2004年11月01日

輸入権行使ダービー

輸入権行使ダービーだそうで。

エイベックスとソニーは直前での体調不良が報じられ、調整に難。まして、エイベックスは鞍上がテン乗りの松浦ということもあり、不安は拭えない。
というわけで、三番手に甘んじていた東芝が俄然注目を浴びている。問題は英EMI軍団の意向か。ゴドルフィンのように日本の競馬界にまで関心を持っているかどうか。EMIが賞金的にも大したことの無い、極東の逆輸入盤競争にどれだけ意欲を持っているのか、疑問に思うところもあるのだ。

というわけで、当サイトでは本命に10:ポニーキャニオンを推す。馬券にこそからめなかったが、トライアルのCCCDメモリアルで見せた末足には目を見張ることがあった。陣営も目標を輸入権ダービーに定めて虎視眈々。ましてや、オーナーが理事会の理事長職についてから初のビッグタイトル、ここは負けられない。空気の読めない東芝の大逃げに、調整不足のエイベックスとソニーが巻き込まれ、あえぐ実績馬たちをポニカが一気に差し切る。

狙って見て面白いのは3:キングレコード。CCCDメモリアルでは散々な結果。重賞勝ちもないが、アニメが大きな位置を占めるであろうアジアにおける日本音楽の状況を考えると、陣営の意気込みが違う。当日はドロドロの不良馬場が予想され、雨の鬼の真価を発揮か。

馬券は10:ポニーキャニオン、3:キングレコードを軸に、三連複で手広く。
三連単では
10−3−6
10−3−9
10−6−3
10−9−3
posted by 旅烏 at 15:28| Comment(1) | TrackBack(0) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月29日

還流盤輸入禁止期間は4年に正式決定 或いは馬鹿は何をやらせても馬鹿

最近気の滅入ることが多いんだけども、今日はこんな気の滅入るニュースが待っていた。
「著作権改正要望のパブリックコメントを追跡する」より、文化庁が出したプレスリリース。こちらをどうぞ。

まあ、文化庁は還流盤の輸入禁止期間を4年に正式決定したよ、と。
なんというか、馬鹿は何をやらせても馬鹿なわけで。
馬鹿なんだから、もっと人々のお役に立つ職業に就いたほうがいいと思うぞ。

で、どのへんが馬鹿かというと、具体例の挙げ方が馬鹿。
引用すると


・これまでに約340万枚売り上げている音楽レコードの例
 →発売から4年目に約10万枚、5年目に約8万枚、6年目に約18万枚を売り上げている例
・これまでに約50万枚を売り上げている音楽レコードの例
 →発売から4年目・5年目には数千枚程度だったものが、6年目に約9万枚を売り上げている例



これで鬼の首を取ったように喜んでいる吉川著作権課課長の姿を想像すると、どこか微笑ましささえ感じる。あれだ、馬鹿な子ほどかわいいという奴だ。
でだ、その下に小さい文字でこんな注が入れてある。こちらも引用すると


注:「週に何千枚、年に何万枚」が相当程度の売上であることは、今回実態分析の対象とした約6万タイトル中、トータルの売上でも1千枚に満たないものが約40%を占めることからもわかる。



ね、馬鹿でしょ?
つまり、「調査した6万タイトル中、約40%は具体例で挙げたようなパターンには当てはまりようが無い」ということを、自分で言っているわけ。
あのなあ、今までどんぶり勘定で、自分の老後の安定のために産業界の言うことを聞いて生きてきたのはわかるけれども、もはや衆人環視の中にいるも同然なんだから、もうちょっとまともなデータの分析をしたらどう?
文化庁が言っているのは、喩えて言うとこんなのと同じ。

「お年寄りに運動をしてもらおうと思うんですが、約6万人のお年寄りを調査したところ
具体例
・83歳男性、100メートルを14秒で走破する。
・76歳女性、フルマラソンを4時間で走破する。
という方もおり、お年寄りといっても一概に体力が無いというわけではないので、5000メートルを日本に住むお年寄り全員に走ってもらうことにします。
注:100メートル14秒、フルマラソン5時間がいかに優れた記録であるかというのは、調査した6万人中、約40%の方がこの記録に遠く及ばなかった事からも明らかです」


ったく、6万タイトルを調査したんだったら、売上推移の全体的傾向でも示してそれを根拠にすりゃあいいだろうに、特異な例を二つ上げてそれを根拠にするなんて、本当、馬鹿って予想の斜め下を行くから素敵。
4年にすりゃあ、確かに文化庁が挙げた具体例のような売上推移を示すごくごく一部のタイトルは救われるだろうがね(その割合はいったい全体の何割くらいなのかな? こういうことこそ調査で明らかにされるべきことなんだが)。その影でいったいどれだけのタイトルが国内盤の実質的な売上もないままに輸入禁止され続け、その結果、どれだけ日本の音楽シーンから多様性が奪われることになるのか。
まあ、日本の大手レコード会社は、全力を挙げて衰退しようとがんばっているようであるから、いいんだけどさ、もう。


追記:そうそう、この還流盤輸入禁止っていうのは来年の1月1日から実施されるんだけど、1月1日時点でもうリリースされている「商品」(もう作品なんて言わんぞ)に関しても、4年間還流盤が入ってこなくなる。
なんでそういうことに決定したのか、その根拠は一切示されてないあたりも、想像を絶する馬鹿さ加減が素敵。失業しちゃえばいいのに。
posted by 旅烏 at 23:05| Comment(95) | TrackBack(27) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月23日

9月は洋楽が売れたらしいが、Utadaはどっち扱いだ?

RIAJが9月のレコード生産実績を発表しました。こちらからどうぞ。
簡単にまとめますと

・CDについて、洋楽は金額ベースで単月前年比109%、累計前年比98%。

・同じく邦楽については、単月前年比83%、累計で93%。

・洋邦まとめると、単月前年比90%、累計で95%。

とまあ、こんな感じ。
去年の9月の数字を見てもらうとわかるんだけど、2003年というのがもうボロボロであり、その去年からさらにかなり落としてしまった邦楽の販売不振ってのが深刻だろうな。シングルもアルバムも満遍なく売れていない。これをどう見るかは人それぞれだろうけど、シングルが売れてないんじゃあ、シングル集と化してしまっているアルバムが売れないのも当然っちゃあ当然か。
で、洋楽はなんとか下げ止まり、と。去年ボロボロだったとはいえ、2ヶ月連続で洋楽CDは前年比クリアしてるわけだから、とりあえずは下げ止まったと判断してもいいのではないかしらん?

いや、待て、9月に販売されたUtadaはどっちだ? 邦楽扱いか? 洋楽扱いか?
Utadaが洋楽扱いでこの数値だったら、ちょっと微妙な感じになってくるなあ。
posted by 旅烏 at 14:49| Comment(3) | TrackBack(0) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月19日

著作権保護期間は70年が欧米では一般的な水準……なのかい?

二つ前のエントリでも取り上げたけど、こちらで、関係団体から文化庁に寄せられた意見を読んでみると、「欧米では著作権が保護される期間は70年が一般的だから、日本も保護機関を50年から70年に延長汁!」という論調のものがやたらと目立つ。
こちらの記事でも、JASRACの吉田理事長が同趣旨の発言をしている。

で、謎工さんから、少々誤爆気味のコメントで(笑)、こんな記事を教えていただいた。
引用させていただくと

Stefan Bechtoldが書いているところによると、欧州委員会は(少なくとも調査報告書は)EUでのレコードの著作権期間を現行の“公表後50年”以上に延長すべきではないと判断した。レコード産業からの、もっとも重要なロックのうち何曲かをパブリックドメイン入りから「救う」(彼らの用語では)ために期間を延長しろという日増しに強くなる圧力にも関わらずだ。欧州ではすでに記事となっている(Independent、BBC)。

これは自由な文化を求める戦いにとってこの上なく重要な展開だ。これまでで初めて、政府関連の機関がバランスの重要性を認識した(あるいは、その認識を圧力で潰されなかった)のだ。



欧州委員会ってなんじゃい? と思ったら、ご丁寧にも外務省が解説してくれている。おいおい、これってもしかして、EUでも最大の権力を持つ機関のひとつなんじゃないか?


危ない危ない。「欧州では70年が一般的な水準」って信じ込まされるところだったよ。
posted by 旅烏 at 23:45| Comment(21) | TrackBack(0) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

JASRACについての実に素朴な疑問

what's my sceneさんを読んでいたら、この記事について取り上げていた。
まあ、色々と突っ込むところがあるんだろーなーという感じの記事だが(いや、きちんと読んでいないんで突っ込まないけども)、一箇所だけ気になったところ、というか素朴な疑問が。
いや、JASRACの船村“矢切の渡し”徹氏が「大切な日本の音楽の著作権をしっかりと守っていくことに尽力したい」とコメントしたそうなのだけれども。

いや、JASRACの主目的って、著作権を守っていくことだったけか?
確か、著作権料に関する業務を委任されただけの組織だった気がしたんだが……
posted by 旅烏 at 23:21| Comment(3) | TrackBack(0) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月14日

こんなパブリックコメントをおくったよ

エントリを書くのは久々になるわけですが、いや、忙しかったんですわ、ここんとこ。
忙しさが収まったわけではないんだけれども、今日は体力的に余裕があるので、久々に更新しようかと。


さて、昨日が還流防止期間についてのパブリックコメントの締切日でありましたな。送った方もいるでしょうし、見送った方もいるでしょうし、そんなのやってたんだ、しらなかったという方もいるでしょう。
私はというと、いや、昨日の出勤前に慌てて書いて、送信をクリックして、PCつけっぱなしで出勤(しかも遅刻寸前)というテイタラクでありました。いやはや。
それで、出勤前の20分で書いたコメントを、恥ずかしげもなく公開してみようかと(誤字なんかは修正しました)。
笑ってやってください。


還流盤の輸入禁止期間であるが、4年というのはいかにも長すぎる。及び、その期間の算出根拠がわからない数字である。
ご存知の通り、レコード会社は各社とも時限再販を実施しており、現状ではその多く
が6ヶ月、また、さらに短縮の動きもあると聞く。
また、文化庁著作権課の職員さんたちもネットで多くの情報を集めていると思うが、
(その説得力についてはひとまず置くとして)ネット上で邦楽音源の売上の大半がリリースか
ら半年以内に売り上げられているとのデータも示されている。
これは、利益の確保を目的としている時限再販の期間とも合致する。
時限再販、還流盤輸入禁止、いずれも日本の音楽文化の発展のために法で保障された
措置だというのに、片方は6ヶ月、片方は4年というのはどういうことか?
再販期間の短縮については公取委がかかわっており、還流盤輸入禁止については文化
庁が主導を取っているという違いはあるだろうが、そのような行政内部のゴタゴタな
ど、日本の音楽文化にとっては本質的に関係の無いものである。ダブルスタンダード
を容認する理由にはならない。
還流盤輸入禁止期間については6ヶ月を希望するとともに、再販期間の変更があった
際には、柔軟に輸入禁止期間も変更していくことを希望する。
また、4年という期間を案として提示するにあたり、当然のことながら各種方面の意
見や各種資料を参考になさったと思うが、どのような意見があったか、どのような資
料があるのか、公表することを強く希望する。根拠を提示すること無しに期間のみを
提示するから、ますます音楽ファンの不信感を煽ることとなる。いい加減に学習して
いただきたい。
また、案では2005年1月1日時点でリリースから4年が既に経過している作品について
も、法の施行日から4年間輸入禁止できるとなっているが、こうなると、本来の目的
を見失っているとしか思えない。本来の目的は、売上の多くをあげることが期待でき
る期間、還流盤を輸入禁止することにより、国内のレコード会社の利益を保護し、ア
ジアへの進出を促すものではなかったのか? 売上のピークをとうに過ぎてしまって
いる音源の輸入を禁止したところで、音源に触れることの出来るリスナーの数が減る
だけの結果しかもたらさない。
2005年1月1日時点でリリースから6ヶ月を経過していない作品についてのみ、リリー
スから1月1日までの期間を6ヶ月から引いた残りの期間、輸入禁止できるという風に
変更することを希望する。
また、私はそもそも還流盤輸入禁止に反対であり、法律は成立してしまったものの、
これは経過措置的なものであると思っている(経団連からも「時限立法なら容認でき
る」という旨の意見があったはずだ)。
文化はそもそも柔軟に変化していくものである。それを保護する法律も柔軟に見直さ
れてしかるべきだ。なによりも、柔軟な姿勢を文化庁には希望したい。
posted by 旅烏 at 03:03| Comment(1) | TrackBack(0) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月01日

著作権法施行令の改正に関するパブリックコメント(意見提出手続)の実施について

著作権法施行令の改正に関するパブリックコメント(意見提出手続)の実施について

時間が無く、昨日はかけなかったのだが、取り急ぎ。
是非、あなたの意見を文化庁へ。


さて、先の国会でパブリックコメントの募集期間が短かったことに対する弁明として「あれは公的なパブリックコメントとは異なる、単なる意見募集だ」というものがあったんだが、今回ははっきりとパブリックコメントと謳っているにもかかわらず募集期間は10月13日までのわずか二週間。
文化庁は国会答弁などなんとも思っていないということが、わかりやすく示されているな。


このたび、関係権利者の利益の確保と、関係事業者や消費者の利益の調和を図ることを基本としつつ、音楽レコードの国内市場における流通期間や、相当の売上げが期待される期間を総合的に勘案して検討した結果、当該「政令で定める期間」は、国内において最初に発行された日(この法律の施行の際現に発行されているものについては、当該施行の日(平成17年1月1日))から「4年」とすることといたします。


だそうだけれど、いったい何を「総合的に勘案」したものやらさっぱりだ。どういった意見、どういった資料があり、それらをどのように解釈したのかを公開することを、このパブリックコメントを通じて要求したい。
あわせて、こちらをご覧いただきたい。高橋健太郎氏があるレコード店(HMVとのこと)のデータをもとに、発売後2年が経過したアルバムの売上推移について検討したものだ。2年間の売上のうち、リリース直後の半年で、その90%を売り上げているのだ。
それなのになぜ4年なのか、さっぱりだ。文化庁としては最長の「7年」と最短の「1日」の中間を取ったつもりなのだろうが、馬鹿にも程がある。
4年という期間は長すぎる。現状では半年もありゃあ関係者の利益確保には十分であるということも、このパブリックコメントで送ろうと思う。
posted by 旅烏 at 07:28| Comment(5) | TrackBack(2) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年09月24日

8月は洋楽が売れたらしいが、本当か?

毎月恒例、RIAJが8月のレコード生産実績を公表しました。
ざっと目を通してみたんだけど、なんか変というか、さっぱりわからん。


・邦楽CDに関しては、単月の前年比93%(7月度91%)、累計では前年比96%(7月までの累計95%)とわずかながら上昇(いずれも金額ベース)。

・洋楽CDに関しては単月の前年比147%(7月度91%)と大幅に上昇。シングルは前年比37%と無いも同然の低落も、アルバムが前年比148%。累計では前年比96%(7月までの累計91%)と、こちらも大きく改善(いずれも金額ベース)。

・洋邦合計では、単月の前年比105%(7月度96%)と大きく改善、累計でも95%(7月まで94%)とわずかに上昇。


……というわけで、全体的には洋楽アルバムの出荷に引っ張られての好調なわけだけれども。当方、チャートにはまったく関心が無いもので、「ああ、俺が知らない間に洋楽のメガヒットでも生まれたのか」と思って、オリコンの月間チャートを見てみた。
いや、見てはみたんだけど、7月度と比べて大きな変動があったようにも見えないんだよな。
TOP30に入っている洋楽(含む韓国)アーティストの数を比較すると、7月度が13、8月度が12と、8月の方が一つ少ないくらいで。
何が売れたために洋楽の出荷枚数がこうも劇的に改善を示したのかが、さっぱりわからないのだ。
どなたかご存知の方は、ご教示いただけるとありがたい。

追記:2003年8月度のレコード生産実績を見てみたんだけれど、なんだ、去年の8月がボロボロなのだな。なんとなくわかった。
メディア報道では「前年比105%」というところに重点が置かれているように読めたのだけれど、必ずしも8月度の伸張を示すものではないな、こりゃ。
むしろレコード会社の内部では、邦楽が去年よりもさらに下回っていることに懸念を持っている人のほうが多いのではないだろうか、と、これは勝手な推測。
posted by 旅烏 at 01:29| Comment(4) | TrackBack(7) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年09月22日

輸入盤の価格(This Month Greatest Gainer)

れしさんのところ経由。
まずはこちらの表を見ていただいて。
この表はなにかというと、さやさんが私的に、国内盤の価格と輸入盤の価格を調べた結果をまとめたもの。まったくもって、頭が下がる。
ビルボードの上位25タイトルの平均価格を見てみると、国内盤価格、USでの価格はいずれもほぼ横ばいなのに、日本における輸入盤の価格だけ、着々と上昇を続けているのがわかる。
いかん、いかんな。
色んな人が色んな懸念を持っているわけだけれども、その中のひとつに「輸入盤の価格が吊り上げられて、結果として国内盤・輸入盤ともに高値で安定するのではないか」というものがあった。
それに向けて一直線。4コーナー回って、輸入盤が直線一気ですな。
あのねえ、いくらCCCDをやめてもこんなことばっかりしていると、誰も音源そのものを買わなくなるよ? と言いたい。

この傾向が続いたとして、RIAJがどんな事を言い出すか、いくつか考えられますわな。


・「ほら! 国内盤と輸入盤との価格差は是正されたでしょ!」と、馬鹿面さらして得意げに言い出す。

・「輸入盤は値上がりしたけど、国内盤は値上がりしてないでしょ! 僕たちがんばったんだよ!」と、馬鹿面さらして得意げに言い出す。

・「ほら! 国内盤と欧米からの輸入盤の価格差ってほとんどないから、輸入権で止まることはないよ!」と、馬鹿面さらして得意げに言い出す。
posted by 旅烏 at 00:19| Comment(19) | TrackBack(5) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年09月17日

avex、CCCDを弾力的運用へ 及び吉川課長の醜態

私が寝込んでいる間に各所で報じられたようですね。プレスリリースはこちら
まあ、あれだ、リスナーから置いてけぼりをくらいそうなことに気がつきました、といった内容に読める。
「CCCDが一定の効果を上げたから」というのは、まあ、「CCCDって、結局意味がなかったです」ともいえないから、ご愛嬌だな(笑)。文中でも触れられている「ファイル交換ソフトの利用実態調査」ってのは、データの取得方法がいい加減すぎてお話にならない。
個人的には、avexがリリースする楽曲の多くにあまり魅力を感じないので、あまり影響がなかったりする。

もうひとつ、文化庁の吉川課長が、また醜態を晒している
特に呆れたのが、洋楽が止まるのではという懸念に対する返答。

「具体的にはこれから税関と話し合う予定だが……」とか書いてある。

この発言がなされたフォーラムは、9月17日開催されたもの。
法律が可決されたのが6月初旬。


丸三ヶ月間、貴様いったい

何やってやがった。



予想はしていたことだけれど、先日送った「いつごろガイドラインとか明らかにするの?」という文化庁への問い合わせメールには、返答なし。


追記:毎日新聞記事より。ソニーもLGCD取りやめの方向で検討とのこと。
私の好物であるHIPHOPの場合、US盤が購入できることの多い洋楽よりも日本のアーティストの方がavex傘下Cutting EdgeやSMEによるCCCD化の影響を被っていたりする。
図らずして、CCCDへの反発を度々表明してきたRhymesterの宇多丸師匠が「ザ・グレートアマチュアリズム」でキックしていた通りになった。
つまり、お偉いさんのビジネスセンスなんざ役に立たず、アーティストの勘の方がシーンの行く末をきちんと指し示していたわけだ。
posted by 旅烏 at 23:30| Comment(2) | TrackBack(8) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年09月12日

いくつかクリップ

疲れてるんで、いくつかクリップするにとどめる。
俺の作業が煩雑になるので、失礼ながらトラックバックは省略させていただきますが。

・民主党の川内議員等が文化庁に提出した質問書に対する答弁書が謎工さんのところでアップ。こちらこちらこちら
で、その難解なお役所流文章をfacethemusicさんで翻訳している。それがこちら
れしさんのとこでも取り上げてる。それがこちらこちらこちらこちら
簡単に感想を書くと、ああ、文化庁って、音楽文化の振興には関心がないのだな、というところだな。


Music Watchdogsなるサイトがオープン。


・造反有理さんで、文化審議会著作権分科会契約・流通小委員会(第1回)のメモがアップ。こちら
初回ということもあり、大したことは言ってないのだが、重要なのは次回。次回は、ただいま募集中(9月30日まで)のパブリックコメントを踏まえたものとなるからだ。
つまり、次回は我々の意見を踏まえた議論がなされるという建前なのだ。ていうか、意見がある人はぜひコメントを。俺も月末までに考えるわ。
パブリックコメントはこちら
「著作権等管理事業法ってなんじゃい?」という俺みたいな人は、造反有理さんや、Copy & Copyright Diaryさん、JASRACを考えるさんから芋蔓式に辿っていくと面白いかもしれない。


・陸這記の仲俣氏が、作家・三田誠広(敬称略)の件のアホ丸出しな「それから,漫画や推理小説なようなもの,推理小説は,読み終えて犯人がわかったら,もう二度と読まないというものが多いんですね。ですから,音楽CDのようにコピーをとって繰り返し聴くということがなくても,古本屋で本を買って推理小説を読んで犯人がわかってしまったら,もう物体としての書籍には価値がないということで,また古本屋に売りにいくということが起こります」という発言に猛反発、及び貸与権創設に当たり提示された資料やその根拠に猛反論
三田誠広(敬称略)のサイトはこちら
関係ないが、三田誠広(敬称略)は、書籍が新古書店に売られるのがお気に召さない様子。しかし、だからといって本を捨ててしまったのでは、誰に拾われるのかわからず、誰にただ読みされるかわかったものではない。こうなったら、著作権者本人に本を返却するしかなかろう。
と、いうわけで、「どこに返却したらいいっすか?」と問い合わせのメールを出してみた。返事、来るだろうか?
posted by 旅烏 at 03:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年09月07日

公取委における懇談会

本日、公正取引委員会主催で、音楽用CD等の流通に関する懇談会が開催されたそうだ。造反有理さんが、詳しいメモを挙げてらっしゃるので、是非ご一読いただきたい。
参加者は以下の通りだそうだ。

泉川 昇樹 日本音楽著作権協会常務理事
岡田 羊祐 一橋大学大学院経済学研究科助教授
落合 誠一 東京大学大学院法学政治学研究科教授(座長)
岸井 大太郎 法政大学法学部教授
関根 啓子 全国消費者団体連絡会消費者関連法担当
ポール・デゼルスキー HMV ジャパン株式会社社長
中山 信弘 東京大学大学院法学政治学研究科教授
生野 秀年 社団法人日本レコード協会常務理事
ピーター・バラカン ブロードキャスター
水原 博子 日本消費者連盟事務局長
矢島 靖夫 日本レコード商業組合理事長

公取委からは以下の三名。

山木 康孝 公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長
野口 文雄 公正取引委員会事務総局経済取引局取引部取引企画課長
大胡 勝 公正取引委員会事務総局経済取引局取引部相談指導室長


以下、造反有理さんの作成されたメモを引用しながら、頷いたり言いがかりをつけたりしていこうと思う。


○ 矢島:(前略)あの法律の根本は文化の国際交流を促進して、日本文化をアジアに理解して頂くことが、外交問題、国民の理解、不幸な歴史を埋める上できわめて有効であるというのが第1点。

アジア市場に食い込みたいだけだろうが。なに言ってやがる。
日本を理解してもらいたいってんなら、どんどん還流盤を受け入れて、向こうの会社に儲けさせてやれよ。よっぽど感謝されるぞ。


○ 関根:(前略)法制化にあたって、還流防止措置ができた場合には値下げに努力するということを報道によると表明されていた。現在、ここまで来て、どのような努力をされているか、具体的なことがあれば教えて頂きたい。

○ 生野:還流防止措置が導入されたらレコード会社は積極展開して、産業自体が元気になる。元気になった、つまり、利益が上がった場合、当然、消費者にも還元されるべき。ただ、導入が来年1月からである。現在については時期尚早ではないか。


ほほう、言い分が変わったな。
「還流防止措置が出来たら値下します」が、いつのまにやら「還流防止措置によって利益が上がったら値下します」になっとる。
何が時期尚早だよ。大体、還流防止措置によって利益が増大するのかどうかすら、怪しいってのに。


○生野:(前略)SMEのVelvet Crushという商品が日本輸出禁止という形でなされた云々というお話だが、これは、Velvet Crushはアメリカのインディーズのアーティストで、ソニー・ミュージックジャパン・インターナショナルが日本でのライセンスを受けて、日本が世界で一番早く発売する契約をした商品。SMEJの方には、Velvet側から通信販売を米国でしたいという話があって、それは了承している。通信販売をするに当たって、アーティスト側、権利者側が、製造販売業者に対して、ソニー・ミュージック側に配慮して日本への輸出禁止を依頼したということで、日本側は依頼したことも一切ないと当該者から確認している。


調査したんだったら、それを公表しやがれ。
公表しないから、不安感と不信感だけが増していく。んなこともわからんのか?


○ 矢島:(前略)我々はサービス券などはやりたくない。廃業店がどんどん増えている状況であるが、当局の強い要請、多様なサービスを流通ですべきという指導、強い期待を寄せられてきたもの。経営が苦しい中でも。経営は本当に苦しい。ポイントサービスについても消費者が喜んでくれるということで精一杯やっている。きれいさっぱりやめて経営再建に当たらなければならないほど追い込まれている。これに対して、書籍の業界はどういうサービスをしているか。新聞は契約更新にトイレットペーパーなどをくれるくらいである。それらの業界にも当局はサービスを要請しているが、我々と同じようなサービスはそれら業界では受けられない。我々は弾力運用をしすぎるために水原さんのような指摘を受けるのかと。一切サービスしないでおさまるのであれば、経営改善の原資が得られて廃業店が減るとして喜ばしい。
 しかし、弾力運用は国家との約束である。今後も弾力運用は継続すべきと考えている。過去の経過をふまえてこのような見解を申し上げざるを得ない。


新聞社の努力が足りないから、レコード会社の取り組みは十分だってか? くだらねえ。
あとな、「一切サービスしないでおさまるのであれば、経営改善の原資が得られて廃業店が減るとして、喜ばしい」という発言。もう、哀しいまでに顧客サービスとはどういった目的でなされるものなのか、見失っとるな。
ポイントカードでリピーターを増やすことによる増収増益を目的に、ポイントカードを導入しているんじゃないのか?
そのサービスが減収のみをもたらしているというのなら、それは初期の目的を見失ったというだけだ。んなもん、とっとと止めちまえ。
こいつの言い分は、あれだ、増収増益のために始めたポイントサービスを、あたかも消費者への利益還元のためだけに始めたかのような、誤った認識を与えるものだ。本気でそう思っているのなら、もう救いようがないが。


○ バラカン:(前略)建前では、再販制度はは多種多様性、文化保護ということが導入時の説明だったと思う。'80年代以降の音楽業界は、販売されているタイトルは非常に増えており、あまりに多すぎてレコード店にいっても自分の探しているものが見つからないということが起きる。アマゾンのようなサービスがなぜ重宝されるか。大型店でさえ置いてないタイトルもアマゾンですぐに見つかって注文できる。うまくいくと2、3日で届く。非常に便利なものである。再販制度で多種多様なサービスを保って文化を保護するというのであれば、各店舗に全ての商品があればよいが、実態と建前が離れている。今の時代、再販制度は撤廃以外に道はないと思う。


うむうむ(←頷いている)。
再販制度を背景に、商業主義とは一線を画した商品展開をしているのなら、再販制度も正当化できようというものなんだがな。実際は商業主義にどっぷりじゃねえかってのが、バラカン氏の指摘だな。


○ 岸井:再販との関係を含めて。再販制度がある中で措置があると、法律の意図とは別に、機能的に、輸入権の機能として価格維持効果が強力に発揮されることは間違いない。


そうだよなあ。
その布石のためか「還流防止措置で利益が上がったら消費者に還元する」なんていう風に、以前の約束を変えているんだもんなあ。


○ 泉川:作詞作曲家の立場として。資料1にあるように、要件が非常に厳格である。一番のポイントは、権利者の利益、ライセンス料収入である。「不当」の判断基準は何か。原盤ライセンスと、我々作家の著作権使用料である。後者でみると、日本を100とすると中国においては販売価格も低く、日本の4分の1である。また、原盤ライセンス料も低い。小売価格の一定率、又は卸売価格の一定率であるが、中国の場合は日本の3割弱である。一方、韓国、香港になると、韓国の場合、アルバムが日本の半分1,400円。使用料は、韓国は57.8%、香港は43%である。現地で適正に権利処理されたものが日本に還流するとこれだけの差がある。これはまさに権利者の利益が不当に害される場合に該当すると思う。
 欧米との比較では、使用料的にはほぼ同額である。アメリカは日本より若干安いが95%程度。欧州は日本より高い水準。英国であれば100を上回り、フランスは2割増である。著作権使用料の観点からは要件には合致せず、規制対象にならないということを明確に言えると思う。著作権情報センターの研究会で、吉川著作権課長が今回の法改正の趣旨及び条文の解説をされている。私は著作権使用料の観点、原盤ライセンス量の観点で申し上げたが、これについて説明されている。アメリカが89.6、イギリスが119.0、ドイツが99.1、フランスが111.3であると。こういうレベルにある。従って、権利者に不当といえるほどの経済的損失を与えていることはないと考えている。吉川課長は研究会でこのように発言されている。洋盤はこの要件をクリアできないので、従って洋盤は規制対象とならない。我々権利者もまさにそういう理解である



……ええと、どこから突っ込んだらいい?
とりあえず、著作権者界隈では、具体的な基準となる数値が示されていなくても、要件は厳格なものとして受け取られるのか。うむ。
いっそのこと、CDや本の価格も「定価:約3000円」みたいな表示にしてみたらいかが? これでも十分「厳格」だろう?


○ デゼルスキー:再販について。我々は再販がある国、ない国の両方で運営しているので、いずれの経験もある。再販は非常に複雑な話である。再販は副作用が大きいのでやめてしまえという意見もあるだろう。一歩下がってみると、現在の音楽市場の売り上げが3割から4割縮小しているという現状がある。そういう意味で再販が文化、音楽、商品販売店を守るためのものということを考えると、何で縮小したのか。再販制度は機能しなかったのではないかという議論もできると思う。また、世界各国をみても、規制が大きい国はそれが足かせになって利益が分散してしまったり効率が悪くなるという副作用があると考える。
 日本は来年1月からは世界にも稀な規制大国になってしまう。大型チェーン店もインディペンデント店も、再販制度がなくても生き残る道があると思う。再販がなくても、レコード会社が良い音楽さえ作ってくれれば絶対に生き残ると思う。
 とはいえ、再販制度があって、それが撤廃されると、過渡期にはいろいろ問題が生じることは想像される。ディスカウントストアがCDを利益ゼロで販売することも起きる可能性がある。それにより専門店が少なくなってしまうという懸念がある。そういうことを議論するのであれば業界と消費者団体が詳細な建設的にダメージを最小限にどうしたらできるか話し合いをすべき。これは、ドイツで生じた例であるが、ドイツでは価格競争が非常に激しい。消費者は最初は安くなったと喜んだのであるが、レコード店がチャート商品ばかり置いて旧譜を置かなくなって、消費者の選択肢が少なくなってしまった。
 ドイツの例は悪い例だが、再販が撤廃されても今でも市場が伸びている国がある。業界であまりにも規制が多すぎるのでは、競争力を音楽が失ってしまうことを懸念する。若い人は可処分所得が低い。その若者がお金を使う対象がCDでなくなることが非常に大きな問題になる。悪循環に陥る可能性がある。だからといって再販を撤廃することが解ではないが、解の一つとして考えられるかもしれない。



これは、非常に示唆に富む発言だな。
再販制度が全てではない。再販制度があろうがなかろうが、マーケットは良くも悪くもなり得る。
で、こう続くわけだ。「で、日本の再販制度ってのは、うまいこと行っているのかい?」


○ 中山:還流防止措置は文化審議会著作権分科会法制問題小委員会でで議論された。(中略)独禁法、経済法の研究者も消費者団体の代表もいなかった。もっぱら著作権法的観点から、簡単に言えば、安い国で作ったものが還流しては音楽産業がつぶれるという観点から議論からされた。(中略)関係団体の協議を経てということであるが、関係団体はなぜかわからないがレコード協会と経団連であった。それが協議したが、経団連のペーパーにも5年間の時限立法とされていた。時限立法にはなってないのだが、いろいろな意見があった。いずれ時期をみて、維持するかやめるか改正するか、見直す必要があるという意見は非常に強かった。(中略)洋盤についてもそうだが、法的には止まる可能性はある。条件さえ整えば止まる。ただ、今のところは止まらないだろうという見込みに過ぎない。きわめて仮想的な事例をいえば、権利者が途上国に会社を作ってやるとか。あり得るかどうかは別として。こういうものは一度作ってしまうと逃れたい人は懸命に逃れるもの。そういう点も含めて、果たして日本のレコード会社が本当にこれでアジアに進出していけるのかなど、継続的にみていく必要があると思う。


中山氏、ナイス(笑)。
そうか、なぜか関係者はRIAJと、RIAJの会長が食い込んでいる経団連で、時限立法のはずがなぜか時限立法にならなかったわけですな。


○ 矢島:(前略)事実面で洋楽の輸入が入りにくくなる、高い条件で買わざるを得ないということであれば見直す、という付帯決議が付いている。JASRACはその立場で同様の見解に立っているのである。我々の業界を信用して頂いて。(中略)好きな言葉ではないが、山木さん(公取委取引部長)も「監視する」としている。妙なことがあれば早速アクションを起こされるであろう。我々も一国民として約束が守られるであろうと、その責任の一端を担うつもりである。

○ 中山:全然違います。日本のレコード商業組合やレコード協会がどんなに約束しても意味がない。洋盤はアメリカの業者が正規の商品は日本に輸入するが並行輸入業者に対して訴えを提起するかどうかという問題である。日本の組合や団体が保証するとか信用してくれといっても全く意味がない。(中略)逆に、欧米の企業が十分利益が上がるにもかかわらず正当な権利を行使しないで並行輸入を止めないのであれば、取締役の責任になりかねない。だから、日本の団体が補償する問題ではない。



これは、法案成立前からずっと言われていたことなのに、いまだに「私たちを信用してください」かいな。ったく……。


○ デゼルスキー:(前略)洋楽輸入規制だが、私の理解では、1月からHMVが香港、シンガポールから輸入しようとすると止められてしまう。本来は還流防止措置の目的は日本のアーティストの輸入と言うことであったが、ところが、アジアで生産された洋楽CDも適用対象という話になってきている。明確にはどなたでもおっしゃって頂いてないが、アジアからの洋楽CDの輸入は規制対象となるのか。

○ 生野:邦楽についてはコンセンサスを得られているが、中国で作られた洋楽のような話の場合、内国民待遇で、当然洋楽の権利者は400円、500円のCDは不当な利益を害すると考える。RIAAの意見書にも触れられていると思う。内外無差別とRIAAが述べたことにはその辺にポイントがある。



さあ、ご覧あれ。生野氏は、立法趣旨と異なる法律の運用を是認している。「中国で作られた洋楽の輸入防止」って、立法趣旨に含まれていたか?



追記:とりあえず、「レコード輸入権と書籍の貸与権の運用について、基準やガイドラインをいつごろ公表するのか、時期だけでも明らかにして欲しい」という旨のメールを、文化庁に出してみた。
皆さんもメールして、せっついてみてはいかがでしょうか?
施行ギリギリになって、問題点満載の基準、政令、ガイドラインを出してきて、時間がないゆえに反対の声を振り切ってそのまま施行突入ってのが、一番ありそうな筋書きだけに。
posted by 旅烏 at 23:24| Comment(0) | TrackBack(4) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年09月06日

また余計なマークが増えやがるぜ

レコード輸入権にまつわる問題を扱っているサイトの多くで、日本産コンテンツであることを示すCJマークを取り上げていますな。
なんで取り上げるかってえと、「お前ら、『このマークのついていないCDは税関通さないよん♪」とか寝ぼけたこと抜かす気じゃねえだろうな、コラ」という牽制の意も多分に含まれていると思うんですが、個人的には、それよりもマークが増えてしまうこと自体が問題でありまして。

なんかなあ、またうざってえマークが増えちまうよ。
レーベルのロゴや事務所のロゴなんかは、まだいいんだ。そこから人脈なんかも窺えるし。
まあそれも、あまりにごてごてと多くのロゴがついてしまうと興ざめだけれども。ひとつの作品に3つも4つも。どれがレコード会社でどれが事務所で、どれがレーベルでどれがトレードマークだ。もうなにがなんだか。
試しにいくつか手元のCDを見てみるに、まずは表面、悪名高き「Parental Advisory Explicit Lyrics」マーク。HIPHOPだと見るや無差別に貼り付けて、アートワークをかき乱しやがってからに。OUTKASTやJURASSIC 5、ORGANIZED KONFUSIONのどこが青少年に悪影響を与えるのか、理解できるように説明してみやがれ。
更に言うと、SCARFACEの名曲“HAND OF THE DEAD BODY”に対する、ラップバッシング側からの説得力のある反論ってのを、寡聞にして知らない(観察学習だとか模倣学習だとかとぼけたこと抜かす奴は、Banduraの前で同じこと言ってみやがれ)。
ちなみにリリックとその邦訳がミュージック・マガジン増刊「The Parfect Beats」という本に載っている。あのECD監修の、今でも頻繁に読み返す本。オススメです。

で、裏面に回ると、「FBI ANTI-PIRACY WARNING」マークが。って、でかっ
なんで天下のMOTOWNのロゴよりでかいんだよ、これ。
海賊盤に縁のない身にしてみれば、目障りなことこの上ない。
まるでFBIが海賊盤撲滅に力を入れているみたいじゃないか。なぜか海の向こうからは、RIAAが訴訟を起こしたというニュースくらいしか伝わってこないけれども。

で、これが国内盤になると、天下の広域指定暴力団著作権管理団体、JASRAC様のマークが登場だ。
まあ、何も言うまい。せめて背景のジャケットの色に調和したものにして欲しいが(そういう配慮がなされたものも多いけどね)。

さらに、今回そこに日本産コンテンツであることを示すCJマークが加わる。
海の向こうのFBIマークのことも頭に入れた上での、マーク作成なんだろうけどね。

ああ、それに忘れちゃいけない、CCCDマークがあるな。
この音源はPCではコピーできないことが多いです。あと、再生が出来ないこともあります」って意味のマークだ。

これで終わりかと思いきや、そうじゃない。
「輸入権行使の際には、きちんと『日本輸入禁止』と書かれたものだけにしてね(はあと)」という要望が文化庁に伝えられているわけだ。
この要望が通った場合(ぜひとも通って欲しいが)、さらにマークがひとつ加わることになる。

それぞれのマークには、それなりに有意義な目的がある(「PARENTAL ADVISORY〜」以外にはね。あれは断固として認めん)。
で、ある時気づくんだよ。いつのまに、音楽ってのは、こんなに多くのマークでプロテクトされるようになっていたんだろう。


そういや、一昔前のゲームには「NO! RESALE!」マークもくっついてたな。しゃらくせえ。
posted by 旅烏 at 06:21| Comment(15) | TrackBack(3) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年09月01日

残暑厳しいおり、参加型音楽配信コミュニティでござい

唐突でなんだが、私、クレジットカードを持っていない。
無駄遣いの気があるので、用心のために持たないようにしていたのだ。


さて、高橋健太郎氏が予告していた、音楽配信の新しい動きというのが明らかになった。
それがこちら、参加型音楽配信コミュニティ レコミュニでござい。
レコミュニとはなんぞや? ってのは、当のサイトに詳しく説明してあるので、是非お読みいただきたいのだけれど、ここでも簡単に仕組みを説明すると…


・会員が自分がアップしたいと思う曲をアップロードする

・その曲の権利処理をレコミュニが行い、権利処理が済んだものを公開する(もちろん、権利処理がまだなものや、許可が得られなかったものは公開されない)

・公開されたものを、会員がダウンロードする(有料、月ごとにクレジット決済)

・価格は権利者が設定(レコミュニは100円推奨)

・会員になるには、他の会員の紹介が必要

・個人会員のみ。法人会員不可

てなところか。9月7日からβ版運用開始だそうだ。
高橋健太郎氏は、御自分のBlogで「明日一日で、国内の主要なインディー・レーベルの参加も取りつけたいですね」と、頼もしいことをおっしゃっている。将来的にはメジャーレーベルも追随するだろう、と。


これを読んでまず思ったのは、実は「これで色んな音楽が聴ける」ではなくて……
「うわー、アップしたい曲、たくさんあるぞ!」
だった。そういう人、結構多いんじゃないだろうか?

新しい試みだから、色んな問題点が指摘できるだろうし、思いもかけない新たな問題点が出てくるってこともあるだろう。
が、圧倒的に面白そう。
カタログ数という点では、iTUNEやMoraには、到底敵わないだろう(少なくとも当分の間は)。
しかし、そのどちらにも載っていない楽曲がアップされることも、これまた間違いあるまい。
そして、そのラインナップを決定するのは、私でありあなたなんだ。これが面白くないわけがない。
トップダウンのサービスが、今ひとつ支持を得られていない中で出てきた、ボトムアップの発想だ。これが支持を得られないということも、まずないだろう。
当分の間は、注目度に比して、会員になりにくいという問題も起きるだろうが、それはコミュニティが広がるにつれて、徐々におさまっていくだろう。
なにはともあれ、私にとって最大の問題は、知人に会員がいるかどうか。
そして、どこのクレジットカードを作ることにするか、だ。
さらに、おそらく最大の難関は、こないだまで無職だった私に、カードなんざ作れるかどうか(笑)

さて、関係ないんだが、recommuniフェローなるコンテンツに、まあ、おそらくサービス立ち上げにかかわった(もしくは賛同した)方々なんだろうが、音楽関係者を含む何人もの方の名前が列挙されている。
その中に、脳研究者の茂木健一郎氏の名前があって、びっくりですよ。
レコミュニとクオリア、何か関係があるんだろうか?(笑)
posted by 旅烏 at 14:46| Comment(2) | TrackBack(1) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月30日

組織ってか

Unforgettable Daysさんのエントリー、Free Music Watchdog:「文化庁への要望事項」を斬るってのが、わが意を得たりというかなんというか。
北中正和、石川真一、高橋健太郎の三氏が文化庁へ、レコード輸入権の運用に関する要望を伝えたことは、うちでもこちらで取り上げたんですが、正直、躊躇してしまった部分がありまして。
それが「レコード輸入権の行使がどのような状況になっているかを判断する手助けになりえるもの」とか「これが音楽ファン主導で作られた要望だったら完璧なんだけど」とかいう表現になったわけですが、いやはや、我ながらなんとも情けない話で。反省します。
私はUnforgettable Daysさんと違って、要望の内容に不満はないっす(というか、あくまで判断材料の1つに過ぎないと思っているんで。しかし、要望に含まれる問題点を検討するという作業は必要だと思います。出来ればわかりやすい文章で。Unforgettable Daysさんの文章も私の文章も必ずしもわかりやすいわけではないので(笑))。
ただ、この要望が「音楽関係者および音楽ファン」の要望として提出されていることに関しては、私も同じく違和感を持ってしまうのですよ。
「こんな要望を出そうと思うんだけれど、皆さんどう思う?」という手続きを踏んだ上でのことならば、別に問題ないと思うのですが。そのために使うことができるBlogというツールも手にしているわけですし。
私は、この要望というのが、音楽関係者としての要望だとして出されるべきものだったと思いますし、その意義自体はあると思うんですがね。音楽ファンの要望じゃないでしょう、と。
内容的にはともかくさ、この三氏が音楽ファンに相談してるってのも寡聞にして知らないし、要望を出した三氏とも音楽関係者だしさ。
私の知らないところで(例えばメーリングリストとかでね)音楽関係者以外の音楽ファンに相談したってこともありえるでしょうが、だったら、それを明らかにするべきなんで、そういったことはなかったと考えていいでしょう。
要はアレだ。「『音楽ファンからの要望』ってえけど、俺たちゃ相談された覚えはないぞ?」ってね。
ちょっと勇み足だったんじゃないですかねえ?


追記:当のUnforgettable Daysのエントリーに、当の高橋健太郎氏がコメントを寄せていて、私としてはなんとなく合点がいった。ああ、なるほど。文化庁には、この要望というのが、何かを代表してのものではないってことを、きちんと伝えてあるわけですな。だったら、大して問題はねえわな。
それでは、「だったら『有志が、様々な人の意見を参考にした要望を文化庁に伝えました』みたいな表現の方が、誤解がなくていいと思う」と、改めて指摘させていただきましょ。
実際、俺は早とちりしたし、この問題をよく知らない人(まだまだたくさんいるでしょ)には、もっとわかりにくいかと。
posted by 旅烏 at 19:38| Comment(2) | TrackBack(2) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月29日

神は見えざる手を動かし、公取委が戦闘態勢に入り、音楽配信は水面下で蠢く

既に各所で報じられておりますが、私が知ったのはThe Trembling oa a Leafさん経由でした。
公正取引委員会が再び、レコード会社へ立ち入り検査を実施、立ち入り検査を受けた企業は20に及びます。
先日の立ち入り検査はポーズではなかったということを示す出来事ですね。公取委、かなり本気のようです。


公取委が崇め奉るはただひとつ、市場原理のみなり。


公取委が再販制を目の敵にしているのはなぜか?
様々な理由があるのでしょうが、再販制が市場原理に真っ向から反するものであるというのも、大きな理由のひとつでしょう。
では、レコードや書籍が市場原理の外に置かれてはならないとする理由は何か?
それは、レコード(CD)にせよ、書籍にせよ、実はとっくの昔に市場原理の下に動いているからではないでしょうか。

市場原理に基づいたマーケティングを行い(まあ、そのマーケティングが当たっているかはまた別の話です)、大ヒットを狙った商品戦略をすることで、利益を生み出してきました。
(全ての、ではありませんが)多くのレコード会社、出版社が市場原理に乗っかり、生きてきたのです。
市場原理をいいとこ取りすることは不可能です。当然、市場原理から影響を受けます。
しかし、再販制によって価格競争は生じえません。では、どこに影響があったのか?


様々な影響があったでしょう。それが一番強く働いたのは、レコード会社に対してではありません。小売店に対してです。
レコード会社や出版社が建前で何を言おうが、書籍やレコードをどんどん消費されるべきものとして売り出してしまった以上、それを扱う小売店の間で競争が必然的に生じます。
各店とも、価格以外の面で凌ぎを削ってきました。それでうまくいっていた時代もあったのでしょう。
では、現在もうまくいっているのか。
答えは必ずしもイエスではありません。多くのレコード店、書店が姿を消していきましたし(それらの店の多くが、それまで地域のファンに応えてきた、欠かす事の出来ない存在であったでしょう)、それではとポイントカードによる値引きを導入しようとした書店が、様々な妨害を受けたらしい、というのも、漏れ伝わってくるところです。
かつては再販制が小売店をも保護している時代もあったのでしょう。しかし、現在ではむしろ逆になっているのではないかと見ます。
再販制によって、小売店は「価格での競争」という選択肢を奪われているのです。
どうも、ここで不公平というか、不釣合いというか、フェアではないような印象を、私などは受けてしまいます。市場原理からの影響のかかりかたが、小売とレコード会社・出版社では差がありはしないか。それが、著作物市場の構造的な齟齬、構造的な問題に繋がっているのではないか。そんな印象を受けるのです。
ぞんざいに言うと、小売店だけ損してるんじゃねえか? おまえらはどうなんだ? と。


さあ、ここにきて公取委が戦闘態勢に入りました。目的はおそらく、音楽配信事業に競争原理を導入すること。
競争原理、市場原理が不自然に働いた結果、需要がなくなってしまったわけでもないのに潰れかけている奇妙な業界を、私たちは少なくとも二つほど知っています。音楽業界と出版界のことですが。
今後、音楽流通の主流になるとも予想されている音楽配信も同様の末路を辿るか否か、その分水嶺ともなる重要な出来事だといえるでしょう。


と、高橋健太郎氏が自らのBlogでこんな発言


−−−−−−−−−−
でもって、再び、軽い情報リークをしていまいますが、日本での音楽配信については夏の終わりに、インパクト絶大なニュースが飛び交うでしょう。ムフフ。
ITMSの日本進出を首を長くして待たなくたっていいんです。そりゃあ、スティーヴン・ジョブスは天才だけれどね、でもね、アップルもまだやってないことを僕達が日本でやれるかもしれない。やりましょうよ、日本の音楽界発で、世界に先駆けて。この指とまれ、だ。
−−−−−−−−−−


詳細は不明ですが、何か起こりそうです。
個人的には、CDに未練たらたらですので、配信関係のニュースはこれまであえて取り上げてこなかったのですが、これに関しては、詳細が明らかになった際にも取り上げることになるでしょう。
そして、この新たな動きが、どのような考えの下に出てきたものなのか、考えてみることになるかもしれません。
posted by 旅烏 at 05:06| Comment(1) | TrackBack(0) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月27日

everything is fair.

各所で取り上げられていますが、公取委が着うた事業において、レコード会社が新規参入の妨害などの疑いで立ち入り検査を行ったそうです。立ち入りを受けたのはソニー・ミュージックエンタテインメント、エイベックス、東芝EMI、ユニバーサル・ミュージック、ビクターエンタテインメントなどと各社が出資する配信会社のレーベルモバイル。
公取委といえば、先日、レコードの流通に関する懇談会(9月7日だそうです)を行うと発表したばかり。
ええ、フェアじゃない状況はガンガンぶっ壊しちゃってください。
posted by 旅烏 at 05:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

あなたを複製します

いずれもfacethemusicさんより。この日のfaceさんは他にも盛りだくさんです。

まずはITmediaで私的複製を巡る連載が始まったということ。まだ2回のみで、今後どのように展開していくのかはわかりませんが、私的複製やそれを巡る状況をテクノロジー面から見てみる、という感じですかね、いまのところ。

もうひとつ、CCCDは私的複製の権利を侵害するものである、という訴訟が、フランスでEMIとFnac(大手レコード店だそうです)に対して起こされたそうです。ITmediaによると、さらにワーナーに対しても訴訟を起こす考えを持っているとのこと。
さらに、音楽ショップのFnacは、CCCDで不利益を被ったリスナーに対して返金を行っていると、弱気なのもポイントですかね。対して、EMIはコメントなし。
フランスにおいても、リスナーvsレコード会社、レコード店vsレコード会社という構図が生まれつつある、ということでしょうか。

posted by 旅烏 at 05:12| Comment(1) | TrackBack(0) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

文化庁へ28項目の要望事項

Free Music Watchdogによると、北中正和、石川真一、高橋健太郎の三氏が、来年1月1日より施行されるレコード輸入権に関する政令、運用についての28項目にわたる要望を文化庁に伝えたそうです。
読んでみると、確かにこのように運用されたら、随分と風通しが良いだろうなと思える内容になっております。レコード輸入権の行使がどのような状況になっているかを判断する手助けになりえるものとなっておりますので、この問題に興味をお持ちの方はご一読を。
これが音楽ファン主導で作られた要望だったら完璧なんだけど、それは高望みって奴かな(笑)。
posted by 旅烏 at 04:55| Comment(1) | TrackBack(0) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

7月はレコード会社はがんばったらしい

遅くなりましたが、一応取り上げます。RIAJが7月のレコード生産実績を公表しました。
6月までの状況をおさらいしますと、洋楽に関しては四月より前年割れの傾向が続いており、邦楽に関しては、5月までは前年並みを維持していたものの、6月が大不振で一気に前年割れ、といった感じだったわけですが、さて、7月は?
(全て金額ベースです)

・邦楽は前年比91%と、散々だった6月に比べるとかなりの回復(まあ、前年には届いていないわけですが)。がんばったねえ。
7月までの累計では、95%と6月から横ばいの実績。

・関係ないが気になったのは、7月、数量ベースで見ると前年比87%と大きく落ち込んでいること。にもかかわらず金額ベースでは前年比91%。
まあ、少なくとも、邦楽は去年と比べて安くなってはいないようですな(苦笑)

・洋楽は前年比91%と、こちらも下げ止まったかたち(とはいえ以下略)。累計でも同じく91%。こちらも横ばい。
なお、数量ベースでは前年比101%と上がっているように見えますが、洋楽はシングルの生産量が去年に比べて172%と大幅に上がっているので、この影響も大きいでしょう。

・洋邦総合では前年比96%、累計で94%。持ち直したけれども、前年割れは変わっていない、といったところです。


と、いう感じで、相変わらず前年割れではありますが、6月に比べると随分と持ち直していますね。
6月がひどすぎたということなのか、7月がんばったということなのか。
ここはポジティブに、7月がんばったと捉えましょうか。
何をどうがんばったのか、リスナーに形として見えてこないのが歯がゆいところですが(笑)
posted by 旅烏 at 02:25| Comment(1) | TrackBack(3) | 音楽業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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