2004年07月05日

BEASTIE BOYSがシーンを揺さぶる! ……のかな?

もう、BEASTIE BOYSの“TO THE 5 BOROUGHS”ばっかし聞いているわけですが。
オールドスクール感溢れるトラックに、威勢のいい3MCの掛け合いと、切れのいいボーストと社会風刺が詰め込んである、えらく威勢のいい傑作です。
で、ですね。このアルバム、個人的には結構なショックを受けているのですよ。

と、いうのは。私の好みに大いに関係があるのですが。
実はね、オールドスクール期のHIPHOP(まああれだ、便宜上オールドスクールって書くけど、80年代前半〜89年くらいに思っていただければ)って、そんなに好きじゃなかったりするわけですよ。
待て待て。石を投げるな。

いやね、90年代に入るか入らないかの頃から、ネイティブタンの登場とか、それらに影響を受けた洗練されたトラック群とかが登場したじゃありませんか。
さらに、Pete RockやDJ PremierやDa Beatminerzの登場で洗練を深めたトラックと、オールドスクールの頃のそれとの距離は離れたし(彼らがオールドスクールを軽視している、ということではないよ?)、G FUNKの隆盛やRZAによるぶっ壊れたトラックも、オールドスクールのそれとはまた別方向への進化でした。
で、最近目立つのは、90年代半ばくらいまでの方法論の延長線上にある連中であったり、その方法論をさらに破壊的にした連中であったり、(よく知らんけど)バウンスであったり、Neputunesであったり、既に先鞭がつけられて久しい生演奏でのグルーヴであったりします。
で、その中でそれぞれ進化もしているし、魅力的な曲も決して少なくないわけですよ。

ところが、そんな中で、BEASTIE BOYSが、オールドスクールのノリで、あっさりビルボード1位とっちゃったのです。
しかもだ、昔は「白人にも出来るHIPHOPを提示した」とか言われていた彼らが、ですよ。
何も目新しいことなんざやってないんですよ。シンプルなループ。シンプルなネタ。激しいスクラッチ。力一杯のMCの掛け合い。
それが、どうしてこんなにもかっこよく、新鮮に聞こえるのか。

いや、私、現場のことなんざさっぱりわかりませんが。
これはもしかして、盲点だったんじゃないかな、なんて思ったりするのです。
洗練だとか、組み換えだとか、方法論だとか、新たな何かを開拓しようとすることでネクストレベルへ行こうとし続けていたシーンの中で、新たな何かを探るのではなく、ただ圧倒的な「力強さ」を見せ付けることで、ネクストレベルを提示してしまった。
これはシーンに対するカウンター、起爆剤になるのではないかな、なーんて愚考する次第でございます。
posted by 旅烏 at 03:12| Comment(0) | TrackBack(2) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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