北中正和、石川真一、高橋健太郎の三氏が文化庁へ、レコード輸入権の運用に関する要望を伝えたことは、うちでもこちらで取り上げたんですが、正直、躊躇してしまった部分がありまして。
それが「レコード輸入権の行使がどのような状況になっているかを判断する手助けになりえるもの」とか「これが音楽ファン主導で作られた要望だったら完璧なんだけど」とかいう表現になったわけですが、いやはや、我ながらなんとも情けない話で。反省します。
私はUnforgettable Daysさんと違って、要望の内容に不満はないっす(というか、あくまで判断材料の1つに過ぎないと思っているんで。しかし、要望に含まれる問題点を検討するという作業は必要だと思います。出来ればわかりやすい文章で。Unforgettable Daysさんの文章も私の文章も必ずしもわかりやすいわけではないので(笑))。
ただ、この要望が「音楽関係者および音楽ファン」の要望として提出されていることに関しては、私も同じく違和感を持ってしまうのですよ。
「こんな要望を出そうと思うんだけれど、皆さんどう思う?」という手続きを踏んだ上でのことならば、別に問題ないと思うのですが。そのために使うことができるBlogというツールも手にしているわけですし。
私は、この要望というのが、音楽関係者としての要望だとして出されるべきものだったと思いますし、その意義自体はあると思うんですがね。音楽ファンの要望じゃないでしょう、と。
内容的にはともかくさ、この三氏が音楽ファンに相談してるってのも寡聞にして知らないし、要望を出した三氏とも音楽関係者だしさ。
私の知らないところで(例えばメーリングリストとかでね)音楽関係者以外の音楽ファンに相談したってこともありえるでしょうが、だったら、それを明らかにするべきなんで、そういったことはなかったと考えていいでしょう。
要はアレだ。「『音楽ファンからの要望』ってえけど、俺たちゃ相談された覚えはないぞ?」ってね。
ちょっと勇み足だったんじゃないですかねえ?
追記:当のUnforgettable Daysのエントリーに、当の高橋健太郎氏がコメントを寄せていて、私としてはなんとなく合点がいった。ああ、なるほど。文化庁には、この要望というのが、何かを代表してのものではないってことを、きちんと伝えてあるわけですな。だったら、大して問題はねえわな。
それでは、「だったら『有志が、様々な人の意見を参考にした要望を文化庁に伝えました』みたいな表現の方が、誤解がなくていいと思う」と、改めて指摘させていただきましょ。
実際、俺は早とちりしたし、この問題をよく知らない人(まだまだたくさんいるでしょ)には、もっとわかりにくいかと。
最初の会合では主に私が考えた十数項目だった要望が倍近くになったのは、6/15の私のBLOGでの報告に対して、あるいはそれ以外にも、様々な方から意見が寄せられた意見を二度目の会合までに汲み上げていったからです。そこには一般の音楽ファンの意見も含まれています。ネット上で、最も詳細に要望項目を検証してくださったのはUnforgettable Days(sandman)さんでしたので、それも参考にさせていただいていると思います(私にはsandmanさんの文章が理解しにくいところがあるので、精読はしませんでしたが、チーム内では参考にされているはずです)。
また、BLOG以外にもメール、あるいは様々な場所での会話から一般の音楽ファンの意見を受け取ることもありましたし、これは私個人に限らず、有志メンバーのひとりひとりにもあったでしょう。私達のメーリングリストの中ではそれぞれがこのような意見もある、このような意見もある、といったやりとりが重ねられています。とりわけ、大貫憲章さんからは彼のラジオ番組やイヴェントに集まるファンの声といったものが、何度も伝えられました。
もちろん、それで私達が音楽ファンの声を広く萬集したと考えたりはしません。しかし、文化庁に伝えた要望が音楽ファンを含まない「音楽関係者の要望」だけだったとするのも、私個人の感覚の中では無理があります。私達だけではあの要望項目は作ることが出来なかったのは明らかです。私達は万来堂さんやFACE THE MUSICさんやOTO-NETAさんやその他のBLOGも毎日、拝見しています。私達がWatchdogなどという言葉を使い始める以前に、すでに優れたWatchdogであった方々が多数いると認識してもいます。Free Music Watchdogを音楽関係者による組織として形作る方が方法としてはたやすかったはずですが、あえて、BLOGを中心とする形を持たないネットワークに名前や顔を与える、という曖昧な方法を選んだのは、優れたwatchdogである一般の音楽ファンに敬意を払いたかったからであり、緩やかに連携することによって、より大きな抑止力を形作れないかと考えたからでした。
私達、音楽関係者も、音楽関係者である以前にいち音楽ファンであり、だからこそ、こうした行動をしているのだという意識も、少なくとも私個人の中にはあります。
ですから、これは「音楽ファンの要望じゃない」と断定されてしまうことには違和感がありますし、「音楽ファンの要望」とするための手続きを踏んでいない、とされることには、そもそも、そのような手続きが可能であるか、という疑問が湧きます。誰も音楽ファンを代表することなど出来ないのですから、Unforgettable Days(sandman)さんのように、民主的な手続きを踏まず、音楽ファンを無視した悪質なもの、というような断定をされると、逆に、Unforgettable Days(sandman)さんが音楽ファンを代表しているかのような、奇妙な印象も受けてしまいます。
しかしながら、御指摘の通り、無用な誤解を招くような表現があったのは確かでしょう。watchdogをwatchdogするともいうべき、こうした指摘は有意義だと思いますし、泥仕合にならないように、それを生かしていけば、より説得力のある行動が出来るようになるであろう、とも思います。
どのように改めれば良いかは、私だけで考えることではないですが、代表しているかのように思われる、という問題についていえば、「音楽関係者」という表現も同じですので、「音楽ファン」を取り去れば良いというものではないと思われます。ただ単に「要望」とだけすべきであったかもしれません。
エントリーに追記したことの繰り返しになりますが、私個人としては高橋さんの説明に納得しております。
私に関しては、曲がりなりにもこれまでこの問題を追いかけてきた挙句の早とちりですからアレですが、そこまでこの問題をフォローしてはいないけれど、関心はあると。そんな状況で当のFree Music Watchdogのエントリーを目にした人も多いでしょう。そういった人に、高橋さんが上で説明してくださったようなことを勘案してエントリーを読んでくれ、というのもまた無理な話ですので、やはりあの表現は、ちょいとまずかったかと。
お話をうかがった上で、やはり、「様々な人の意見を参考にした要望」ってのが、一番実態にも近く、誤解も少ない表現だったんじゃないかな、と思っております。
ただ、繰り返すようですが、要望の内容に関しては、私は不満を持っておりませんので。このような要望を文化庁に伝えることができたというのは、大変に意義のあることである、というのも理解しております。
と、いうわけで、このコメントを読んでいただいている他の方にも強調させていただきましょう。
今回のちょっとした騒動は、高橋さん、石川さん、北中さんが文化庁に伝えた要望の意義を貶めるものではないですよー。
sandmanさんについては、その要望を「酷いものです」とまで断言しているので、違うのかもしれませんが(笑)。