2004年07月04日

「当分の間」

偉大なる我らがJASRACのサイトをぼんやりと眺めていたら、こんな文章を見つけました、以下、引用。


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5.使用料を免除する施設、利用方法


著作権法では、営利を目的としない演奏(入場料なし、演奏者に報酬なし)については第38条1項で権利を及ぼさないことになっています。

法律上の解釈からすれば、営利事業を行う施設でのBGMを利用する場合は、使用料の支払対象となります。

しかし、福祉施設・病院・教育機関や事務所・工場等の主として従業員を対象としたBGM利用、また露店等の一時的で軽微な利用については、当分の間使用料を免除します。
[BGMの使用料規定・備考]
福祉、医療もしくは教育機関での利用、事務所・工場等での主として従業員のみを対象とした利用又は露店等での短時間かつ軽微な利用であって、著作権法第38条第1項の規定の適用を受けない利用については、当分の間、使用料を免除する。

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で、ここで頭をよぎるのは、既にご存知の方も多いでありましょう、この一件です。またも引用。洛南タイムズの記事だそうですが……

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地域とのふれあい、社会参加をめざす障害者たちがスタッフとなって経営している喫茶と軽食の店、コーヒーハウス「ぱれっと」=宇治市小倉町蓮池175、小倉接骨院ビル2階=で開かれているサタデーナイトコンサートなどの演奏活動に社団法人日本音楽著作権協会=JASRAC、東京都渋谷区上原、吉田茂理事長=が著作権料の支払いを要求していることがわかった。ぱれっと関係者も著作権保護そのものには理解しながらも「うちのような団体でも支払わなければならないなんて。支払額によっては赤字になってしまう」と、思わぬ事態に戸惑っている。

 ぱれっとは小倉接骨院を経営する両角万昭さんがビル新築時に建物スペースの一部を福祉に提供したい――と同市福祉部に相談したのをきっかけにバリアフリーの店として2000年秋にオープン。店内では障害者団体、地域住民たちの手づくり作品展を開いている他、英会話教室や絵手紙教室、コンサートなど多彩なイベントも企画。講師や出演者もボランティアで支援協力してきた。

 ところが喫茶店などでコンサートを開く場合は作詞作曲家への著作権料支払いが必要だ――として使用料支払い手続きをとるよう求めてきた。

−−−−−−−−−−

当分の間」というのが、もう過ぎてしまっていたということなのでしょうかね?
だとしたら「病院・教育機関や事務所・工場等の主として従業員を対象としたBGM利用、また露店等の一時的で軽微な利用」についても、金をとられるようになったということでしょうか?
それとも、「ぱれっと」の活動は福祉に値しないとJASRACが判断したということなのでしょうか?
問い合わせてみようかと思ったのですが、JASRACのサイト、どこをみてもメール受付が見当たらねえんだよな……
posted by 旅烏 at 23:31| Comment(9) | TrackBack(3) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
旅烏さん、再就職おめでとうございます。

JASRACの「当分の間」という表現が、お茶を濁しているように聞こえるのは自分だけでしょうか。
JASRACのメール受付がない、ということについてですが。
JASRACは、未だに機関自体がアナログらしいです。
というのも、音楽配信メモの津田さん等が、アメリカのLive365を使用して配信するネットラジオ"MOK Radio"にて、日本の曲を正規でかけたいという理由で著作権クリアの為にJASRACに伺ったところ、手続きの一切が郵送だったらしいです。メールとか出来ない、よって消費者の意見を受け付けられない、というのは時代に逆行していること甚だしいと思うのですが。
Posted by face at 2004年07月05日 00:14
コメントありがとうございます。もひとつおまけにありがとうございます(笑)。

JASRACがアナログってことは、いまだに「役所以下」ということですね。なんと恥ずかしい。

まあ、お茶を濁していようがいなかろうが、自らのサイトに「当分の間」と書いてあるということは、それがJASRACの公式見解なわけで。
今回のケースはどうなんだ。「当分の間」は終わったのか? なら、なぜそのように書き直しておかないんだ? それとも「ぱれっと」は福祉施設にあたらないのか? あたらないのなら、そう判断した基準はどこだ?

……と、問い詰めることは有効かと思ったんですが、役所以下じゃなあ(苦笑)。情けない。
Posted by 旅烏 at 2004年07月05日 00:30
はじめまして。
JENSのWeBlogはトラックバックの機能がないみたいなので、コメントのほうで。(乗り換えようかなぁ(苦笑))

アナログでJASRAC京都に問い合わせてみました。

BGMじゃないから、Webページのそれにはあたらないとの事。

この程度で引き下がるな〜とか言われそうですが、攻撃用の弾をそれほど準備していなかったので、勘弁してください(^-^;;
Posted by INDICK-Kim. at 2004年07月05日 17:14
おお! 問い合わせていただいたのですか! ありがとうございます! 
確かにBGMではありませんなあ。ということは、BGMについてはぱれっとから金を取る気は無いということなんでしょうね。そうじゃなかったら矛盾しますし。
今、愛すべき我らのJASRACのサイトを確認して見たのですが、確かに、コンサートなどの場合は例外なく金とってるらしいっすね。
てえと気になるのは「著作権法では、営利を目的としない演奏(入場料なし、演奏者に報酬なし)については第38条1項で権利を及ぼさないことになっています。

法律上の解釈からすれば、営利事業を行う施設でのBGMを利用する場合は、使用料の支払対象となります」ってえ部分でしょうか。

争点は、ぱれっとで行われていたコンサートが営利目的のものであったのか、福祉目的のものであったのか、という点になるんですかね。
障害者の社会参加=障害者が金を稼ぐため=営利目的、ということでしょうな。
反吐がでますね。

Posted by 旅烏 at 2004年07月05日 17:45
てか、あれでしょうか。どういう形でコンサートやってたのかわかりませんが「入場料とってたから無償の演奏には該当しない」ってえ解釈ですかね?
もしそうなら、著作権法のその部分を問題にするべきかもしれませんね。

ところで、「実際の条文ってどうなっているんだろう?」と確かめようと思い検索してみたんですが、こんなの見つけました。

http://www.jva-net.or.jp/jva/report/87/jyoei.html

映画業界は、無償の上映から金を取れないこと自体に、強い不満を持っているようですね。
反吐がでますな。
Posted by 旅烏 at 2004年07月05日 18:01
旅烏さんの参照していらっしゃるページはBGMに関する説明のページですね。今回「ぱれっと」が徴収の対象になっているのはBGMではなく、時々開催際していたミニコンサートだと思いますので、「コンサート」か「飲食店での〜演奏・上映」にあたるのだと思います。

著作権法第38条
http://www.houko.com/00/01/S45/048.HTM#038
を見ても「実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない」とあるので、店側がいくらかでも料金を取っていると、除外の対象にはならないと解釈するという事でしょうね。


ちなみに、ここ
https://jasrac.e-srvc.com/cgi-bin/jasrac.cfg/php/enduser/std_alp.php
の一番下に問い合わせフォームを開くリンクがあります。>JASRAC
Posted by cab at 2004年07月05日 23:59
ありがとうございます。
やはり、そのようになっている法律自体に問題があるかも、ということでしょうか。これから日本の人口は減っていき、高齢者や女性が社会進出できる世の中を、とか首相が言っていたりしますんで、障害者の社会進出を妨げるような著作権の運用は社会の趨勢に逆らったものっつうことかもしれませんね。
JASRACの問い合わせフォーム、教えていただきましてありがとうございます。自分の中で考えがまとまりましたら、問い合わせてみようと思います。
Posted by 旅烏 at 2004年07月06日 14:24
前に、別件で問い合わせフォームから問い合わせたことありましたけれど、「受け付けました」のメールも来ませんでしたよ・・・。
返事が来たら教えていただきたいものです・・・。
(私の場合は、「オークションで中古HDDを売る際に音楽データを入れて新品の市場価格より高く落札指定している実態に関しては、JASRACとして問題視されているのですか?」というお子様でも分かる質問を投げたのですが(苦笑))
Posted by y'z at 2004年07月09日 14:52
コメント、ありがとうございます。
だんだん何を質問するかまとまってきたので、今度メールできいてみようと思います。そのときには、ここで公開させてもらうつもりです。
期待しないでお待ちください。avexの音楽活動と同じくらい、期待しないでください。
Posted by 旅烏 at 2004年07月09日 21:01
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