2005年04月13日

「高い」「安い」を売る側が言っちゃあなるめえ

書籍編集者esのつれづれ書評さんのエントリ「 本は高いか、安いか? 本の適性価格とは」を読んでみて思ったことなど。

いや、「うちも台所は苦しいんですよ」というのはわかるんだけど、「高い」「安い」を売る側が言っちゃあいかんだろう(笑)。そんなもん、買う側の心理に依存するわけだから、売り側がどうこう言える性質のものじゃないし。
それと(リンク先のコメント欄でも書かせていただいたのだけれど)、一番気になったのがやはり「本だけが『高い!』と言われるのはなぜだろう?と思ってしまいます」という部分。おそらくは無意識のうちに「本だけが」という前提になってしまっているあたり、失礼ながらちょっとした危うさを感じる。
いや、だってさ、きょうび高い物なんて本だけに限ったことじゃないでしょ? これだけ景気の悪い話が何年も続いている世の中なんだから、「高くない」とか「安い」と思われている商品のほうが少数派なんじゃないかな?

で、「安く出来ないので高くても皆さんに読んでもらえる本作りをがんばります」という方向性もアリだとは思うんだけども、これって言い換えると「ベストセラーをどんどん出せるようにがんばります」なわけで、業界全体がこの方向を目指してしまうとちょっと恐ろしいものがあると思うのですよ。ますますリスクが高くなるというか、ますます博打みたくなるというか。ついつい国書刊行会の高い本を買ってしまう身からすると、今よりベストセラー偏重を目指して行きますと言われているのも同じような気がして、悲鳴の一つも出ようというものですよ(笑)。

だから、やはり業界全体としてはいかに利益率を向上させていくかというのが問題になるべきだと思う。
そのための具体的方法は……業界人じゃないんだから、知りません(笑)。でもなにかあるんじゃないかなあ。コンビニにおいてある廉価コミックも、その例の一つでしょ? 出版社だってプロの集まりなんだから、アイデアが出てこなかったらむしろその方が不思議に思えるというか……だって現状だと「本の原価を安くするためにどのような努力がなされているか」って、全然見えてこないもの(逆に「こんな工夫がなされているんですよ」というのがあったら、是非閲覧者諸賢にご教授いただきたいところ。お願いします)。
posted by 旅烏 at 03:22| Comment(2) | TrackBack(7) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

歯切れが悪くなっちゃったなあ

なんか毎日取り上げちゃってるけれども、川内博史代議士の正々堂々BLOGの4月12日付のエントリ「補足説明」において、再販制度に関する記述が見られた。以下、引用。

ここからは、先週のブログの補足説明をさせてください。

まず、独占禁止法の改正案については、23条1項のただし書、

「当該行為が一般消費者の利益を不当に害することとなる場合及びその商品を販売する事業者がする行為にあっては、その商品を生産する事業者の意に反してする場合は、この限りでない」

この規定が、とても重要になってくると思います。

権利者が、ただ権利者であることだけを理由に、なんでもかんでもやることは、とても裁判に耐えられるとは、思いません。

出版界が、ポイントカードを受け入れざる得なかった背景が、この辺にもあるのではないでしょうか?


なーんか歯切れが悪くなっちゃったなあ。もしかして俺のせいか? んなこたあねえわな。
だってさ、何も言っていないも同然じゃないのさ、上の引用部分。
ちょっと整理してみましょうか。

いわゆるエンタメ議連がCDを再販から外すことを目指している。

その手段として、法律で再販の適用範囲を出版関係のもののみと明記しようとしている。

その独占禁止法の改正案を通すべく、活字文化議連と相互協力しようとしている。

ところが、活字議連が提出しようとしている文字・活字文化振興法にはなぜか版面権も盛り込まれている(11日のシンポジウムでは「版面権の創設(出版者の固有の権利)」という項目が「著作者及び出版者の権利保護の充実」という、これまた歯切れの悪い表現に置き換わってはいたけれども)。

川内議員曰く、版面権は再販制と二重の保護になるから反対の立場になるだろうとのこと。


版面権には反対という立場のまま、相互協力ってのは出来るものなのかな、というのがエンタメ議連に対しての一番の疑問かなぁ。答えてくれるといいんだけれど、調整にも時間がかかるだろうしねぇ。
個人的には肥田議員に送ったメールの返事待ちなんだけれども、とりあえずまだお返事は届いておりません。今週中待ってまだ返事が来ないようなら、他の活字議連の議員たちにも同様の質問をメールしてみることにしようかと。鈴木恒夫議員とか石井郁子議員とかふじすえ健三議員とか。
posted by 旅烏 at 00:47| Comment(24) | TrackBack(5) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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