2004年08月18日

私的録音補償金について思うこと 或いは返す刀

ええと、facethemusicさんや ふっかつ! れしのお探しモノげっきさんでこちらの記事「柔らかいデジタル 第17回〜デジタル時代にそぐわないどんぶり勘定」を取り上げてらっしゃいます。と、いうことは、他にも多くのサイトが取り上げているでしょう。まあ、それはさておき。

記事の内容はというと、日本でiTunes Music Storeが開始されない理由を私的録音補償金制度の側面から分析し、さらにJASRACやSARAHによる著作権者への利益分配のやり方が、時代にそぐわないものではないかという指摘にまで踏み込んでいくのですが、それはさておき。

記事中で、私的録音補償金の実際の金額について触れられています。引用させていただくと
『金額はカタログなどの表示価格に対して機器本体の場合約1.3%(上限1000円、録音機能2基搭載の場合1500円)、媒体で約1.5%だ。MDで計算すると1枚あたり約3〜4円程度となる』
だ、そうでございまして、じゃあ、録音メディアはオープン価格に出来ないのかよ。それもひでえなとか思うのですが、それはさておき。

ここで、少し前の記事を思い出してください。この記事も各所で紹介されていましたので、覚えてらっしゃる方も多いに違いありません。
この記事ですわ。「ユーザー置き去りの著作権攻防戦
ね、覚えてるでしょ? まあ、覚えてない方も、読んでいなかった方も、この機会に読んでみてください。
さて、この中で、JASRAC録音部長の沼村氏によると、JASRACとRIAJは、私的録音補償金について、2つの要望を持っているそうなのですよ。
ひとつは、データ用CD-R/RW、パソコン、iPod等への課金対象の拡大(従来は、MDや音楽用CD-R/RW、DAT、DCCが対象となっていました)。
もうひとつは、こちら、あまり注目されていないような気もするのですが、媒体価格比で決められている金額(上で引用させていただいた、約1.3%だとか約1.5%だとかいう奴です)を、1枚あたりいくらの定額制にするというもの。
要するに、CD-R/RWやMDが広く普及すれば、当然価格も下がるわけで、価格が下がれば実入りも減るわけですな。
「媒体の値段が下がっても、収録される音楽の価値は変わらないはず」というのが理屈だそうです。

いや、まあ定額なら定額でいいんですがね。
ひとつ提案があります。

印税のことなんですわ。
印税については無知もいいところですが、各所で語られているのを読ませていただくに、どうもパーセンテージで語られていることが多いようで。てことは、実際の契約も、「売上(単価)の○%」って形で結ばれているのだろうと思います。
うーん。おかしくないですか?
いや、私的録音補償金と印税がまるっきり別のものである理屈なんて、いくらでも出てくるとは思うんですが、それでも、この両者の算定基準が片方は価格比、片方は定額と異なっているのは、どうも気持ちが悪い。心情的には納得できないですよ。
ここはひとつ、アーティストに支払われる金額についても、1枚いくらの定額制にしてみたらどうでしょうね?
ほら「媒体の値段が下がっても、収録される音楽の価値は変わらないはず」なんでしょ?
それは録音メディアだけではなく、レコード会社から発売される音源にも同様に当てはまるはずです。だったら、時に戦略的に安売りされたりもする、価格との対比で著作権料を支払うのではなく、1枚いくらという形を目指すべきではないでしょうか?
私的録音補償金の定額化はJASRACのみが要望しているのではなく、RIAJも要望しているそうですので、なおさらそう思いますね。
どうですか?
まあ、そうするとRIAJの実入りは減るのかもしれませんがね(笑)
自分たち著作権隣接権者を保護する要望ばかりじゃなくて、ここいらで著作権者を保護する要望もしてみたらいかがですか?
posted by 旅烏 at 00:43| Comment(1) | TrackBack(0) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
非常にまっとうな考察だと思います。
Posted by BB at 2004年08月18日 13:44
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。