Copy & Copyright Diaryさん経由、読売の記事。
文字・活字文化振興法案が衆議院で可決されたそうだ。
簡単にこの法案について私なりにまとめてみようと思ったのだが、実はこの法案、ネット上で参照できる資料がえらく少ないような印象がある。まあ、私、アンテナの感度はいいほうではないので、あまり断言はしたくないんだけど。
いやね、ぶっちゃけた話が、以前にも取り上げたひだ美代子議員のサイトで公開されている法案の
最終案と、それに先立って活字議連の総会で案と一緒に承認された
施策ぐらいしか、公開されてる情報ってないんだよ。議員とパイプでもありゃあ、伝わってくる情報もちったあ違ってくるんだろうが、パイプもなけりゃ暇もないしな。
法案を読んでいただいて、なんか釈然としないというか、良くわかんないというか、「で、結局なんなの、これ?」みたいな印象を持つ人もいるんじゃないだろうか。というか、私がそんな印象を抱いているってだけなんだが。なーんか、口当たりのいい、毒にも薬にもならねえような言葉がずらずら並べてある。
読売の記事より引用すると
今後は、こうした施策をどれだけ実現できるかが課題となる。
つうわけで、法案の文面そのものよりも、それに基づいて行われるであろう施策の方に注目すべきだ、というのが、この法案に注目してきた人たちの認識であると思う。
で、その施策なんだが、これが
活字議連の総会で承認された案のままなのか、それとも何らかの修正が加えられているのかってのが、これまたさっぱりわからなかったりする。誰か詳しい人、教えておくれ。
このリンク先では「版面権の創設(出版者の固有の権利)」なんぞという剣呑極まりない項目が施策に盛り込まれていたりするんだけれど、これも4月11日に行われたシンポジウムで配布された資料の中では「著作者及び出版者の権利保護の充実」という、これまた漠然とした表現に置き換わっていたなんていう
証言もあるし、今現在、施策がどのような状態にあるのかが、全くわからないのだ。なんなんだよ、一体。知らせたくねえのか?
一次資料に当たることが出来ない状況なので、仕方なく新聞に頼る形にならざるを得ない。自分で記事を探すのをちょいとサボって、Copy & Copyright Diaryさんで紹介されている
読売と
日経の記事を読んでみたのだけれど、日経は施策に触れてすらいない。読売の記事から触れられている項目を挙げていくと…
・市町村への公立図書館の設置
・教員養成課程への「図書館科」などの導入
・小規模校への司書教諭の配置
・著作物再販売価格維持制度の維持
公貸権が云々の騒動でもわかるとおり、出版社や作家の中には売上低下の原因を図書館にも求める人が少なくないわけだが、その図書館が増える。わはは。
で、なんだか知らんが再販制度が維持される。
で、この法案をまとめた活字文化議員連盟ってのの前身は活字文化議員懇談会であり、その懇談会は過去にこんなこっ恥ずかしい
アピールをしていたというのは、当ブログでも以前に取り上げたとおり。
というわけで、以前に取り上げてから実質何も情報は更新されていない。むしろ、変わっているのかそのままなのかわからない分だけ、この法案とそれに関連する目標施策は不透明さを増したと言っても良いと思う。
そんな中で、全会一致でこの法案は衆議院を通過した。
ところで閲覧者諸賢に置かれましては、レイ・ブラッドベリの名作「華氏四五一度」を読んだことがおありか。
焚書というショッキングな上辺の下には、「誰も強制はしないままに、出版物が忌避されて廃れていく」という恐ろしい構図が展開されている、あのディストピア小説の傑作だ。
誰も強制はしないままに、出版物が忌避されて廃れていく。
ああ、恐い恐い。そうはなって欲しくないものだね。