2005年11月09日

要は公貸権?

クリップ。

文芸家協会など5団体、図書館の充実求める声明(YOMIURI ONLINE)

公貸権の拙速な法制化だけは避けるべきだろうな。これだけははっきりしている。
今、ロビィ活動で無理矢理押し通したところで、私的録音補償金みたく使途も分配方法も返還方法もよくわからんものに化けるか(まあ、公貸権で返還は起こらないでしょうが)、貸与権みたく碌に機能もしないお粗末な代物になるかだろうから。
「新たな利権に化けるだけ」の予感がひしひしと。
ちなみに貸与権の場合は「現状で利権にすらなっていない」という。嬉しいやら哀しいやら。
posted by 旅烏 at 03:33| Comment(15) | TrackBack(6) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月08日

文字活字文化振興法の名の下に 或いはとうとう本性だしてきやがった

Copy & Copyright Diaryさんのエントリ「文字・活字文化振興法は再販護持のための法律なのか」に同意する。
当ブログでも文字・活字文化振興法について取り上げたことがあったが(これとかこれとかこれとかこれとかこれとかこれとかこれとかこれとか)、その中で活字文化議員連盟の前身として活字文化議員懇談会ってのがあり、そこが再販制度維持を訴えるアピールを出していることなども取り上げた。
文字・活字文化振興法についてはマスコミ不信日記さんが根気強く取り上げてらっしゃる。さらに再販制度について同じくマスコミ不信日記さんと、その管理人id:saihanさん御推薦の著作物再販制に疑問を持つためのサイトにもリンクしておこう。


つまり、文字・活字文化振興法は再販制の維持ってのがその目的(のひとつ)としてあるんじゃないかというのが、活字文化議員連盟の成り立ちからして疑われるわけで、Copy & Copyroght Diaryさんの指摘された点からは「なーんだ、やっぱり再販制度維持が目的かよ」というゲンナリ感が湧き上がってくるわけですわ。



追記:ありゃ、トップページにリンク貼るはずが間違えちゃった。あらためて、貼りなおします。
著作物再販制に疑問を持つためのサイト
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2005年11月03日

さっさと参入すればよいのにと思うんだが、もしかしたら遅すぎたかもよ

クリップ。Hotwiredより。

本を殺す出版ビジネス、活かす出版ビジネス


以前にも書いた覚えがうっすらとあるんだが、新刊書店含めた出版産業が新古書店やネット喫茶に参入すべしというのは大賛成。
ただ、新古書の市場というのも頭打ちもしくは縮小傾向になっていくと思うので、ネット喫茶の方が無難かなと思う。遅すぎたかもよ。
あと、作家・マンガ家・ライターが置き去りにされるような気がしないでもない。出版社の在庫を減らせるはずだから、全体的なコストも削減できるだろう。そうすると、より効率的な利益の分配というのが大きな課題になるんだろうな。
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2005年10月31日

本を捨てる日

商品が余ってしまったらどうするか。
まあ、安くして売るしかないわけである。返品が出来るわけでもなし。
では、安くしても売れなかったらどうするか。
アピールが足りなかったのかなと思って、安くした余剰商品を一生懸命プッシュするわけだ。
それでもなお余ってしまったら、ことによると在庫が増え続けてしまっていたらどうするか。
もう処分するしかない。捨てるしかない。


以上、新古書店での話であり、余ってしまった商品とはベストセラーのなれの果てだ。
今日はこれから休日を返上して、捨てるべき商品を選別しに行くわけだけれども、正直、心中は少しだけ複雑である。
売上を増やそうと思ったら、商品を充実させねばならない。そのためには、買取数量を増やすのは必須である。あの手この手、様々な取り組みで在庫量を確保していく。
そして成果が出ると、当然それ以上の売上を目指さなければならない。売上を増やそうと思ったら商品を充実させねばならず、そのためには買取数量を増やすのは必須であり、それでまた成果が出ると……以下、同じように続いていく。
まあ、新古書店が取っているビジネスモデルが行きつく、必然的帰結なのかなとは思う。もっと良い方法はないかなと考えてみることはあるけれど、妙案が浮かんだことはない。
じゃ、捨ててきます。
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2005年10月29日

活字文化振興におけるネガティブなフレイヴァー

元フリーター編集者の出版日記さんから活字文化振興について書いたエントリをTBいただいたので、これを機会に活字文化振興とやらについて思っていることなんぞを書いておこうかという次第。


まあ、読み書きや文章読解力は大事なものなので、それを強化しようという話があったとしたらその動きは悪いことではないとは思うんだけど、それと「本を読む」ことはイコールではないなあと思ってみたり。本を読む人はみんな話のわかる人かというと、別にそんなことはないしね。私含め、アホな読書家というのは掃いて捨てるほどいるわけだし。


それとはまた別に、本ってのはいいものだからもっと積極的に打って出ようというキャンペーンもいいことだと思うわけで。
ただ読売のやってる21世紀活字文化プロジェクトってのはかなり胡散臭い感じで見ていたりするんだが。


で、こちらがそのプロジェクトのページ。恐いので見出しは載せませんよ、と(笑)。
プロジェクトの趣旨説明の文章が載っているのだけれど、一部引用すると


 若者を中心に活字離れ現象は深刻さを増しています。このままでは次世代の思考力や創造力の低下、ひいては人間力の衰退につながりかねません。活字文化のさらなる発展が急務です。



「人間力ってなんじゃい」とか、そういったことはさておき、これってねえ、いかがなものかと思うんだよ。この一節なんて、完全に危機感を煽るために書かれているでしょ。
リンク先の全文を読んでみても、どこにも出版文化の残してきた素晴らしい実績や、本はこんなに素晴らしいとか、ポジティブな面が何一つ語られていないわけ。
いや、プロジェクトにおいては、そういった読書の楽しさを伝えるといったポジティブなこともやっているようだけどさ。


例えば、あなたが「本をもっと普及させるためにキャンペーンをやりたいんだけど」と誘われて、こういった設立趣旨の策定にもかかわったとしてさ。
「読書というのは素晴らしい体験だ。昨今はいろんなメディアも登場しているけれども、この素晴らしさを改めて多くの人に拡げていきたい」
とポジティブにやった方が、リンク先の読売のプロジェクトみたく
「最近読書する人が減ってきてる。このままだと次世代がマジヤバイので、活字文化を再興させるのが急務です。いや、マジヤバイってば」
とネガティブに危機感を煽るよりもずっと心証良くないかい?
広く一般に働きかけるプロジェクトであるからこそ、そういった心証の部分は重要になると思うわけで。そんなところからも、なんか感覚がずれてないかなといらん心配を……いや、心配はしてないな。これっぽっちも(笑)。巨人も読売もナベツネも好きじゃないしな。


ちなみに、プロジェクト内で活字文化推進委員会っつうのが組まれているらしく、こちらがその名簿
既存のお偉い方が雁首そろえているような印象がありますな。
もうネガティブなやり方しか思いつかなくなっちゃってるんだろうな。失礼ながら、少々可哀想ですらある。推進委員長が活字の独自性をアピールしようとして見事に失敗しているあたりなんざぁ、涙を誘うね、もう。
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2005年10月20日

急いでコーナーを作りましたとも

なんか、マンガ家の末次由紀氏の作品が回収・絶版という騒ぎになっているらしい。わーお。大変大変。
いや、作品についても騒動についても良く知らないんだけども。
絶版ですよ?
もう本屋さんでは買えないという事ですよ?


つまり古本屋でしか買えないわけで、売上アップのチャンスなわけで。
早速、末次由紀作品を集めてコーナーを作ってみました。いや、ウチ新古書店だし。絶版関係ないし。需要あるだろうし。近くにスラムダンクも並べようと思ったら、スラムダンクの在庫が少なくて無理だったりしたわけだけれども。
今日だけで何冊か動いていたので、週末には売切れるくらいの勢いを期待。
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2005年07月27日

100円の書籍は自殺行為なのかな

本屋のほんねさんで来るべき100円の世界というエントリが掲載されていた。でね、どうも気になって仕方ないんだけども。
100円の本を好ましく思っていないというのはひしひしと伝わってくるのだけれども、何故好ましくないってことになるのか、それがなんかよくわからないのだな。


ええと、100円の本を導入するかどうかというのは、それに見合った収益が上げられるかどうか、ということだわな。100円の本を置くよりも、他のこういった本を置いた方が収益が上げられるというのなら、わざわざ100円の本を置くことなんかないし。


……なんかこれで話が終わってしまった感がしないでもないのだけれど、話を続ける。
気になるのは、本屋のほんねさんの使っていた「薄利多売」「粗製濫造」というキーワードなんだわ。


少々意地の悪い言い方をすると、出版というのは既に「薄利多売」で「粗製濫造」な状態に陥っているともいえるんじゃないかなと思うんだわ。
だってさ、本屋に入る利益が少ないってのは良く聞く話だし、そのうえベストセラー依存体質で、新刊の発行点数はストップ高って、これが薄利多売で粗製濫造じゃなくてなんだって言うのさ(笑)。
今更100円本くらいで何言うとんねん。「安い本」というニッチを埋めているだけのことじゃないか。


でもそんな中でも生きていかなければいけないわけで、じゃあ、どうすれば生活が楽になるのだろう。
っていうか、そのためにはそもそも流通のしくみを変えてもっと収益の上げやすく、かつ無駄な在庫を印刷しないようにしていくような仕組みを模索していかなければいけないなんていうのは、実は結構たくさんの人が思っていることだと思うんだ。
そこに目を瞑って、100円本やコンビニ向けの本のことを「粗製濫造」「薄利多売」と非難していくのは、的外れな八つ当たりでしかない。


繰り返しになるけれども、実際に店に100円の本を導入するかどうかは、それでより利益を上げることが出来るかどうかってなことになってくるので、「粗製濫造」やら「薄利多売」やらといった話とはまた別次元の話になる。
であるから、今書いているこの文章は「新刊書店が100円の本を導入しないこと」を批判するものではないので、そこのところはくれぐれも。



追記:「ただでさえ粗製濫造の気があるところに、さらにその傾向を加速させるような商品を投入しても仕方あるまい」みたいな理屈なのかな? それならなんとなくわからないでもない。
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2005年07月16日

文字・活字文化振興法案衆議院通過に際して、簡単なまとめ 或い不透明なブラッドベリ

Copy & Copyright Diaryさん経由、読売の記事。文字・活字文化振興法案が衆議院で可決されたそうだ


簡単にこの法案について私なりにまとめてみようと思ったのだが、実はこの法案、ネット上で参照できる資料がえらく少ないような印象がある。まあ、私、アンテナの感度はいいほうではないので、あまり断言はしたくないんだけど。
いやね、ぶっちゃけた話が、以前にも取り上げたひだ美代子議員のサイトで公開されている法案の最終案と、それに先立って活字議連の総会で案と一緒に承認された施策ぐらいしか、公開されてる情報ってないんだよ。議員とパイプでもありゃあ、伝わってくる情報もちったあ違ってくるんだろうが、パイプもなけりゃ暇もないしな。

法案を読んでいただいて、なんか釈然としないというか、良くわかんないというか、「で、結局なんなの、これ?」みたいな印象を持つ人もいるんじゃないだろうか。というか、私がそんな印象を抱いているってだけなんだが。なーんか、口当たりのいい、毒にも薬にもならねえような言葉がずらずら並べてある。
読売の記事より引用すると

今後は、こうした施策をどれだけ実現できるかが課題となる。


つうわけで、法案の文面そのものよりも、それに基づいて行われるであろう施策の方に注目すべきだ、というのが、この法案に注目してきた人たちの認識であると思う。

で、その施策なんだが、これが活字議連の総会で承認された案のままなのか、それとも何らかの修正が加えられているのかってのが、これまたさっぱりわからなかったりする。誰か詳しい人、教えておくれ。
このリンク先では「版面権の創設(出版者の固有の権利)」なんぞという剣呑極まりない項目が施策に盛り込まれていたりするんだけれど、これも4月11日に行われたシンポジウムで配布された資料の中では「著作者及び出版者の権利保護の充実」という、これまた漠然とした表現に置き換わっていたなんていう証言もあるし、今現在、施策がどのような状態にあるのかが、全くわからないのだ。なんなんだよ、一体。知らせたくねえのか?


一次資料に当たることが出来ない状況なので、仕方なく新聞に頼る形にならざるを得ない。自分で記事を探すのをちょいとサボって、Copy & Copyright Diaryさんで紹介されている読売日経の記事を読んでみたのだけれど、日経は施策に触れてすらいない。読売の記事から触れられている項目を挙げていくと…

・市町村への公立図書館の設置

・教員養成課程への「図書館科」などの導入

・小規模校への司書教諭の配置

・著作物再販売価格維持制度の維持


公貸権が云々の騒動でもわかるとおり、出版社や作家の中には売上低下の原因を図書館にも求める人が少なくないわけだが、その図書館が増える。わはは。
で、なんだか知らんが再販制度が維持される。
で、この法案をまとめた活字文化議員連盟ってのの前身は活字文化議員懇談会であり、その懇談会は過去にこんなこっ恥ずかしいアピールをしていたというのは、当ブログでも以前に取り上げたとおり。


というわけで、以前に取り上げてから実質何も情報は更新されていない。むしろ、変わっているのかそのままなのかわからない分だけ、この法案とそれに関連する目標施策は不透明さを増したと言っても良いと思う。
そんな中で、全会一致でこの法案は衆議院を通過した。


ところで閲覧者諸賢に置かれましては、レイ・ブラッドベリの名作「華氏四五一度」を読んだことがおありか。
焚書というショッキングな上辺の下には、「誰も強制はしないままに、出版物が忌避されて廃れていく」という恐ろしい構図が展開されている、あのディストピア小説の傑作だ。
誰も強制はしないままに、出版物が忌避されて廃れていく。
ああ、恐い恐い。そうはなって欲しくないものだね。
posted by 旅烏 at 06:38| Comment(104) | TrackBack(9) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月31日

古物営業法のスキマ

なんかもうみんなそろって著作権著作権とかまびすかしい今日この頃、新古書店絡みでも著作権著作権であり、古物営業法は云々されることが少なかったりする。
買取の際には住所氏名等を記載してもらうわけだけれども、これ、個人情報保護法のこともあるのだろうが、嫌がる人も結構いる。

法律上はどうなっているかというと、買取金額が1万円以上の場合、または自動二輪・原付・ゲームソフトを買い取る場合には相手の住所氏名年齢を「確認」しなければならない(つまり、書いてもらうだけじゃだめってこった)。古物営業法についてはこちらをどうぞ。ちなみに国家公安委員会規則の一部を引用すると。

(確認等の義務を免除する古物等)
第十六条
 法第十五条第二項第一号の国家公安委員会規則で定める金額は、一万円とする。
2 法第十五条第二項第一号の国家公安委員会規則で定める古物は、次の各号に該当する古物とする。
一 自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品(ねじ、ボルト、ナット、コードその他のはん用性の部分品を除く。)を含む。)
二 専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物



ちょっとわかりにくいが、16条2項に上げられている商品を買い取るときは1万円未満でも確認とってね、ということ。


もうひとつ誤解の無いように書いておくと、自主的にもっと厳しい基準で買取やってるところの方が多いと思うので、免許証の提示とか要求されても嫌がらないでね。お願い。
というか、そういう人からも買い取らなきゃならない義務は別に無いんだけどな(笑)。


さらに各都道府県の条例によって、さらに細かく決まっていたりする。嗚呼、ややこしい。
で、色々検索していたのだけれど、こんなのが引っかかった。ちょっと古めの文章になっちゃうけれども、なんと三洋堂書店の社内報ですよ(笑)。
ちょっと引用すると

現在、私どもが取組んでいるのは、古物営業法の根本的な改訂です。書籍や雑誌をバイクやパソコンソフトと同等に扱ってもらえないか?。この施行規則に書籍や雑誌を加えてもらえれば、たとえ1万円以下であっても身分証明書の提示義務が必要となる、古物商は帳簿への記載を行わざるをえなくなります。


いいなあ、それ。この社内報の中においても「新古書店は盗品の持込を歓迎している」みたいなバイアスがかかっているのは気に入らないが(「記載を行わざるをえなくなる」って表現はいただけないよなあ(苦笑))、大部分の新古書店員は盗品の持込を嫌っているのだ。
ただ、自主的にどんな買取でも身分証の確認を行っている店ってのも知っている。でも、そこの店でも盗品の持込が防げているわけではないんだよな、残念だが。
もう一つついでに書いておくと

 北海道の条例では、「青少年から古物等を買い受け、若しくは古物等の販売の委託を受け、又は青少年と古物等を交換してはならない」となっています。古物営業法上は認められていることが、条例では規制されています。しかし岐阜県では「書籍を除く」、愛知県では「書籍及び雑誌を除く」となっています。この岐阜や愛知にあるような除外規定を無くせないか。また、親の承諾を確認するために、その場で電話して確認を取り、OKであれば買い取るようなオペレーションにできないか。


電話確認だけでは盗品の持ち込みは防げない。というか、ウチの店は自主的にそれやってるけどさ、実際防げてないよ、残念なことに。
最近は携帯のみで固定電話なしって言う世帯も増えてるんだから、口裏合わせて友達の携帯番号教えられて、それで打つ手無しですよ。しまいにはその電話確認自体が親に煩がられてクレームになりかけたりする始末だ。

というかね、他にも色々と、法律や条令の先を行く形で色々対策してるんですがね(同じ商品の二度目の持ち込みは断るとかね)、それでも防げないというのが現状なんだわ。
色々と問題があるのは承知しているけれど、こと盗難に関していうと「さっさとタグを導入してくれ!!」というのが正直なところ。
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2005年05月30日

『星の王子さま』新訳騒動

Copy & Copyright Diaryさんのブックマークを眺めていたら、面白いニュースがあった。

asahi.com:新訳「星の王子さま」続々 岩波版半世紀、独占権が消滅

記事の内容を要約すると、ベストセラー「星の王子さま」の著作権が今年1月で切れたんで岩波が持ってた翻訳独占権も切れました。だから各社こぞって新訳版で本を出すんだけども「『星の王子さま』というタイトルは翻訳者が考えたんだから使うな」と翻訳者の遺族が怒ってますよ、という話。


翻訳者の内藤濯(ないとう あろう)氏は1883年生まれ。1977年に亡くなっている。
だから翻訳作品としての著作権は切れていない。言い換えると、内藤濯訳の「星の王子さま」をそのまま利用してはダメ。
しかし、記事によるとタイトルにまで著作権は及ばないそうで(「新聞の見出しには著作権は無い」ってな感じかね? よくわからんが)、著作権について法廷で争うのはむずかしかろう、と。


原題とかけ離れた邦題をつけるってのは、メディアを問わず日常茶飯事なわけで。内藤氏の遺族の言い分が通っちゃったりしたら、出版社は困っちゃうだろうなぁ。迂闊に普通の新訳版も出せなくなっちまう。


関係ないけど「2001年宇宙の旅」と「宇宙のオデッセイ2001」ってのを思い出した(笑)。
あと「幼年期の終り」と「地球幼年期の終わり」ね。
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2005年05月25日

2つほどクリップを

遅まきながら2つほど、自分のためにクリップ。

Library & Copyrightさんによると、文字・活字文化振興法案の要綱案が明らかになったとのこと。気になっていた版面権や再販制度の維持に関しては要綱案には盛り込まれていない。しかし、それは骨子案の段階でも同様だったわけで、気になる法案であることには変わりない。また返事の来ない問い合わせでもしてみようか。ちょいと文面を変えてみてさ。要は文字活字議連の議員たちが版面権や再販制度に対してどのような考えを持っているかということだよな。

で、同じくLibrary & Copyrightさん経由落葉のささやきさんによると、作家の室井佑月氏が「図書館は敵だ」みたいな発言をしたそうで、まあなんつうか、室井氏の発言にはデーブ・スペクター氏の発言と同じくらいの重みがあるだろうから、発言自体はさほど気にならないんだけども(笑)

しかしさ、上記の文字・活字文化振興法案というのは図書館の整備というのを大きく謳っているわけで、図書館を嫌っている人たちにとってはこの法案って、どのように映っているんだろうね? 素朴な疑問だけど。
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2005年05月20日

数字をもてあそんでみた

新古書店大手三社の売上前年比を取り上げたこちらのエントリに色んなところからリンクをいただいたようで、ありがたい話でございます。
アクセス解析から辿れる限りで、どのリンク先も面白く読ませていただいたのだけれど、何箇所か私からするとちょっと残念な取り上げ方をしていただいているところもあったりしてですな。
いや、なんか1点あたりの原価率のみで話を進めている人が何人かいらっしゃったのよね。もっとざっくり言うと「○○円で買ったものを△△円で売っているんだから、儲かっていると思う」といった具合で。
私としては、この機会に是非もうちょっと違った側面から売上と買取価格の関係を考えてもらえると、とても嬉しい。
ここは是非、売上金額全体と買取金額全体の割合で見ていただきたいのですよ、お嬢さん方。


一般に、新古書店というのは売り上げた本の冊数よりも多くの本を買い取っている。これはなかなか望んだ通りには商品を確保することが出来ない新古書店にとっては、棚のラインナップを質的に保つために非常に重要なことだ。わかりやすく言うとあれだ、たくさんの種類の本を棚に並べた方が売上は上がると思いません?
そうすると売れ残った分の在庫はどうやって処理しているんだという話になるんだけれど、それは各社それぞれ企業秘密だから私は知らん(笑)。ただ、よく言われるブックオフの100円コーナーというのは、増えすぎた在庫を調整するという役割が大きいってことは覚えて置いて損は無い。まあ、得もしないだろうけど。

ええと話が逸れましたな。
つまり、実際に売ることの出来た冊数よりもちょっぴり(店によっては遙かに)多くの冊数を買い取っているわけだ(その名を人呼んで在庫リスク)。だから、1点あたりの買取価格と販売価格のみに着目して「新古書店って儲けてるんじゃないの?」というのは、はっきり言うとあまり意味が無い。出版社の利益を語る際に返品率を丸っきり無視してしまうのと同じくらい意味が無いんだわ(笑)。


というわけで、今日の休み時間に、ウチの店に当てはめてあてにならない試算をしてみた。
いや、1点あたりの買い取り価格の最低値が50円になったら、ウチの荒利率ってどのくらい変化しちゃうのかなーって思ったんだよ。もちろん、ざっくりとした計算しかしていないけれども。
実際の店の荒利率やその他の詳しい数字をここで全世界に向けて漏洩する気はさらさらないので、詳しい数字は一切出せないけどさ。


さて、「当店では今まで○○円で買い取っていた本を50円で買取いたします!!」と高らかに宣言した場合、ウチの店(の古本部門)の荒利率は、約20ポイント悪化することがわかった。
つまり2割悪化。
きっついなー、これ(笑)。
もちろん、これはウチの店のデータを元にしたものだから一般性があるとはとても言えないんだけどね。でも2割も悪化するとは思っていなかったんで、我ながらちょっとビックリですよ。
posted by 旅烏 at 00:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月14日

投資家様向けIR情報(笑)

出版者の人や新刊書店の人から見ると、うちら新古書店ってガンガン儲かっててフリーライダーでウハウハに見えるらしいんだが、働けど働けどわが暮らし楽にならず、じっと手を見たら生命線が短かったりするわけである。
うちら本当に儲かってますか? 生活、潤ってますか?
というわけで、新古書店の大手三社のIR情報を覗いてみた。投資家様必見(笑)。

まずこちらがブックオフ。2004年4月から2005年3月まででみると、直営既存店で103%、直営店全体で112%。FC既存店や関係会社既存店が前年割れしているところが、なんとも身につまされるところである。

続いてこちらがブックマーケット。2004年7月から2005年4月までで既存店102%、合計107%。ちなみに、ここは最近2ndストリートという、家具・古着等を扱う中古屋に精を出している。言い方を変えると著作物から足を洗おうとしているのかも(笑・いや、案外笑い事じゃないんだが、これが)。

最後にこちらが古本市場。2004年3月から2005年2月までで既存店105%、全体116%。ここは最近インターネットカフェに色気を出しているらしい(笑)。


うーむ。こうやって見ると儲けているように見えなくも無いね。生活は楽にならないが。
で、ジュンク堂書店やブックファーストや紀伊国屋のIR情報も見てみたい誘惑に駆られたのだけれど、詳しいのが見つからなかったのでやめた(笑)。


というわけで、この話のオチは「大手だけ見ると新刊書店も新古書店も儲かってるように見えるんじゃないの?」ということだったりする。
実は両業界とも店舗の大型化・寡占化が進んでいるというだけだったりしてな(笑)。
ちなみに、新古書のマーケットも数年後にはマイナスに転じるだろうという予想が業界内でもなされていることは、以前にも書いたとおり。
当然ながら、上に挙げた売上の数字は古本だけじゃなく売ってる商品全部ひっくるめた数字ね(まあ、書籍のみの情報が見つからなかったってだけなんだが(笑))。
ついでにいうと、ウチの店は先月、書籍の売上が前年割れしちゃったわけだけれど、このことをこれ以上追求すると泣きだしますので。いや、おじさんも色々大変なんですのよ。
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2005年04月19日

チェーンストア

本屋のほんねさん経由で、知ったかぶり週報さんの4月16日付けの文章を読んだ。へー、ワンダーコーポレーションかぁ。書店でもこういう方式とってるチェーンストアあったのね。知らなかった。

ワンダーコーポレーションさんがやってることを簡単にまとめると

・ある地域への集中的な出店によるドミナントエリアの形成(要は、ライバルが入ってこれないくらい商圏をガッチリ握っちゃう)

・物流センターの設置によるコスト削減

ってな具合になる。
書店以外の物流業をご存知の方にはお馴染みの方法でございますな。チェーンストアとしてはまさしくセオリー通り。

以下、私見。
この方法、大規模な店を出すよりも、中規模以下の店を大量に出店するのに適していると思う(一番わかりやすい例がコンビニですわな)。
何故物流センターを置くかというと、一般にその方が流通コストが安く済むから。「それぞれのお店に発送したりはしなくていいですよ。物流センターにだけ送ってくれれば良いです。一箇所に大量に送ってもらえばいいわけですから、コスト安く済みますよね? ですから、そのコストの分、仕入れ値の方もちょっと負けてもらえませんか?」ってな交渉したりもするわけだ(さすがにバイヤー経験は無いので、商談したことは無いけどね(笑))。
だもんで必然的に、物流センターからより多くの店へ出荷できる体制をとったほうが、メリットは大きくなる。極端な話、物流センターからは大規模店3店舗にしか出荷しないんですよ、なんてことになるとメリットは小さい。「あんたのところは店も大きいんだから、直接納品したってそんなに変わらんでしょう」ってなところ(ジャスコなんかはよりによって大きい店を何店舗も持っているから、いや、スケールメリットの凄いこと凄いこと(笑))。


風の噂に聞くところ、新刊書店は全体に店舗数は減っているものの、売場の床面積はむしろ増えているそうで、つまり、小さな書店が潰れる代わりに、大型の書店が増えているということらしい。
大型の店舗を成り立たせるには当然それなりの規模の商圏人口が必要になる(書店の商圏設定、知らんけどね(笑))。
言い方を変えると、ある程度でかいところにしか大きな店は作れない。
つまり、田舎に大規模店は作れない。うん。


関係ないが私の生まれ故郷の町には、一軒も新刊書店がない。昔はあったんだけどね。何年も前に潰れてそれっきり。
その代わりといっちゃあなんだが、隣町に郊外型の本屋ができた。


新刊書店が一軒もなくなったわが故郷にも依然として人が住んでいるわけで。人が住んでいる以上、そこには開拓すべき市場がある。嗚呼、宇宙、それは最後のフロンティア。
田舎にもスタートレックのファンはいる。
人が少なければ大きな店は作れない。でも、小さな店だったら作れるのだ。
単独では採算を取るのにも一苦労かもしれないが、チェーンストアのメリットを活かせば、もしかしたら利益まで生み出せるかもしれない。
知ったかぶり週報さんで紹介されていたワンダーコーポレーションのような方法は中規模以下の店をどんどん出店するのに適していると書いたけれども、書店の大規模化が進み、地方の新刊書籍市場(こんな言い方するのかは知らん)が空洞化したりしたら、まさにそここそ絶好の草刈場になるんじゃないかな。


先日来、出版の流通のこととか何回か書いているけれども、私は将来的には新刊書店でも大きな会社による市場の寡占化が起きると思っている(というか、むしろ起きた方がいいぐらいに思っている)。
ただ、その寡占化は、例えば紀伊国屋とか丸善とかブックファーストとかジュンク堂とか、大きな店をたくさん持っていますよ的なところでは無理だとも思っていたりする。むしろワンダーコーポレーションが取っているような、きちんとした自前の物流システムを整えているチェーンストアが有望なんじゃないかな、と。
何故そう思うのかというと、理由はいたって単純。他の業界が軒並みそうなっているからだ(笑)。お客さんを相手にしているという店では書店もそれ以外の小売も同じ。だったら、寡占化への道筋も同じようにならないとも限らない。
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2005年04月16日

さて、なんのために安くするのか

先日のこのエントリに続いて、本の価格について考えたことを書こうと思う。が、結論が出ていない上にえらく漠然とした話になってしまう。

まずは、未公認なんですぅさんのエントリ「本の売価ってやっぱり『高い感じ』がするんじゃないの」が参考になるので先にご紹介。


で、紹介した後でえらく漠然としたことを書くよん。
まずは、本が安くなるという事に関して。

1・再販の価格設定が安くなる
2・再販がなくなるか緩くなるかして、店舗が値下販売を出来るようになる
3・その両方

この三パターンがあらぁな。
もうひとつ、安くするとして、いったい何のために安くするのか、ということ。

何のために安くするのか。奇麗事はひとまず置いておく。安くすることで利益がそれまでより増大することを期待して値下をするわけで、つまり、安くした結果利益が減っただけに終わりましたというのでは、経営が苦しくなるだけでなーんの意味も無い。

さて問題。安くしたら本の売上は上がるでしょうか?

この問題の正解が「上がる」だったら、みんなハッピーなのよね。
でも「変わらない」が答えかもしれない。以前、煙草の値上げを例にとって、同じく嗜好品であることが多い書籍についても、売価の上げ下げの効果は出にくいのではないか、なーんてことを書いた覚えもあるね(笑)。もちろん素人考えですがね。

さて、というわけで、私は値下をしても売上高は変わらないんじゃないかな、と漠然と思っているわけですよ。
でも値下できる体制は整えた方がいいと思ってるのね。上に上げた三択で言うと「2・再販がなくなるか緩くなるかして、店舗が値下販売を出来るようになる」の方向で。いや、3でもいいんだけど。

で、ここでちょっと待てという話になる。その方向で値下を出来るようにしたとしてだ、利益は増えるのか? 利益が増えなければ意味が無いんだろ? ってな具合だ。

そうなんですよ。利益が増えなければ意味が無いんですよ。
逆に言うとね、「売上高」が増えなくても「利益」が増えれば何の問題も無い。

と、ここまで読んでくれた人は「ああ、なんだその話か」と思われる方もいるのではないだろうか。そう、利益を増やせばいいんだ。
利益を増やすにはいくつか方法があらぁな。

・売上を伸ばす
・コストを削る

では、コストを削ってみよう。さあ、材料費は削った。人件費も削った。流通コストは多分これから削る(笑)。じゃあ後は何を削る。
在庫ですな。

在庫を減らすにはどうしたらいいか。

・作り過ぎない
・余ったら売る

シンプルですな。
売るにはどうしたらいいか。
値下すりゃあいいんだよ。

待った。そんなの、本屋が損を被るだけじゃないか。だったら、余分な在庫は返品して済ませますって。
うん、だからまずそこをなんとかしないといけないんだろうなあ。
結局、流通をいじらずに値下だけしても、誰かが損するだけで終わっちゃうんだろう。


以上で、漠然としてなおかつまとまりの無い話はおしまい。


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posted by 旅烏 at 23:40| Comment(17) | TrackBack(4) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月13日

「高い」「安い」を売る側が言っちゃあなるめえ

書籍編集者esのつれづれ書評さんのエントリ「 本は高いか、安いか? 本の適性価格とは」を読んでみて思ったことなど。

いや、「うちも台所は苦しいんですよ」というのはわかるんだけど、「高い」「安い」を売る側が言っちゃあいかんだろう(笑)。そんなもん、買う側の心理に依存するわけだから、売り側がどうこう言える性質のものじゃないし。
それと(リンク先のコメント欄でも書かせていただいたのだけれど)、一番気になったのがやはり「本だけが『高い!』と言われるのはなぜだろう?と思ってしまいます」という部分。おそらくは無意識のうちに「本だけが」という前提になってしまっているあたり、失礼ながらちょっとした危うさを感じる。
いや、だってさ、きょうび高い物なんて本だけに限ったことじゃないでしょ? これだけ景気の悪い話が何年も続いている世の中なんだから、「高くない」とか「安い」と思われている商品のほうが少数派なんじゃないかな?

で、「安く出来ないので高くても皆さんに読んでもらえる本作りをがんばります」という方向性もアリだとは思うんだけども、これって言い換えると「ベストセラーをどんどん出せるようにがんばります」なわけで、業界全体がこの方向を目指してしまうとちょっと恐ろしいものがあると思うのですよ。ますますリスクが高くなるというか、ますます博打みたくなるというか。ついつい国書刊行会の高い本を買ってしまう身からすると、今よりベストセラー偏重を目指して行きますと言われているのも同じような気がして、悲鳴の一つも出ようというものですよ(笑)。

だから、やはり業界全体としてはいかに利益率を向上させていくかというのが問題になるべきだと思う。
そのための具体的方法は……業界人じゃないんだから、知りません(笑)。でもなにかあるんじゃないかなあ。コンビニにおいてある廉価コミックも、その例の一つでしょ? 出版社だってプロの集まりなんだから、アイデアが出てこなかったらむしろその方が不思議に思えるというか……だって現状だと「本の原価を安くするためにどのような努力がなされているか」って、全然見えてこないもの(逆に「こんな工夫がなされているんですよ」というのがあったら、是非閲覧者諸賢にご教授いただきたいところ。お願いします)。
posted by 旅烏 at 03:22| Comment(2) | TrackBack(7) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

歯切れが悪くなっちゃったなあ

なんか毎日取り上げちゃってるけれども、川内博史代議士の正々堂々BLOGの4月12日付のエントリ「補足説明」において、再販制度に関する記述が見られた。以下、引用。

ここからは、先週のブログの補足説明をさせてください。

まず、独占禁止法の改正案については、23条1項のただし書、

「当該行為が一般消費者の利益を不当に害することとなる場合及びその商品を販売する事業者がする行為にあっては、その商品を生産する事業者の意に反してする場合は、この限りでない」

この規定が、とても重要になってくると思います。

権利者が、ただ権利者であることだけを理由に、なんでもかんでもやることは、とても裁判に耐えられるとは、思いません。

出版界が、ポイントカードを受け入れざる得なかった背景が、この辺にもあるのではないでしょうか?


なーんか歯切れが悪くなっちゃったなあ。もしかして俺のせいか? んなこたあねえわな。
だってさ、何も言っていないも同然じゃないのさ、上の引用部分。
ちょっと整理してみましょうか。

いわゆるエンタメ議連がCDを再販から外すことを目指している。

その手段として、法律で再販の適用範囲を出版関係のもののみと明記しようとしている。

その独占禁止法の改正案を通すべく、活字文化議連と相互協力しようとしている。

ところが、活字議連が提出しようとしている文字・活字文化振興法にはなぜか版面権も盛り込まれている(11日のシンポジウムでは「版面権の創設(出版者の固有の権利)」という項目が「著作者及び出版者の権利保護の充実」という、これまた歯切れの悪い表現に置き換わってはいたけれども)。

川内議員曰く、版面権は再販制と二重の保護になるから反対の立場になるだろうとのこと。


版面権には反対という立場のまま、相互協力ってのは出来るものなのかな、というのがエンタメ議連に対しての一番の疑問かなぁ。答えてくれるといいんだけれど、調整にも時間がかかるだろうしねぇ。
個人的には肥田議員に送ったメールの返事待ちなんだけれども、とりあえずまだお返事は届いておりません。今週中待ってまだ返事が来ないようなら、他の活字議連の議員たちにも同様の質問をメールしてみることにしようかと。鈴木恒夫議員とか石井郁子議員とかふじすえ健三議員とか。
posted by 旅烏 at 00:47| Comment(24) | TrackBack(5) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月12日

文字・活字文化振興基本法シンポジウム 或いは一歩後退か玉虫色か

11日、活字議連の主催で文字活字文化振興基本法のシンポジウムが開催された。そのことを報じた読売の記事はこちら。ただまあ、毒にも薬にもならんようなことしか書いていない。

図書館と著作権について扱っているBLOG、Library & Copyrightのgomameさんがこのシンポジウムに参加されたそうで、そのレポートを挙げてらっしゃる。こちらこちらからどうそ。
公貸権についてはあまり詳しくないのだけれど(というか、公貸権を求める動きは鎮静化しているような印象があったのだけれど)松本侑子氏が公貸権を求めるアピールを行い、またその内容がしょーもない代物であったらしい。是非リンク先を読んでいただきたい。

また、いくつか資料が配られたらしいのだけれど、その中には肥田美代子議員のサイトで公開されている文字・活字文化振興基本法案(骨子案)と、その施行に伴う施策の展開もあったらしいのだけれど、一箇所、サイト上の資料と配布された資料で異なる点があったらしい。
施策展開の『版面権の創設(出版者の固有の権利)』という項目が『著作者及び出版者の権利保護の充実』になっていたんだそうだ。
さあ、これをどう見るか。
字面から「版面権」の文字が消えたことは確かなので、これをもって版面権創設の動きからは一歩後退と見ることも可能だ。
その一方で『著作者及び出版者の権利保護の充実』となると、正直なところどうとでも取ることが出来る玉虫色の表現である。Library & Copyrightさんでは「これは公貸権をも含まれたことを意味するのではないか」との見方をしている。
いや、展示権も版面権も公貸権も中古規制も、全部権利保護だって言い張ることも可能なんだよなあ(苦笑)。
一歩後退と見るか、よりやっかいな玉虫色になったと見るか。いずれにせよ、気に留めておかなければなりますまい。
posted by 旅烏 at 12:24| Comment(16) | TrackBack(9) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月11日

肥田美代子議員にメールを送ったよ

こんなこともあり、活字文化振興法案に対する疑念が高まってきたので、つたない文章で肥田美代子議員に質問のメールを送ってみた。活字文化議員連盟はもちろん、その前身である活字文化議員懇談会にも名を連ねている肥田議員であるから、きっときっちりとしたお返事をいただけるに違いない。
以下、送った文章を掲載。


ネットで活字文化振興法案について知りました。その中には版面権の創設と書
籍・新聞・雑誌における現行再販制度の維持が盛り込まれているようですが、ど
のような根拠を持って現行の再販制度を維持し、さらに版面権を創設するべしと
主張しているのかが読み取れませんでした。
つきましては何点か質問させていただきますので、お答えいただけると幸いです。

・現行の再販制度が廃止された場合、各種出版活動にどのような影響が出るかを
具体的な数値を用いて推測した資料をもとにこの主張はなされているのでしょう
か? もしそのような資料があるのでしたらご教授ください。是非参考にさせて
いただいと思いますので。

・また、欧米諸国では書籍に再販制度を適用していない国や、再販制度を適用は
しているが日本と比べて柔軟性を持たせている国なども多いようですが、活字文
化議員連盟の主張は「より柔軟な再販制度へむけての検討」をも除外し、現行の
再販制度を推進するものなのでしょうか。

・版面権についてですが、既に同様の著作隣接権が創設されている音楽業界では
著作者の意に沿うことの無いレコード会社の活動も問題となっています(世界的
にも著名なグループであるYMOが、自分たちが望んでいない形での過去の音源再
発に心を痛め、ネット上に謝罪の文章を公開したのは記憶に新しいところで
す)。活字文化振興法を読んだ人からも「現在書き手は弱い立場にあるのに、よ
り出版者の権利を強くしてどうするのだ」という声も上がっています。
現在、出版する側は版面権を持っていないがゆえにどのような不利益があるので
しょうか。議員連盟においても具体的な議論がなされたことと思いますので、ご
教授願います。

・また上記と関連し、版面権を創設することによって出版者はどのようなメリッ
トを得るのか。これも当然具体的な議論がなされたことと思いますので、ご教授
願います。


個人的には、昨年の(穴だらけの主張を持ってゴリ押しされた)レコード輸入権
のこともあり、この法案も出版業界からのロビー活動によってつくられた、極め
て経済的な性格が強いものではないかとの疑念を持っています。最近施行されま
した書籍における貸与権では、現行では出版社には一銭も入りませんが、版面権
が創設されれば出版社が堂々と報酬を請求できる(それどころか貸与を出版者が
拒否することも出来る)ようになるであろうことなども考え併せますと、その疑
念はいや増すばかりです。
そのような疑念を払拭するためにも是非お答えをいただきたいと思います。乱
文、失礼いたしました。



昨年のレコード輸入権の経験からすると、このような問い合わせメールは黙殺される可能性が非常に高いのだが、お返事がもらえなかった場合にはこちらも好き勝手に誤解させていただくことにしましょうかね。


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posted by 旅烏 at 13:34| Comment(5) | TrackBack(10) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

活字文化議員連盟←活字文化議員懇談会

生活日報:活字文化振興法骨子案を読むで、この骨子案をまとめた活字文化議員連盟の前身として、活字文化議員懇談会というのがあったことを知った。なんでも再販制度維持を目的として結成されたそうで、おいおい、おだやかじゃねえな。
検索してみたら、こんなアピールが見つかった。


なんじゃ、こりゃあ?
また、自民公明民主と豪華に超党派ですこと。おほほ。
本格的に嫌な感じがしてきたので、問い合わせのメールでもしてみようかしらね。
posted by 旅烏 at 12:45| Comment(2) | TrackBack(5) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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