at most countableさんでICE CUBEについて触れてらっしゃる。いや、懐かしい話題だなぁ。思わずこうしてエントリを起こしてしまったわけですが。
エントリのタイトルは「ロス暴動とアイスキューブ」だけれども、ロス暴動について扱った曲というと真っ先に頭に浮かぶのが同じく元NWAのDR. DREによる名曲“THE DAY THE NIGGAZ TOOK OVER”。ロス暴動とは直接の関係はありませんが、ICE CUBEもそのものズバリの“BLACK KOREA”という曲を書いています。
で、なんで“BLACK KOREA”なんていう曲が書かれたかというと、近所の朝鮮人が気に入らなかったからでしょう。
では、なぜ朝鮮人が気に入らないなんていうことになったかというと、その当時、黒人は金を持っていても土地を買ったり店を借りたりといったことが中々出来ず、自分たちが手に入れることの出来ない土地を朝鮮人たちが(黒人の目から見ると)易々と手に入れ、商売してけつかる。
なんで俺たちの街の土地を俺たちが買うことが出来ず、奴らは買うことが出来るんだ?
……ってな状況が背後にあったそうでございます。いや、何かで読んだ話でございますがね。
逆に言うと、別に韓国人のやっている店だからというのが、ロス暴動のときに黒人たちの略奪にあってしまった主たる理由ではないという、そういうお話。
で、at most countableさん、映画“DO THE RIGHT THING”にも触れてはりまして、いや、あの映画の解釈については分かれるところだと思うんですが、まあそれはそれといたしまして、同じスパイク・リー監督のジャングルフィーバーに触れておこうかな、と。
ドゥ・ザ・ライト・シングは日常の細かな不満、差別がある事件をきっかけに暴動、略奪へと発展してしまう話ですが(ちなみに作中で韓国人経営の店も襲われかけております)、ジャングル・フィーバーは妻子ある黒人のエリートビジネスマンがイタリア系の女性と不倫してしまう話です。
私、この映画のストーリーはあまり好きじゃないんですが、ラストシーンは大好きでしてね。ラストシーンをみるためだけでも、是非見ていただきたいってな作品でございます。
ネタバレしたくないんでラストシーンがどんなものなのかは書きませんが、ドゥ・ザ・ライト・シングで表明されているのが怒りだとすれば、ジャングル・フィーバーで表明されているのは悲しみである、といえるでしょう。
もっと言うと、前者が自分たちの置かれている社会的状況に向けられたもので、後者はその状況に自分たちの心が負けてしまっているということに向けられている、と。
つまり、同じ「差別」という問題をそれぞれ別の切り口で扱っているわけで。物事の原因といっても、かように多様でございます。
at most countableさんのエントリを読んで興味を持たれた方におかれましては、是非ドゥ・ザ・ライト・シングでけでなくジャングル・フィーバーも、出来ればスパイク・リー監督作品だけでなくマリオ・ヴァン・ピープルズ監督作品や今は亡き2PACが名を上げたJUICEあたりも。
ICE CUBEだけではなく出来ればTALIB KWELIやGANGSTARRのGURUあたりも是非。ROOTSあたりもいいですね。
at most countableのめたかさんが言われているように物事の表層にとらわれずその背後にある原因に思いを巡らすことはとても大事なことであり、また、そのためにも同じ事柄を様々な角度から眺めて見ることが大事であろうかと。
現実は多様であり、文化は多様であり、芸術もまた多様であり、時にそれはシンクロしたりします。願わくばこれを読んでいるあなたにとって、ブラックカルチャーが多様な世界への入り口とならんことを。