

喫煙と自殺の関連性……っていうかなあ(笑)

近畿ではおなじみ夕方のテレビ番組「ちちんぷいぷい」見てたら喫煙と自殺に関係があるなんてニュースが紹介されてまして、とりあえず検索したらこんなのが引っかかったわけですが。

愛煙家ご注意を たばこ本数多いほど自殺の危険性高い(Sankei Web)

なんか偽相関の匂いがプンプンするねぇ(笑)。原著に当たったわけじゃあないけれど。
偽相関ってなにか。っていうか、その前に相関ってなにかってえと、例えば二つのものがあったとして、片方が増えると、それに応じてもう片方も増えたり減ったりしますよ〜、というのが相関。片方が増えるともう片方も増えるってのが正の相関で、片方が増えるともう片方は減るってのが負の相関。
このニュースの場合は、煙草を吸う本数が増えると自殺率も高まるってな感じなので正の相関。


で、相関関係というのは因果関係とは関係ない。相関関係が出たということはつまり、片方が増えるからもう片方も増えるのだなんていう結論を出すと、痛い目にあうこともしばしば。
例えば、アイスクリームの売上と水難事故の発生件数に正の相関が出たとして、じゃあアイスクリームの売上が上がったから水難事故が増えたのか(もしくはその逆)ってえとそんなことはないわけで、なんのこたあない、両方とも暑さが原因なわけで。
こんな感じで、双方に直接の関係が無いのに相関がでちゃうこともあり、そんなのを偽相関といったりするわけですが。


この喫煙と自殺の関係ってのも、偽相関っぽいよなあ。
素朴に考えるとさ、ストレスと自殺、ストレスと喫煙、それぞれ深く関係していそうな気がするんだけど、それを考慮に入れなかったから偽相関が出てるってだけじゃないの?
posted by 旅烏 at 00:16| Comment(4) | TrackBack(11) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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