2005年04月08日

エンタメ議連の立場

昨日に続いて川内博史議員の正々堂々BLOG。本日付のエントリ「一番報告したかったこと」で、エンタメ議連の立場について説明がされている。
どうやら、エンタメ議連と文字・活字文化推進議員連盟は、エンタメ議連が目指す再販制の改正(再販制度が及ぶ範囲を書籍・雑誌・新聞に限ると法律に明記する)について、相互協力をとることを検討しているらしい。で、相互協力できるということについて川内議員は「よっしゃぁー!!」となったわけだ。
版面権については、再販制と二重の保護になってしまうので反対になるだろうとのこと(確定ではない。見通しである)。



んー、やっぱりすっきりしねえな。
いや、エンタメ議連は当面の目標として音楽における再販制度の廃止を目指しているわけで、そのためには文字・活字文化推進議員連盟と連携を取るのが有効な手段なのだろうというのは想像がつくんだけれども、問題はこれが「出版における半ば恒久的な再販制度の是認」と受取られてしまわないかどうかなんだ。
再販制度をも含め、書籍流通全般がもっと柔軟に物事に対応できるような体制というのが、今求められていると思うんだわ(だから再販だけじゃない。再販制度を廃止すればみんなハッピーというわけではない。でも、再販含めもっと柔軟にできたらハッピーになる人は増えるんじゃねえかな)。
もちろん、実際にエンタメ議連に問い合わせたら(やんないけど)おそらくは「これは出版業界が現在の再販制度をとりつづけるということを奨励するものではない」ってな感じの答えが返ってくるとは思うんだわ。
ここで文字・活字議連とぶつかっても得することは無いだろうって判断もわかるんだよ。

でもすっきりしねえもんはしないんだから仕方ない。あー、もう!
posted by 旅烏 at 21:00| Comment(20) | TrackBack(5) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月07日

え? 一致するの?

少し前の話になるけれども、川内博史議員正々堂々BLOGで3月31日に投稿されたエントリ「ビックリしたぁ!!」より一部引用。

明るいニュースも一つ。
独占禁止法23条の著作物の明示について、活字文化推進議員連盟の肥田美代子事務局長と意見交換しました。活字文化推進議員連盟は、今国会に活字文化振興法を議員立法として提案するとのこと。
その中に、出版物の再販売価格制度の維持も盛り込みたいという思いがあり、ぼく達エンタメ議連が提案している、法23条の著作物を新聞・雑誌・書籍と法律上明記するという主張と一致。
音楽配信については、公取委から着うたについての排除勧告が出されていることもあり、音楽文化については再販制度ではなく、新たなビジネスモデルを作るべきでしょう、とがっちり握手。よっしゃぁ!!


え?
活字文化振興法に盛り込まれる出版物の再販制度維持とエンタメ議連の主張って一致するの?

エンタメ議連は昨年の文部科学委員会ではレコード輸入権が大きな争点になったので、その流れで音楽に関連した問題に取り組んでいるのだと(つまり、まずは音楽についての問題から取り組んでいるのであって、いずれはもっと広く著作物にまつわる問題に取り組んでいくものと)思っていたんだけども、うーん。これは早合点だったのだろうか。
この「よっしゃぁ!!」をどのように理解したらいいのだろう。「とりあえずは、活字文化推進議員連盟の主張とエンタメ議連の主張はぶつからないので、議論がスムーズに進行できる」ということなのか、それとも「エンタメ議連も活字文化振興法に盛り込まれる出版物の再販制度維持に合意する」ということなのだろうか。
出版物の再販制度もなくなるか、もしくはもっともっと柔軟性を持たせたほうがいいと思っている身としては、後者じゃないことを祈るばかりであります。



追記:と、いうわけで久しぶりに民主党ホームエンターテイメント議員連盟のサイトへいってみた。一部引用。

新聞の再販制度については、戸別配達制度の維持による国民の知る権利の確保、書籍・雑誌については、著作権隣接権の不存在、新古書店などによる、消費者の利便性、などにより再編制度の対象とすることが、なお相当である、とした。




ありゃりゃ……
活字文化振興法骨子案では、著作隣接権であるところの版面権の創設も盛り込まれているわけで、書籍・雑誌の再販制度存続の理由の一つに「著作隣接権の不存在」を挙げている以上、活字文化推進議員連盟の主張とエンタメ議連の主張は食い違うのではなくて?
posted by 旅烏 at 23:51| Comment(21) | TrackBack(6) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月06日

再び浮上する版面権

ここ数日、seesaa重すぎ。真剣に引越し検討中。

それはさておき気になるニュース。今回はリンク先多いっすよ。
大体経由先が多い(笑)。
モノグラフ生活日報:文字・活字文化振興法骨子案ってなんだ?愚智提衡而立治之至也:活字文化振興は国の責務YOMIURI ON-LINE:活字文化振興は国の責務
で、一番最後の記事を読んでみますと、超党派の活字文化議員連盟が文字・活字文化振興法の骨子案をまとめましたよ、と書いてある。
さらに検索をかけたら、ひだ美代子議員のサイトを見つけました。確かこの方、昨年著作権法が改正されたときの委員会で、貸与件に関して質問していた人じゃなかったかしら? 記憶違いだったら申し訳ない。
このサイトに載っているのが骨子案の要旨になるのかな?

骨子案は大きく3つに分かれているようで、一つは図書館に関するもの、一つは教育に関するもの、最後に出版活動に関するもの。
うち最初の二つについては、正直詳しくないのでコメントはしないことにします。図書館関係だとブログ持ってる方も多いし、そちらでも既に語られているか、これから語られることになるでしょう。
でですね、三番目、「出版活動への支援」というところを見ると、なぜか「再販制度の維持」と「版面権の創設」というのが盛り込まれている。

版面権というのはなにかというと、音楽を楽譜としてのどーだこーだとかあるらしいんですが(詳しくは検索するなり何なりで調べてみてください。ええ、私、手を抜いております)、ここでいうところの版面権とは「版面権の創設(出版者の固有の権利)」とありますように、要するに出版における著作隣接権であります。本当、みんな権利大好きだね〜。

版面権について、経緯を追っているわけではありませんが、これが初めて議題として出てきた代物ではないということくらいは私も知っているわけでして、その協議がどうなったかというと、こんな感じで物別れに終わっているのであります。

経団連との協議が中断している中、議員立法という今までの話し相手をすっ飛ばす形で再び版面権が浮上してきたわけですな。力技です。




えーと、もう文体を変えてぶっちゃけちゃうけれども。
だからよ、「文化」の傘に隠れて商売の話なんぞするんじゃねえよ、ったく。
とりあえずあれか? これで著作隣接権ができたら今年から施行された貸与権、さらに成立を狙っている展示権がらみで堂々と金をもらえるからウマーってか?
他力本願、大いに結構。ニッチを埋めずに外堀だけどんどん埋めて、その結果更なる市場の縮小を招きたいならそれもいいだろうさ。自殺を止めてやる義理もないような気がしてきたわ。
ニッチ産業すら見放していく業界になればよろしかろう。
posted by 旅烏 at 23:58| Comment(19) | TrackBack(9) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月04日

ユリイカ買っちゃったよ 或いは文化と商売

ユリイカ買っちゃったよ。
一部で話題になっているユリイカ4月号:特集・ブログ作法って奴。

ユリイカは詩と批評の雑誌だそうで、詩にも批評にも現代思想にも社会学にも興味がない(というかむしろ苦手)私にとっては当然のように名前しか知らない雑誌であった。
それなのに何故買ったかというと、ブログというシステムや現象に興味があったからではもちろんなく、なんか、当ブログが紹介されているらしいとどこかで読んだからであり、つまり、「『万来堂書店』って活字に印刷されてるよ! いやっほーい!」というミーハー根性以外の何物でもない。

というわけでよだれを流しながらめくっていくと、雑誌の後ろの方に掲載されている「ブログガイド100@2005」で、Copy & Copyright Diaryの末廣さんが当ブログを紹介してくれていた。末廣さん、過ぎたお言葉をいただきましてありがとうございます。

しかし、それでもページビューは普段と全く変わらないあたり、さすがユリイカ。

しかし中には、ユリイカを見てお越しいただいた方もいらっしゃるだろう。ガッカリした方も多いんではなかろうか。
ええと、著作権関係のエントリは「中古規制」と「音楽業界の動向」という二つのカテゴリに放り込んでありますよ、と。

というか、「著作権関係のエントリ」というのも自分ではしっくり来なかったりする。
特に最近その傾向が強いと思うのだけれども、私は著作権の話というよりも商売の話をしていることのほうが多いのだな。うん。
であるから、著作権について商売の側面から考えることのない人の意見とは、どうもかみ合わない。そりゃまあ、著作権って文化保護なんだろうけどさあ、文化って著作物に限ったことじゃないしなぁ。
じゃあなんで「著作物」だけ法律で保護してるか(他にも文化の一翼を担うものはたくさんあるのに!!)ってぇと、そうしないと「著作物」にかかわる・「著作物」を扱うという行為が商売にならないからでしょ、なんていう風に思ってしまうわけだ。ちなみに私は法律に関してはズブの素人であるのでそこのところよろしく。
つまり、著作権と一言で言っても、「私たちの文化を守ろう」という側面と「私たちの商売を守ろう」という側面があるわけでさ。
昨年問題になったレコード輸入権や貸与権、これから問題になるであろう中古規制や展示権、公貸権、版面権、保護期間の見直しなんてのは、間違いなく「文化保護」ではなく「商売保護」の側面で語られるべきじゃないかな、などと。というかね、「文化保護」の側面から語りたがる人が多すぎるような漠然とした印象があるんですよ。
というわけで、商売の側面から見た著作権あれこれの語りなおしってのを希望いたします。詳しくてやる気のある人、誰かやってくれ。
posted by 旅烏 at 14:02| Comment(10) | TrackBack(11) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年03月31日

薄利多売幻想

特にいい話題も無いので、再販制と薄利多売のことでも書いておこうと思う。とはいっても、別に何か目新しいことを書こうというわけでも、今話題のことを書こうというわけでもないのでよろしく。

ええと、去年から気になってはいたんだ。何が気になっていたかというと、CDや書籍に対する再販制が廃止されると価格競争が起こり、結果価格が安くなり、業界全体が薄利多売の方向へと変化していく、みたいな見方をしてるっぽい方を何人かお見かけしたりしたわけですよ(誤解の無いように書いておくと「再販制度を廃止して薄利多売に汁!」というのが、そういった方々の主たる主張というわけでは全然ないのであしからず)。
いや、多分そうはならないんだわ。


価格は間違いなく変化すると思うよ。安くなるものも出てくるだろう。
でもねえ、どの本・どのCDも安くなって消費者万歳にはなりようがないってのは、まあ、ちょっと考えればわかる話で。いや、簡単に言うと、すべての商品が薄利だったら、その店、潰れるのね。
薄利多売のイメージで売ってる店も、しっかり利益を取れる商品ってのはやっぱりあるわけでさ。
著作物の新品売って生計立てている店舗で現状一番まずい点は、もしかしてここなんじゃないかなどと漠然と思ったりする。「しっかりと利益を取れる著作物」ってのは存在しているのだろうか?
「いや、実はあるんだよ」っていうのがあったら、是非指摘をお願いいたしたく。


で、再販制が廃止されたら当然価格競争が生じるわけで、値下げ競争も起こると思うんだけど、値下したことによる利益減をカバーできる程に売上が上がるかって言ったら、そう世の中甘くないわけですよ。
煙草を思い浮かべてもらうとわかりやすいかもしれない。嗜好品である煙草は値上げしても利益が確保できるわけで、つまり裏返すと値下してもさほど効果が望めない、ということでもある。
運の悪いことに、大半の音楽、大半の書物は嗜好品でございまして、嗚呼、なんということだ。


でね、つまり価格競争は起こるだろうけど、その分の利益をどこかで確保しなければならないわけで。利益を確保するための画期的な方法でもありゃあいいんだろうけど、生憎そんなものも見当たらず、じゃあどうするかってえと値上げが起こるわけです(もちろん、商品全部の値段が上がるなんてこたあないけど)。
ちょっと見難いのだけれど、こちらなんぞ読んでいただきますと、やっぱり再販制度を廃止した諸外国でも値上げって言うのが起こってるのね。


まあ、私自身は再販なんざとっととなくしたほうが将来的に絶対よいと思っているのだけれど(つーか、再販制の下でよく在庫管理なんざできるもんだ。逆に感心するわ)、再販制が廃止されることですべての音楽・すべての書物が安くなるユートピアが出現するかというと、全くそんなことは無いよ、と。
まあ、当たり前っちゃあ当たり前で、しかも面白くも無い話ですな。
posted by 旅烏 at 01:04| Comment(1) | TrackBack(0) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月21日

Dawn of the dead stock

新古書店で商品を売る際、「えっ!? こんなに安いの!?」ってな感想を持ったことがある人、多いのではないかと思う。
そうなんだよなあ、安いんだよ、買取価格。

これに対しては、まあ、一応の弁明を行うことは出来る。
なんのことはない、デッドストックが凄いんだよ。本やCDに関しては売れる量よりも買い取る量のほうが多いんで、買取値を低く抑えないことには利益がうまれないのね。
例えばだけど、本の買取価格の最低値を50円に設定したら経営が成り立たなくなりますって言う店、少なくは無いのではないかと勝手に推測。

でもなあ、このままでいいのかな? とも思うわけですよ。
マーチャンダイズを放棄する代わりに出来るだけ手広く買取していくという方法論で新古書店は発展し、その末に今のデッドストック満載状態があるわけだけれども、本やCDに関しては売上の伸び悩みともあいまって、もう飽和状態にあるのではないかなと思ったりするわけですよ、新古書店的に。
「きれいだったらなんでも買いますよ」という方法論も限界が見えてきているのではないかな、と。
でもその代案があるかというと、それほど頭がいいわけじゃないんだ、俺は(笑)。

いや、ひとつ代案があるにはあって、その方向に向けて動いている会社というのも複数あるとは思うんだけども、これが、個人的に歓迎しかねるというかなんというか。
その代案というのが「古本やCDを切り離していき、他の業種、商材に活路を見出していく」というものなんだよね。
これを読んで「新古書店がなくなるんだ!」とちょっぴり喜んだ人、いやいや、そうも言ってられないんですって。本を読む人、音楽を聴く人の人口が少しばかり劇的に減少するかもしれないわけだから。これ以上潜在的なユーザー人口が減ったらどうするね? まあ長期的には確実に減ってはいくわけだけれど。人口も減るわけだし。
本当、どうしたらいいかね、このストックの山。なんかいい方法無いもんかなと思いつつ、毎日在庫と格闘しているわけです。
posted by 旅烏 at 22:26| Comment(2) | TrackBack(0) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月16日

新古書店員から見たブックオフの特徴

私は泣く子も漏らす新古書店員なわけであるけれども、ブックオフといえば業界最大手、憎きライバルである。もう、思いっきり競合店。強敵と書いて「とも」なんて読んでたまるかという仁義なき戦い。
で、新古書店員から見たブックオフの特徴を書いてみようかと思った次第。
ただし、これは私の見た範囲に限ったことなのでよろしく。ブックオフといえばフランチャイズ制で成功している企業であるので、各フランチャイズ企業内における方針の違いってのもあるはずだ。
まず強い点

・徹底した差込POP表示
 これは恐れ入る。私もポチポチと手作りして入るんだけれども、現場でフォローしようとすると凄い労力がいるわけですよ。これを企業規模でやっちゃってるのは凄いというか、羨ましい。

・店内、及び商品のクリンリネス(清潔さ)
 買い取った本を研磨している企業と研磨していない企業があると思うんだけれども、ブックオフはバリバリ研磨している企業。
 何度も売られてしまった本は研磨しすぎて本の高さが変わっちゃってるのはご愛嬌。

・挨拶、山びこ、マイクパフォーマンスの徹底
 これはフランチャイズ企業間で違いがありそうな気がするけどね(笑)。お客さんではこれを気にも留めていないという人も多いだろうけど、私は感心する。
 マクドナルドなんかでもそうなんだけれども、感心する点は廉売戦略ではなく挨拶等の基本教育の徹底ぶりなんだわな、これが。

・比較的安めの価格設定
 ただ、これはあくまで「比較的」なので、そう大きい差ではないと思う。


次、弱い点。というか、対抗できそうな点(笑)
・強いジャンル・弱いジャンルの偏り
 ブックオフが強いのは文芸書・文庫といった活字の本。これは中古商材の中でも粗利が稼げる商材でもあり、ブックオフが手ごわい点はここにある。
 反面、弱いのはゲーム・CD・DVDといった商材。これらは粗利という点から見ると書籍には遠く及ばないものの、額面的には大きく無視できるものではない。まして、本の売上が伸び悩んでいるという店も多い中(いや、新刊書店だけじゃなく、新古書店もそうなんですよ?)、これを狙わない手も無いだろう。

・高価買取の不在、もしくは買い取り価格上限が安いこと
 一般に、人気のあるコミックやらなんやらは通常の商品よりも買取価格が高く、またそれをアピールすることで商材の確保を狙ったりするのだけれど、ブックオフはこの点が弱い。買取価格が他店と比べて安いことも多く、店によってはそもそも高価買取がほとんど無かったりする。知名度や明るいイメージに多くを頼った商品収集能力を、お客さんへのアピールでいかに取り崩すことが出来るかがカギとなる。
 さらにこれを逆手にとって、ブックオフからめぼしい商品を購入することで棚のラインナップの貧困化を図るなんていう荒業もあるとかないとか。
 そうやって強化した商品力を利用してコーナー展開でも出来たら理想的なんだけども、そもそも新古書店では大掛かりなコーナー展開が難しいという難点もあったり(笑)。でもそこはなんとかするのです。うん。




とはいえ、やはり厳しい相手であることには変わりないのよね(笑)。
posted by 旅烏 at 03:05| Comment(2) | TrackBack(11) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月03日

どなたかいい研究や調査を知りませんか?

こないだから考えているんだけども、いや、著作権の話。というか、マーケットの状態の話。
すっごく戯画化して表現すると

A「中古屋やレンタルや図書館のせいで売上落ちてるんだから、寺銭よこせ」
B「売れてないのはおもしろくねーからだろ」

という主張がそこかしこで見られるのは皆様ご存知の通り。
で、「(例えば)新刊書店は中古屋やレンタルや図書館のせいで痛手を受けている(もしくは受ける可能性が高い)」(書店に限らずレコード店でもゲーム屋さんでもOK)
もしくは「新刊書の売上不振はその他の要因によるものだ」
というのをきちんと検討した文章って見たことないな、と。
ここでいう「きちんと検討」というのは、理念的とかポリシーとか法的にどうたらいうのではなく、実際に売上のどのくらいが影響を受けているとか、著作権法を強化することでどのくらいの経済効果が見込まれるとか、そういう奴。
これは私も大いに反省せねばならないところなのだけれども、肝心のマーケットの現状分析やらなんやらがごっそり抜け落ちた形で、理念的、時に感情的な形で議論が進んじゃってるなあ、と。
これ、要するに斜陽産業をいかに立て直すかって議論でしょ? なら、数値的な検証を軽視しすぎてるかもな、と。寺銭取ってみたけど結果的に立ち直りませんでしたってなオチだったら、笑うに笑えないからねぇ。

蛇足だけれど、これが違法コピー・カジュアルコピーについての話だったら、まだ曲がりなりにも数値が示されてはいるんだよね。その信頼性はまた別の話。

てな感じで大いに反省した私は(自分で言う奴は大抵反省してないんだよ)、どこぞにいい研究や調査はないかと、悪い子を探すナマハゲのように探索中なのだけれど、これがなかなかみつからない。
くたばれ!さくらいのさくらいさんからこれを教えてもらったんだけれど、どうも杜撰さが目に付いちゃうんだよね。特にこれ(関係ないけど、これってレコード輸入権が通過した国会で一緒に提出されてた奴だよな。レコードのほうに目が行って全然気にしてなかった)。
でも、俺が知らないだけでもっときちんとした研究・調査はあると思うんですよ。うん。例えば、The Trembling of a Leafさんでこないだ紹介してたこれとか。
さらに言うと、個々の調査・研究ではその方法にケチの付け所があったとしても、様々な(ここ重要)調査・研究で似たような結果・結論が出ていれば、ちったあ信頼性も高まるというもの。
そこで、このエントリをご覧の皆さんにお願いがあるんですが。

どんなのでも良いからなにか「中古屋・レンタル・図書館等がマーケットに与える影響」について扱った調査・研究をご存知でしたら教えていただけないでしょうか?
これを片付けないと、議論が先に進まないような気がするんですよ、どうも。
posted by 旅烏 at 23:55| Comment(16) | TrackBack(0) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年01月29日

ブックオフにきちんと抵抗するには

面白かったのでクリップ。

本屋のほんね:書店用ブックオフ対策

そうだよなあ、新古書店ってのは品揃えの質を問うことが出来ないんだよなあ。客注も出来ないしね。
なんか、フランスでは書籍の注文では48時間完納体制が確立されているそうなんだけれど、日本でもそうなったら、これは新古書店にとってはちょっとした脅威になり得ると思う。
あと、(いつの話になるのか見当もつかないけれども)現在絶版・品切れになっている書籍が電子的に供給されるなんてことになったら、大打撃だわ。読者としては歓迎するけど。
新古書店の弱点を分析してそこを攻めるというのは、競合店対策として非常に正しいっす、うん。
posted by 旅烏 at 02:21| Comment(4) | TrackBack(6) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年01月19日

東野圭吾氏の発言に見る安易な顧客像

Copy & Copyright Diaryさん経由、Sankei Web「【出版インサイド】本のレンタルにも「貸与権」導入 著作権使用料で交渉難航」。より、人気ミステリ作家である東野圭吾氏の発言を取り上げようと思う。

記事を引用すると

 作家の東野圭吾さんは「利益侵害だけを理由に、著作権を主張しているわけではない」と、強調する。「作家、出版社は、書店で定価で買ってくれる読者によって報酬を得、次の本作りができる。書店で買う人、新古書店で安く買う人、レンタル店で安く借りる人、図書館で無料で読む人が、同じ読書サービスを受けるのはアンフェア。より早く新刊を読めるなど、書店で買うお客さんを優先したい」


ってな感じなのだけれど、Copy & Copyright Diaryの末廣さんは「本の価値を決めるのは作者ではなくて読者である」と憤慨している。これには全く同意。
同意した上で、もうひとつ気になった点を書いてみようと思う。それは、東野氏がどのような顧客像を思い描いているか、だ。
作家にしてみれば(狭い視野で見ると)新刊書店で本を買ってもらえないことにはおまんまの食い上げであり、新刊書店で本を買ってくれるお客さんを大事にしたいというのは至極もっともなことに思える。そこまではいいんじゃなかろうか。
問題は、新刊書店で本を買わずに他のサービスを利用して読書する行為を指して「アンフェア」と言っていることなんだな。
「私は新刊書店しか利用しない。新古書店も図書館も漫画喫茶もレンタルも利用せずに読書を楽しんでいる」という人もいるだろう。そういう顧客にとっては、この東野氏の発言は痛くも痒くもない。
しかし、だ。では、新刊書店は一切利用しないで読書を楽しんでいる、という顧客はいったいどのくらいいるのだろうか?
もちろん、データなど無い。これから書くことは私個人の憶測に過ぎない。だが、多くの(もちろん「すべての」ではない)顧客は新古書店・図書館・漫画喫茶・ブックレンタルといったサービスと新刊書店というサービスを併用していると考えるのは、極々自然なことではないだろうか?
少なくとも、そう考えなければ新古書店の隆盛などは本来ありえない事態なのである。新刊書店を利用するお客さんからの本の入荷無しに、新古書店は成立し得ない(そして新古書店を利用するかどうかは、個々のお客さんにゆだねられるのだ。それは新古書店が決められることでも、新刊書店が決められることでも、ましてや作家や出版社が決められることでもありえない)。
東野氏の発言は、新刊書店を訪れた顧客を厚遇し、新古書店や図書館といった施設を利用した顧客をアンフェアだと非難するものだ。
東野氏は、「ひょっとしたら両者は同一人物かもしれない」とは考えなかったのだろうか?
他のサービスを利用した顧客を非難する。そんな方法で顧客の心をつかめるのだろうか?そんな方法で顧客サービスを向上させることが出来るのだろうか?
これもデータは無く、私の独断に過ぎないが、答えははっきりとNOであるように思える。
考えてもみて欲しい。他の店に行ったと聞くや目の前で舌打ちしてみせる。そんな店主のいる店に行きたいかい?
posted by 旅烏 at 23:53| Comment(24) | TrackBack(5) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月07日

なんかひろゆき氏まで語っているので、取りとめも無く雑文を書いてみる

日々適当なblogさん経由で、あのひろゆき氏が再販制度について語っていることを知った。おおっ! なんかすごいぞ! 何がどう凄いのかはわからんが!
で、これがそのエントリー。元祖しゃちょう日記:ブックオフとamazonが再販制度を変えたように音楽も。
皆さん、お読みください。







……読んだ?
納得した?
私は、何箇所か引っかかるところがあって、なんか釈然としないものが残ったんだけども。
まずはタイトルの「ブックオフとamazonが再販制度を変えたように」ってのが、まずひっかかるというか事実と違うというか、amazonや新古書店が変えたのは消費者のスタイルであって、再販制度は何も変わってないよなあ。
とはいえ「変えたように」じゃなくて「変えつつあるように」だったら、それでOKな話なんで、些細なことでありますが。

で、ひろゆき氏の言うように、新古書店で本がワサワサ売れているかというと、それは隣の芝生は青く見えるという奴で、そんなにワサワサ売れている気はしないなあ、と。
新古書店でも既存店ベースで見ると、本の売上は前年比割ってますって店舗の方が圧倒的に多いんじゃなかろうか。CDもしかり。

もひとつ、amazonが古本の取り扱いを始めたってのを「近視眼的」と表現しているんだけれども、それは真に近視眼的なものであるか否か。
実はこれ、かなりタブーブレイキングなことじゃない? 一部の新古書店で新刊の雑誌を置いていたり、紀伊国屋を初めとする一部の新刊書店ととふるほん文庫やさんが提携したりって事例はあるにしても、新刊と古本を同時に取り扱うというのは一般的な業態というには程遠いってのが実情でしょ。
でも、使う側にしてみれば、両方取り扱っていた方が便利なわけでさ。

で、さらに進めると、アレだ、出版業界を支配しているのは誰かっつうと、実はこの点の認識が私と他の人との話がかみ合わない原因(のひとつ)だと思うんだけどさ、支配してるのは消費者、ユーザーだと思ってるんだよ、私。出版社でも小売でも著作権者でもないと思ってるんだ。
プロのクリエイターが一般に向けて創作物を提供・公開しているんだっていう考え方は根強いものがあると思うんだけど、実際のところ、現実はそれを当の昔に追い越してしまっていてさ。主導権はとっくに逆転しているんじゃないかと(消費者に媚びることがいいことかどうかってのは別の話だ)。2chなんてその典型だわな。
曰く「本や音楽が潰れてしまって楽しめなくなっても良いのか?」ってなことを言う人、割といるけれども、消費者にそっぽを向かれた業界が衰退へ向かうのは至極当然のことで。
逆に言うと、ある業界が潰れるってのが、どこまで徹底的に消費者にそっぽを向かれた結果生じる状態であるのか。
なんかうまく言えないんだけども、そこまで徹底的に愛想を尽かされた業界だったら、んなもん潰れて当然だろっていう感覚があるわけですよ。
レコード輸入権のゴタゴタでは、山下達郎氏の、レコード会社は潰れても音楽は残るって名言があったわけですが、これ、書籍にも映像にもことによったらゲームにも当てはまる話でございましてね。
もちろん、市場規模が縮小すれば地方と中央の格差ってのが偉いことになるだろうし、著作物を楽しむってのが一部の変わり者の趣味になったりするんだろうけども、それでも残るだろうと。
大体さあ、消費者の支持を失った結果消えていった文化なんて掃いて捨てるほどあったはずだぜ? 著作物がそうであってはならない理由なんてなにもない。
というか、著作物がどんなに重要で貴重でかけがえの無いものであっても、本質的には消えてしまうことがありえるものだと思っているんだよ、俺。
著作物が消えてしまうという事態が訪れたとしたら、それはきっと消費者の選択、又の名を時代の流れってやつだ。「著作物」っつー代物が時代に取り残されたっつーこった(「古代から現代まで生き残っている古典も多いじゃないか」だって? そういった古典は時代に取り残されていたとでも?)。
だとしたら、著作物が生き残るためになすべき努力は時代に取り残されないことであって、再販制度や著作権にしがみつくことじゃねえやな、と。
音楽配信やら再販制度への疑問やら著作権の権利強化への反発やらネット書店とリアル書店の比較考察なんてのは、「あんたら、時代に取り残されかけているんと違うか?」という指摘としても捉えられる。



……随分ダラダラと取りとめも無く書いた結果、ひろゆき氏のエントリが途中でどっかに飛んでっちまったわけですが。
要はアレですわ、amazonが古本を扱わないことが日本の文化の育成につながることなのか、古本を扱うことが日本の文化の育成を妨げることなのかって言ったら、んなアホなこたあねえだろ、と。
「消費者のスタイルってのは『文化』の内には入れちゃあもらえないのかい?」とも言えるな。
posted by 旅烏 at 22:15| Comment(0) | TrackBack(1) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月06日

貸与権でいくつかクリップ

いくつかクリップ

試される。:権限なき利権が目論まれる書籍・雑誌貸与権

Fighting MAL Antenna:雑誌・書籍の貸与権:スタート前の悲惨色々

Where is a Limit?:出版物貸与権管理センターは何処かの団体よりもぼったくり?

what's my scene? ver.6.1:書籍貸与の使用料の70%は管理に使われる

・で、CDVJの赤田理事による文章がこちら



まあ、要約すると、出版物貸与権管理センターの提案では、センターが徴収する貸与使用料280円のうち、著作権者のもとに届くのは80円に過ぎず、200円がその他の野郎の懐に入る。200円も管理センターが取るんだったら噴飯物だし、貸与権の対象にならない取次ぎや出版社の懐に入るのだったら奴らは業界の吹き出物だ、ってな具合。
難しいことは良くわからんのでシンプルに考えると、ユーザーが金を払うことで成立している業界が、ユーザーの不利益へとつながる改革を行うことで業績を回復しようとするという、その思考がよくわからん。
既に成立したレコード輸入権、書籍・雑誌貸与権はもちろん、公貸権、版面権、著作権保護期間延長、中古規制と、全部この思考っつうか方針っつうかに沿ったものであるわけで。
で、こないだ募集されていたパブリックコメントでの要望も多かったフェアユース規定については、文化庁の分科会では案件からすら外されてしまった様子(またもや試される。さん参照のこと)。
やる気ねえなあ、文化庁。
posted by 旅烏 at 22:17| Comment(4) | TrackBack(8) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月03日

拍子抜けの文化審議会著作権分科会 第3回法制問題小委員会

IT mediaによると、文化審議会著作権分科会 法制問題小委員会の第3回が開催されたそうで。記事はこちら

先日まで募集していた、著作権法全般についてのパブリックコメントがこの小委員会で取り上げられるという話だったのだけれど、パブリックコメントが各委員に渡されたのは審議終了後とのこと。なんじゃい、そりゃ。

というわけで、次回の開催は11月26日の予定。次回は、パブリックコメントを踏まえたものになるはず。
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2004年10月23日

紀伊国屋、Webと店舗で絶版文庫を取り扱い

紀伊国屋書店が「ふるほん文庫やさん」と提携するそうで、それを報じたITmediaの記事はこちら
「ふるほん文庫やさん」は以前から同種の取り組みをしていたものの、紀伊国屋ほどの規模のところとの提携となると、こりゃもちろん初めてなわけで。
基本的には歓迎。


以下、「基本的」から外れるところをつらつらと。
新刊書店と古本屋が互いに補完しあう関係を目指すというのはもう大賛成なんだけれども、その補完の中身がどうなるのかなあ、と。
「流通している本は新刊書店で、絶版になった本は古本屋で!」
なーんていう所を狙われてしまうと、ちょっと溜息でちゃうわけですが。
古本屋で本を買う動機が「買いたい本が絶版であるから」であるかというと、必ずしもそればかりではないわけで。
「このマンガ家さんは最近評判だけれど、自分に合うかどうかちょっと試してみよう」だとか「このシリーズをそろえたいんだけれども、全部新刊で買うと結構な金額になってしまうから、古本屋でも探してみよう」とかいうのもありますな。
さらにいうと、古本屋を利用するってのは、必ずしも「本の購入」に限らないわけで、「この本、イマイチだったからうっぱらっちまおう」ってのもあったり。
「新刊書店と古本屋の補完しあう関係」というのが、絶版という限られた領域のみの歪なものになってしまわないことを、切に願うわけであります。
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2004年10月18日

パブリックコメント危機一髪

いや、こちらをみながら、もうひとつ、著作権法全般の改正要望についてのパブリックコメント、送りましたよ。
文化庁の募集ページはこちら。有志によるまとめページはこちら
まとめページを見てもらってもわかるように、ややこしいことこの上ないのだけれども。まあ、とりあえず募集ページにおける区分では(7)から(9)にあたる部分についておくりました。これは譲渡権・頒布権(消尽しない譲渡権)についての部分。要するに、中古売買の法的規制について反対する旨、メールで意見を送ったわけですな。
全部の意見をまとめて送ろうと思うとこんがらがるので、自分の興味のある項目に絞って送ってみたらいかが? 新たに思いついたことがあったら、また送ればいいわけだし。


しかし、関係団体からの意見を読んでみると、色々面白い。どいつもこいつも金儲けばっかりだな(笑)。
例えば、著作権の保護機関を50年から70年に延長するっていう項目(募集ページの区分では(106)にあたる)には、音楽関係の団体から同じ文面の意見がたくさん寄せられていたりするな。組織の組織票っていうのか?
でだ、その一語一句同一な組織表の中では「欧米などでは70年がスタンダード」ってな旨の記述があるんだけれど、これはほんとうにそうなの? 検証すべき資料が言及されていないので、これだけではなんとも。アメリカが著作権の保護機関を延長したのは、悪評がこちらにも伝わってくるので知っているけれども。
また、保護機関の延長では「欧米並みにしろ!」と声高に叫んでいる音楽関係の団体が、フェアユース規定についての意見募集ではまったく見当たらないのも笑える。フェアユース規定の明文化っていうのも、欧米並みにするには大事なことなのにねぇ。
「欧米並みに保護してくれ! でも、欧米並みに使いやすくはしなくてもいいです」
という本音が実にわかりやすく示されていて、実に笑える。というか、笑いものにするべきだと思うぞ。



ちなみに、私が送った意見の内容をまとめますと以下のような感じ。法律のこたあよくわからんので、いい加減なことしか書いてませんが…

「中古品って、中古車とか中古ゴルフクラブとか古着とか中古家電とか色々あるわけじゃん?
で、そのなかでどうして著作物(本とかレコードとかゲームとか)の中古品からだけ、金を取れるようにするの? 車の設計者や自動車メーカーは中古車から一銭ももらってないのに。
どうして著作物だけ、他の商品と比べてそんなに差別的・特権的な扱いをしていいってことになるの? その正当性、根拠って何さ?
正当性、根拠が俺にはまったく思いつかないので、著作物の中古販売から著作権者へ利益がいくようなシステム作りには反対。どうせやるんなら、中古品全体を対象としたものにしたらどうさ?」

まあ、今までも書いてきたことを繰り返しただけですな(笑)。
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2004年09月17日

陸這記 仲俣氏による「書籍に対する信任投票」論

陸這記で仲俣氏が、書籍を購入するという行為を、その書籍に対する信任投票と捉えた上で、新古書店擁護論を展開している。仕事が忙しかったり、今日は熱が出てぶっ倒れていたりで遅くなってしまったけれども、必読。こちらからどうぞ。
この日の陸這記では、他にも書籍にタグをつけることについての分析や考察もなされていたりして、読み応え満点。

ちょっと引用すると

間違ってはいけないが、委託販売で本を売っている新刊書店よりも、自らのリスクで仕入れをしている古書店のほうが、ずっと真っ当な商売なのである。万引きの原因になっているなどといって、新古書店という業態にケチをつけている出版業界は、ゴロツキみたいな因縁を吹っかけていることを恥じるべきだと思う。

委託販売が真っ当な商売ではないなどという気はさらさらないけれども、なぜに委託販売(=返品できる)というシステムが大手を振ってまかり通っているのか、考えてみてもいいかもしれない。委託販売の代償として、低い利率での商売を余儀なくされていたり、取次ぎや出版社の持つ権力が強くなりすぎていたりするといった側面はないか?


もうひとつ、これも頷いてしまったのだけれども

でも浦賀さん、この本(ISBN:4061822470 註:「浦賀和弘殺人事件」のこと)はとても面白かったから、次は新刊で買いますよ!

私は基本的に新古書店の回し者だが、それでも好きな作家の作品は新刊で買うことのほうが圧倒的に多い。やっぱり、敬愛する作家・マンガ家は、少しでも応援したいよね。
あれだよ、最も効果的なロビー活動は、新古書店に対するネガティブキャンペーンじゃないと思うんだ、実は。
好きな作家の作品は新刊書店で買おう! という運動なんだよ。
自分の好きな作家の作品は新刊で買って、自分を楽しませてくれた作者に利益を還元しよう! という、大々的なキャンペーン。
それでいいんじゃないかと思うんだよな。
これって、消費者にとっての著作権意識の、中核をなすべき認識だと思うんだけども、なんか、やれ海賊盤やら中古規制やらと、大切な問題ではあるけどさ、ずれているだろう、と。
posted by 旅烏 at 23:01| Comment(1) | TrackBack(0) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年09月14日

三田氏からの返信

作家の三田誠広氏は、文化庁の著作権分科会などで、書籍に関する消尽しない譲渡権創設を主張している。
消尽しない譲渡権ってなにかってえと、この場合は我々が買った本だな、これについても著作権者は権利を有していて、これを勝手に譲渡することはまかりならんってな権利という理解で合っているかな? 詳しくは、著作権のひろばさんでも参考にしていただけるとありがたい。法律はド素人なもんでね。

そういった主張をする作家の本を処分するときにはどうしたらいいんだろう。
これは、皮肉を込めて著作権者に返却するのがよろしかろう。
というわけで先日、三田氏に返却先の問い合わせメールを出したんだけれど、三田氏から返事が返ってきた。


曰く、消尽しない譲渡権というのは一般論で、ベストセラー作家(三田氏は宮部みゆき氏を例に挙げていた)なら損失を受けているだろうが、私(三田氏ね)くらいの作家だと古本屋に自分の本があることを寧ろありがたいと思っているので、古本屋に売ってもらって結構だ、とのこと。


率直な感想を書くと

はあ?

といったところか。
「推理小説やマンガは一度読んだら用済み」といった発言をしたのと同じ口が、こういうこと言うのか。へぇー。
posted by 旅烏 at 03:21| Comment(42) | TrackBack(7) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月30日

著作権分科会法制問題小委員会があったそうな

著作権分科会法制問題小委員会があったそうで、造反有理さんが著作権分科会法制問題小委員会(第1回)の概要というエントリーで傍聴メモをあげてらっしゃいます。
いや、なんか難しいこと話てんなー。腰すえて読まないと、なんのことやら全くわかんないわ(笑)。
第1回であった今回は自由討論ということなので、まあ、わかりにくいのも当たり前っちゃあ当たり前なんですが。
関係団体から要望として挙がって来易い、緊急避難的な問題ばかりが取り上げられがちで、著作権法の根幹にかかわるような問題が後回しにされがちだという問題意識が委員の間でもたれているのがわかったってのが、個人的には面白かったっすね。
posted by 旅烏 at 20:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月29日

兵糧責め!!!(爆笑)

寝ようと思ったのだけれど、陸這記さん経由で、あまりにも愉快な文章を見つけてしまった。

「タグ&パック」というサイトがそれ。
新刊コミックに防犯タグを埋め込み、パックして出荷してくれという要望を持つ書店のサイトだ。
この主張自体には、私、賛成である。
で、これに参加している企業が、コミックを出版している大手出版社に送った要望書というのがアップされているのだが、もう、引用しちゃうよ。引用。


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新古書店対策支援のお願い

株式会社 秋田書店代表取締役社長 秋田 貞美 様

株式会社 講談社 代表取締役社長 野間佐和子 様

株式会社 集英社 代表取締役社長 谷山 尚義 様

株式会社 小学館 代表取締役社長 相賀 昌宏 様

株式会社 白泉社 代表取締役社長 麻木 正美 様

謹啓 冷秋の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。また、日頃は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

1.書店店頭の実体

 さて、書店のロス率は急速に悪化傾向を強めており、収益を大きく圧迫しています。ロスの主要因の一つと考えられる窃盗は、以下のような顕著な傾向が出てきております。

(1) グループによる犯行

 一人の出来心による「万引き」ではなく、3人から4人のグループ窃盗団による組織化した犯行が横行してきています。

(2) 大量窃盗

 欲しい本を1冊「万引き」するのではなく、10冊、20冊、多い場合は60冊といった単位での大量窃盗が目立ってきています。

(3) 凶悪化

 窃盗犯を補導しようとした社員や警備員が、刃物で斬りつけられたり殴られたりする事件が多発してきています。

 昨今、かつて「万引き」程度であった犯行は、本気で組織的に確信犯として逃走車両まで準備して下見の上計画的に犯行に及ぶ窃盗団、状況によっては強盗団に豹変する犯行にシフトしつつあるのが偽らざる実体です。そして、その背景には本が手軽に換金できるようになってきた状況があります。この元を絶たなければ、深刻化する犯罪を防ぐことはできません。
−−−−−−−−−−


確かに万引きってのは由々しき問題で、その点は新古書店側も考えなければならない。まあ、考えていないわけではないのだけれども。
でな、笑えるのはこの後からだ。


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2.ソースタギングで新古書店を兵糧責めする

 新古書店の目玉商品はコミック新刊です。この入手の可否が新古書店盛衰の鍵といわれています。そのため、新古書店は売れ筋コミック新刊を定価の半値以上の高値で買い取り告知しています。ところで、新刊コミックを買われたお客様は、そんなに早くは手放されません。通常の古書になるまでの時間を待っていては、魅力ある新古書店を維持するのは難しいのが実情です。

 一方、書店では前述の通り売れ筋新刊コミックの根こそぎ窃盗が多発しています。新刊平台から1冊だけを残して20冊、30冊と大量窃盗されています。既刊本ではなく新刊が集中的に狙われているのが特徴です。

 「出たばかりの新刊コミックを何十冊も持ち込むのは怪しい。それを買い取ることは犯罪の助長につながる」というような新古書店の良心に期待することは、残念ながらできません。

 ここで、ソースタギングによりコミックを易々とは盗めない状況を作り出すことができれば、新古書店への新刊コミック供給源を絶つことができ、大きな打撃を与えることができます。



3.ソースパッキングで新古書店の商品と差別化する

 現状、新刊書店と新古書店のコミックには、何の差異もありません。同一商品ならばより価格の低い新古書店を選ぶのが自然な流れです。

 ところで他の商品、例えばCDでは、新品と中古品では明らかな差異があります。新品はきっちりパックされ封印されています。中古品はパックが開けられており、一目で中古品と認識できます。メーカー段階での機械による綺麗な包装が、新品と中古品との明らかな違いを作り出している訳です。

 現状は書店段階でビニールパックなりシュリンクをしているわけですが、人手や経費の問題もあり、全ての書店で実施されているわけではありません。またそのクオリティーもまちまちです。

 メーカー段階でのクオリティー高いパック包装こそが、読者に「新古書店ではなく新刊書店で」購入する魅力を打ち出す鍵です。

 ソースタギングにより新古書店への新刊コミック供給源を絶ち、ソースパッキングにより商品自体を差別化することで、新古書店の経営に大きな打撃を与えることができます。その上、青少年の健全育成、書店の生産性向上にも大きく寄与し、業界にとっても社会にとっても有効で有益な施策となることでしょう。

 新刊書店の窮状にご理解賜るとともに、是非とも大所高所からご検討いただき、新古書店に対する抜本的な対策とコミックの更なる拡売、業界全体の生産性向上を可能とするためのご英断を賜りますよう衷心よりお願い申し上げます。



敬白


2001年11月9日

旭川市 株式会社旭川冨貴堂 代表取締役社長 志賀 博
大阪市 株式会社旭屋書店 代表取締役社長 早嶋 茂
江東区 株式会社アシーネ 代表取締役社長 魚橋悦造
福島市 株式会社岩瀬書店 代表取締役社長 岩瀬太一
福井市 株式会社勝木書店 代表取締役社長 勝木伸俊
渋谷区 株式会社紀伊國屋書店 代表取締役社長 松原 治
仙台市 株式会社金港堂 代表取締役社長 藤原 直
高知市 有限会社金高堂書店 代表取締役社長 吉村浩二
八王子市 株式会社くまざわ 代表取締役社長 熊澤 健
多摩市 京王書籍販売株式会社 代表取締役社長 奥島博之
尾道市 株式会社啓文社 代表取締役社長 手塚弘三
千代田区 株式会社三省堂書店 代表取締役社長 亀井忠雄
名古屋市 株式会社三洋堂書店 代表取締役社長 加藤和裕
岐阜市 株式会社自由書房 代表取締役社長 篠田元弘
名古屋市 株式会社正文館書店 代表取締役社長 谷口正明
豊橋市 株式会社精文館書店 代表取締役社長 木和田泰正
中央区 株式会社千代田書店 代表取締役社長 山口達郎
盛岡市 株式会社東山堂 代表取締役社長 玉山 哲
墨田区 株式会社東武ブックス 代表取締役社長 渡辺 勲
相模原市 株式会社中村書店 代表取締役社長 中村宣勝
松山市 株式会社明屋書店 代表取締役社長 安藤大三
町田市 株式会社久美堂 代表取締役社長 井之上賢一
水戸市 株式会社ブックエース 代表取締役社長 中村昭彦
松江市 株式会社ブックセンター今井 代表取締役社長 田江泰彦
千葉県美浜区 株式会社ブックバーン 代表取締役社長 柿内宏一
山口市 株式会社文榮堂 代表取締役社長 菅原公夫
川崎市 株式会社文教堂 代表取締役社長 嶋崎欽也
長野市 株式会社平安堂 代表取締役社長 平野瑛児
津市 株式会社別所書店 代表取締役社長 別所業啓
豊橋市 株式会社豊川堂 代表取締役社長 高須博久
名古屋市 株式会社星野書店 代表取締役社長 星野克幸
高松市 株式会社宮脇書店 代表取締役社長 宮脇富子
横浜市 株式会社有隣堂 代表取締役社長 松信 裕
−−−−−−−−−−



兵糧責め!!!


>新古書店の目玉商品はコミック新刊です。この入手の可否が新古書店盛衰の鍵といわれています。

いや、そこまで重要視も…まあ、会社によるでしょうが。むしろ、高価買取の対象になっていない古本の売上が鍵を握っているんだけれど。



>ところで、新刊コミックを買われたお客様は、そんなに早くは手放されません。通常の古書になるまでの時間を待っていては、魅力ある新古書店を維持するのは難しいのが実情です。

おいおい、「通常の古書」ってなんだよ(笑)。
大体、最新刊を重要視しすぎ。自分たちがそれに依存した売場構成してるってのはわかるが、新古書店も同じ目線で見てくれるな。



>「出たばかりの新刊コミックを何十冊も持ち込むのは怪しい。それを買い取ることは犯罪の助長につながる」というような新古書店の良心に期待することは、残念ながらできません。

良心なあ……
所詮、現場に出ていない人の言い草だわな、これ。
逆に聴きたいが、どうやって断ればいいんだ?
「お持ちいただいた商品は盗品の恐れがありますので……」とか言うのか? まさか!
怪しい買取に関しては、身分証で身元を確認し、さらに買い取った商品の詳細な記録を残し、同じ商品を同一人物が持ってきた際には買取を断り……と、他にできることがあったら、これは本当に教えて欲しい。職場で提案してみる。いや、本当に。
もって行かれる万引きも見つけるのはとても難しいが、それを持ってこられるとね、これが盗品であると証明するのは、とんでもなく難しい。
証明できたら、喜んで警察に通報するよ。
実際、保証書に当日の日付が押されたゲーム機を持ってこられたことがあってな。そのときは電気屋に電話して、販売履歴を確認してもらったわ。履歴があったんで仕方なく買い取ったけれども(なんでも、5台ほどひとりで買ったらしいわ。クレジットの焦げ付き前に換金目的で大量購入って奴だな)、正直、ああいった買取は気持ちがいいものじゃない。
前にも書いたけど、小売の人間は、万引きが死ぬほど嫌いなんだよ。法が許すなら殺してやりたいくらいだ。
関係ないけど、以前店の外に新刊コミックの帯とパックが、何十冊分捨てられていたことがあってなあ。頭にきたんで、現場の写真とって、警察に連絡して見てもらって、捨てられていた帯のタイトルを全部記録して、警察に提出したことがあったわ。
だもんで、新刊書店の側で



>ここで、ソースタギングによりコミックを易々とは盗めない状況を作り出すことができれば

というのは、むしろ非常にありがたい話だ。
けどねえ……



>新古書店への新刊コミック供給源を絶つことができ、大きな打撃を与えることができます。

わはははは!
万引き犯からの仕入を当てにするようなくだらねえビジネスモデルなんざ、どこの会社もたてちゃいねえよ(笑)。
侮られたもんだなあ。



> ところで他の商品、例えばCDでは、新品と中古品では明らかな差異があります。新品はきっちりパックされ封印されています。中古品はパックが開けられており、一目で中古品と認識できます。メーカー段階での機械による綺麗な包装が、新品と中古品との明らかな違いを作り出している訳です。(中略)メーカー段階でのクオリティー高いパック包装こそが、読者に「新古書店ではなく新刊書店で」購入する魅力を打ち出す鍵です。

これなあ、本当にいいの?
現状、ほとんどのコミックが店頭ではパックされている訳だし、書店への負担を減らすという意味でいいとは思うんだけれど、本当に「新古書店対策」としてこれをやっちゃっていいのか?
消費者がそれを求めているとは思えないんだけども……



>ソースタギングにより新古書店への新刊コミック供給源を絶ち、ソースパッキングにより商品自体を差別化することで、新古書店の経営に大きな打撃を与えることができます。

本気でそう思っているのかなあ?
だとしたら、正直、馬鹿だとしか思えないけれども。
それともあれだ、書店の社長ってのは馬鹿が多いのか? 教えてくれ、書店員の人。
それとも、新古書店をダシに使って、タグとパックをやってもらおうという戦術だろうか? そうだろうな。そうじゃなきゃ可哀想過ぎる。
ソースタギングは、どんどんやっちゃってくれるとありがたい。万引きは大嫌いだし、窃盗団ならなおさらだ。もう、ブッシュと同じくらい嫌い。
こちらも、万引きに頼るほど体力は低下しとらん。
ソースパッキングも、じゃんじゃんやっちゃってくれ。それで書店員さんの負担が軽くなり、魅力的な売場を構築できるのなら、その方がずっといい。
でもな、パッキングのできばえを気にするようなお客さんは、そもそも新古書店でコミックの最新刊なんか買わないと思うぞ(笑)。


しかし、新古書店店員に賛成される「新古書店に対する抜本的対策」って、いったいなんなんだよ(笑)
posted by 旅烏 at 08:29| Comment(3) | TrackBack(0) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月21日

誰が誰の敵で何が壁か

つうわけで、研修から帰って来ました。
なんとか眠らずに乗り切ることができましたよ。うんうん。

で、研修などどこ吹く風で、ふたつほど。

まずは、ご存知の方も多いでしょうが、ふるほん文庫やさんです。
文庫本の在庫50万冊を誇る古本屋さんでございまして。
ここが、「ミニ店舗」として、日本各地の色んなお店(その多くは新刊書店です)に商品を陳列しているのですよ。
実は、ミニ店舗を利用したことがありまして、何気なく入った本屋で、何年も探していたジョージ・R・R・マーティンの「サンドキングス」を発見したときは、そりゃ興奮しましたよ(笑)。


もひとつ、株式会社テイツーさん。ここは、新古書店の「古本市場」を経営しております。
で、いくつかグループ企業を抱えているのですが、その中にブックスクエアという新刊書店がありまして。
新古書店をやっている会社が新刊書店もやっているわけですな。
将来的には、同じ店舗で古本と新刊書を扱っていきたいという意向を持っているそうです。
取次がなかなか本をおろしてくれないとか、そういった障害の存在も漏れ伝わっては来るのですがね。


と、この二つの話題。
いずれも、古本業界から、新刊書へのアプローチです。
古本業界は新刊書籍に魅力を感じ、それを自分たちの商売にも取り入れようという動きがあるのに対し、出版界は書籍の中古流通へなんらかの法的規制を行おうという意向を持っています。
この差はいったいなんなんですかね?
posted by 旅烏 at 13:18| Comment(2) | TrackBack(0) | 出版業界関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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